助産師Sさん 計画入院するも、無痛分娩できず/浅間総合病院
助産師のSさんは、身長188cmのご主人に似て大きい赤ちゃんが産まれると予想。お産が長時間に及ぶのではないかと思い「無痛分娩」をすることにしました。計画入院をしましたが思うようにいかず結局「無痛分娩」をすることができなかったそうです。一体何があったのでしょうか。具体的なエピソードをお伺いしました。
【基本data】
■name/Sさん
■年齢/-
■お住まいのエリア/長野県
■家族構成/夫+妻+子ども(1人)
■出産施設/佐久私立国保浅間総合病院
■無痛分娩回数/0回
■無痛分娩費用/-
■無痛分娩実施時期/-
取材時期:2024年7月
長身の夫に似てビックベビーが産まれるかも!難産を想定して「無痛分娩」にしました。
interviewer:本日はどうぞよろしくお願いいたします。
Sさん:よろしくお願いいたします。
interviewer:Sさんは「無痛分娩」をする予定でしたが、できなかったとお伺いしております。
Sさん:そうなんです。
interviewer:「無痛分娩」についてはどのようなイメージをお持ちでしたか?
Sさん:リスクがあるし、思い通りにいくことが少ないんじゃないかなと思っていました。「無痛分娩をすれば、痛みなくお産がスムーズに進んでハッピー!」とは全く思ってはいなかったですね。
interviewer:なるほど。そう思いながらも、なぜ「無痛分娩」を選択されたのでしょうか?
Sさん:初産でしたので、自分のお産がどのような経過をたどるのか想像がつかなかったというのが大きな理由です。親の身長や体格が大きい場合、赤ちゃんも大きめに生まれることが多いんですね。私たち夫婦の場合も、夫の身長が188cmあるので赤ちゃんが大きくなって難産になるのではないかと思いました。
interviewer:ご主人、大きいですね!
Sさん:夫は出生体重も約3,500gで大きめでした。私は身長が155cmで骨盤もそんなに大きくないので、結構しんどいお産になるかもしれないと自分なりに推測したんです。「無痛分娩」という選択肢があった方が、お産を頑張れるかなと思って「無痛分娩」ができる病院を探しました。
interviewer:自分なりの推測をしてお産に臨まれたというのが、助産師さんならではですね。
Sさん:実際に妊娠後期になるにつれて赤ちゃんはどんどん大きくなりました。義理のお母さんは、夫が1〜2時間くらいで産まれたこともあり「心配しなくても大丈夫よ」と言っていました。しかし義理のお母さんの身長は170cmくらいあります。私の母も安産でしたが、そもそも私の兄弟達は出生体重が2,500gと小柄でした。両親のお産の話を聞いても、身長や骨盤の大きさは人それぞれなので単純に比較はできないですよね。
interviewer:確かにそうですね。
Sさん:はい。
interviewer:病院選びはどのようにされましたか?
Sさん:長野県に住んでいるのですが、そもそも「無痛分娩」ができる病院が少ないんです。県内で里帰り出産をしたのですが、距離的に「無痛分娩」ができる病院は浅間総合病院だけでした。
interviewer:そうだったのですね。
interviewer:ご実家から距離が近いこと以外に、決め手はありましたか?
Sさん:ちょうど友人がその病院で勤めていたので、直接会って色々と話を聞くことができたんです。それで「ここなら大丈夫そうだな」と思えたので浅間総合病院に決めました。
interviewer:それは信頼できる情報源!ありがたいですね。
Sさん:そうですね。
interviewer:他に迷った病院はありましたか?
Sさん:最初は、以前に自分が働いていた病院で産もうと思っていました。勝手を知っているので安心できますし、NICUがある大きな病院なので万が一の時にも対応可能です。でも最終的には「無痛分娩ができる」という条件の方が勝りました。
interviewer:人にもよると思いますが、Sさんはご自身の働いていた病院でお産をすることに抵抗はありませんでしたか?
Sさん:働いている病院で知り合いがお産をすることもありました。お産する本人は恥ずかしいと思っていても、お産をサポートする側としては日常業務といいますか、当たり前のことなんですよね。相手は大して気にしていないというのが分かっているので、恥ずかしさはあまりありませんでした。
interviewer:なるほど。そういうものなのですね。
Sさん:私の場合は、結婚を機に既に退職しており、もしもお産の際に取り乱すことがあっても、その後また職場に戻ることはなかったので恥ずかしくないというのもあったかもしれません(笑)。でも「タイミング良く仲の良い助産師さんに赤ちゃんを取り上げてもらえたら、母子手帳にその方の名前を書いてもらえるのでいい記念になるな」と思ったりしていました。
interviewer:それはいい思い出になりそうですね。
Sさん:でも結局他の病院にしてしまったんですが(笑)。
interviewer:お産をされた浅間総合病院はどのような無痛分娩ができたのでしょうか?
