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2022.05.20
体験談

【失敗談】NY在住Mさん アメリカで無痛分娩のはずが2回とも失敗

アメリカで2人のお子さんを出産されたMさん。無痛分娩の予定が、思いもよらぬ状況が重なり「こんなはずではなかった!」という展開になったそうです。思い描いていた無痛分娩が叶わなかった経緯をお話しいただきました。

【基本data】

■name/Mさん

■年齢/46

■お住まいのエリア/ニューヨーク・マンハッタン

■家族構成/夫+妻+子ども(2名)

■出産施設/-

■無痛分娩回数/1回

■無痛分娩費用/-

■無痛分娩実施時期/2016年

取材時期:2022年4月

妊婦さんをサポートしてくれるコミュニティで無痛分娩を知る。

Mさん提供写真

nterviewer:現在ニューヨークにお住まいとのことですが、ご出身はどちらですか?

Mさん:出身は京都府です。2015年にアメリカに引っ越しました。

interviewer:7年前ですね。

Mさん:はい。最初はボストンに住んでいて、そこで長男を2016年に出産しました。その翌年にニューヨークに移って、2020年に長女が生まれたんです。

interviewer:アメリカに移ったきっかけは何ですか?

Mさん:夫の留学です。ミュージシャンをやっています。

interviewer:音大への留学ですか?

Mさん:そうです。学校を卒業した後、仕事をするにあたってボストンよりもニューヨークの方が音楽のニーズが高いということでニューヨークに移り住むことにしました。

interviewer:日本にいた時から無痛分娩のことは知っていましたか?

Mさん:全く知らなかったわけではないですが、日本にいた時はまだ妊娠前だったのであまり出産方法について考えていませんでしたね。真剣に考え始めたのは妊娠してからです。

interviewer:アメリカでは無痛分娩が主流と聞きますが、Mさんもアメリカに住む中で自然と無痛分娩を選択されたのでしょうか。

Mさん:そうですね。地域によると思いますが、ボストンでは「ボストン日本人マタニティーサポートグループ」というボランティアグループがあります。日本の助産師資格や産婦人科医の資格を持っている方々が集まって、異国の地で初めて出産する人向けに、妊婦さんのつながりを作る場を提供してくれているんですよ。いろんな勉強会も開催してくれるんですが、無痛分娩の勉強会もあって、そこで無痛分娩について詳しく知ることができました。

interviewer:そんな親切なボランティアグループがあるんですね。

Mさん:他にも、ボストンに日本人の産婦人科医の先生がいらっしゃって、母親学級のような場を設けてくれています。その先生は生まれ育ちは海外ですが日本語は話せるということで、ボストンに住んでいる日本人の妊婦さんはその先生のところに大勢通われています。そういった場で無痛分娩の説明をしていただいたりと、周りの方から教えてもらうことが多かったですね。そんな感じで、自分から情報を取りに行ったというよりはたくさんの方に助けていただいたという感じです。

Mさん:私はボストンとニューヨークにしか住んでいないので、他のエリアのことは分かりませんが、ボストンは街が大きすぎず小さすぎないのでつながりができやすいという風に感じています。ニューヨークには数え切れないほど日本人がいますが、その点ボストンは人の顔が見えやすいと言うんでしょうか。程良い大きさのコミュニティーなので顔見知りが多い感じです。マタニティ期間が終わっても、お母さんの会みたいなものもあるんです。そこでベビーシッターさんを紹介しあったり、みんなで集まってお話会やストーリータイム(日本でいう読み聞かせの会)をやったり、そういうコミュニティーが私には心地よくてちょうどよかったですね。

interviewer:市が主催するパパママ教室のように、日本ではそういったサービスは国や自治体がやるものみたいなイメージがありました。アメリカは「自分たちでやろう!助け合おう!」という意識が高いですね。

Mさん:海外で暮らしている人って、みんな何かしら不安だったり不便を感じて暮らしていると思うんです。「困っていた時、自分も助けてもらったから今度は自分が助けてあげたい」という想いを持っている方が多くて、すごく助けてくださるんですよね。もし日本にいたら私は今みたいにママ友ができなかっただろうなと思います。

1人目の無痛分娩。サンクスギビングと重なりスタッフ不足で・・・

Mさん提供写真

interviewer:病院でもやはり無痛分娩が前提で話が進む感じでしょうか?

Mさん:そうですね。出産方法のお話の際もお医者さんは「(もちろん)無痛分娩だよね」