Sさん:浅間総合病院は「和痛分娩」です。痛みを完全になくすのではなく、足の感覚が残る程度の麻酔だそうです。浅間総合病院に勤めている友人からは、自然分娩を経験された経産婦さんは「痛みが軽減した」という感想が多いけど、初産の方は「全然痛い!」という感想が多いと聞きました。
計画入院。すぐに産まれると思ったのに2日が過ぎ・・・
interviewer:それではここからはお産当日のお話をお伺いしていきたいと思います。入院はどのタイミングでされましたか?
Sさん:「計画無痛分娩」の予定でしたので、39週頃の妊婦検診で子宮口の開き具合と赤ちゃんの推定体重を診て入院日を決めました。
interviewer:子宮口は何cmくらい開いていましたか?
Sさん:約2〜3cmです。赤ちゃんの推定体重が3,500g近くありました。これ以上大きくなってお産が大変になることを避けるために入院することに決めたんですね。浅間総合病院は休日と夜間の「無痛分娩」には対応していないので早めに入院したというのもあります。
interviewer:入院はお産の当日ですか?それとも前日ですか?
Sさん:処置を開始する前日の、夕方に入院しました。
interviewer:入院の際はどのような心境でしたか?
Sさん:「産むぞ〜!」とやる気でみなぎっていました(笑)。夕食は持ち込みだったので、カツ丼を食べて精力をつけました。気分は「前祝い」です!
interviewer:やる気に満ちていたんですね!その夜は寝るだけでしたか?
Sさん:診察で子宮口の開き具合をチェックして、問題なかったので早めに寝ました。
interviewer:準備は万全ですね!なぜ「無痛分娩」ができなかったのかとても気になります。
Sさん:結論から言いますと、3泊4日して陣痛誘発を試みたのですが産まれなかったんです。
interviewer:詳しく教えてください。
Sさん:入院翌日から、3日間誘発剤を点滴したのですが、陣痛が来なかったんですね。入院費用が1日数万円と結構高額なので、これ以上やっても費用が高くなる一方で産まれなさそうだったので一時退院することにしたんです。実費なので事前入院の費用だけで18万円もかかりました。
interviewer:そういうことだったのですね。
Sさん:ちなみに「ミニメトロ」という陣痛を促進するための小さめのバルーンを2回入れて「アトニン」という促進剤とずっと点滴していました。
interviewer:薬剤の名前まで把握しているとは、さすが助産師さん!
Sさん:それらの処置をして一時的に子宮口が5cmまで開きましたが、赤ちゃんの位置はまだ高く、お腹も張るだけで痛みが伴ってこなかったんです。
interviewer:それだけ処置をしても陣痛が誘発されなかったのですね。
Sさん:最終的に「人工破膜させて産む」というお話が出ましたが、まだ予定日は超えていませんでしたし色々とリスクがあるのを知っているので一時退院することを選びました。人工破膜の提案は助産師から聞いただけで、産科の先生は直接話に来てくれなかったんですね。リスクのある提案にも関わらずそのような対応で、不信感が募りました。
interviewer:大切なことですから、先生から直接お話を聞きたいですよね。
Sさん:病院の方針だったのかもしれませんが、人工破膜のリスクや、自分の場合は今後どう進みそうかなどの話を先生から直接しっかりと聞きたかったですね。もしもこれで何かあったら納得がいかないと思いました。
interviewer:それで退院されたのですね。
Sさん:人工破膜をすると確かに陣痛が来やすくなることも多いので、リスクを取ってそれをやるのか、一時退院して自然な陣痛を待つのか選んで良いと助産師さんに言われたので「では1回帰ります」と自分で決めて帰った感じですね。
interviewer:その後「無痛分娩」に再度トライされたのですか?
Sさん:一時退院する際に、数日後にまた同じように誘発することもできると言われました。しかし入院費用もかかりますし、気持ち的にも「全然まだ産まれなさそうだな」という感じになっていたのでもう自然に任せることにしたんです。
interviewer:なるほど。
Sさん:平日の昼間で人手があれば、当日でも「無痛分娩」はできるので、運に任せることにしました。
一時退院してから、陣痛が来たのは1週間後でした。
interviewer:一時退院してから、どれぐらい後にご出産されたのですか?
Sさん:約1週間後です。
interviewer:おぉ!結構間が空いたんですね。
Sさん:夜中に陣痛が始まって、朝には生まれました。朝9時以降であれば麻酔を使えたのですが、朝6時頃に産まれたので結局麻酔は使わずに産みました。
interviewer:お産はスムーズでしたか?
Sさん:スムーズだったと思います。事前入院の際に促進剤を使用して、既に一度は子宮口が5cmまで開いていたというのもあるのかもしれません。
interviewer:自然分娩の辛さはどうでしたか?
Sさん:もちろん痛みはありましたが、ある程度は覚悟していたのでそこまで辛くありませんでした。なかなか陣痛が来なくて「もしかして体質的に自然に陣痛が来ないんじゃないか」とさえ思い始めていたので、やっと陣痛が来た喜びの方が勝りました(笑)。
interviewer:待ちに待った陣痛ですね。
Sさん:5時間ちょっとで産まれて、心配していたような難産にならなくて良かったと思いました。
interviewer:心配されていた赤ちゃんの大きさですが、やはり大きかったですか?
Sさん:予定日ぴったりの40周0日で産まれて3,474gですので、成長曲線で言うと大きい方ですね。なかなか産まれなくて本当にやきもきしましたが、結果的には予定日を超えることもなく、お産にかかった時間も短くて「ただ、あの時はまだ産まれたくなかったんだな」と思いました。
interviewer:もし2人目を産む際には「無痛分娩」を選びますか?それとも自然分娩を選びますか?
Sさん:今回思うようにいかなかったことと、病院の対応に不信感を感じたので同じ病院は選ばないと思います。次があるとしたら「無痛分娩」はできませんが、以前働いていた病院で産もうと思っています。もし今後、以前働いていた病院で「無痛分娩」ができるようになれば、また「無痛分娩」を選ぶかもしれません。
「総合病院の食事あるある」持参したふりかけが大活躍しました!
interviewer:浅間総合病院の良かったポイントがありましたら教えてください。
Sさん:地域では他の病院と比べて出産費用が安いみたいです。私は入院日数が長引いた分費用がかかりましたが、そういうことがなければ出産費用を抑えられるのは良いポイントかもしれませんね。あとは、入院中は積極的に赤ちゃんを預かってくれるので、産後に十分な休息を取ることができて良かったです。
interviewer:ご飯のお味はいかがでしたか?
Sさん:総合病院なので期待はしていませんでしたが、やはり美味しくなかったです(笑)。知人から「ご飯が大盛りで、おかずは少なめだからふりかけを持って行った方がいいよ」とアドバイスをもらっていたのですが、持参したふりかけが本当に大活躍しました。
interviewer:経験者のアドバイスはありがたいですね(笑)。
Sさん:ご飯が美味しくないのは「総合病院あるある」だと思います。
interviewer:ちなみにSさんは具体的にどのように無痛分娩に関する情報を調べましたか?
Sさん:促進剤を点滴しているときは、暇でやることがなかったので「ぴよログ」というアプリで自分が該当する項目を読み漁っていました。予定日が近い人同士で交流できる機能もあって、出産報告をし合ったりもしていましたね。
interviewer:交流もできるんですね!
Sさん:あとは、インスタグラムで「無痛分娩」の体験談を見ていました。
interviewer:最後に、お産に関して「もっとこうしておけば良かったな」と思うことはありますか?
Sさん:予定日ぴったりに産まれたので、準備期間はしっかりと取れました。ですので、産後のことも含めて準備万全でお産に臨めたと思います。ただ、赤ちゃんが大きくなりすぎないうちに早く産むぞと意気込んでいたけど、なかなか産まれなくて自分のテンションが下がっていってしまって。その点はもう少し前向きに考えた方が良かったかなと思います。
interviewer:なるほど。
Sさん:計画入院した際に、先生も助産師さんも「今日中に生まれますよ」という感じで、夫も立ち会いしていたのですが全然生まれなくて(笑)。ちょっと期待しすぎましたね。一時退院したのがちょっと恥ずかしかったです(笑)。
interviewer:肩透かしを食らった感じですよね。
Sさん:やる気が空回りしましたね(笑)。
interviewer:今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!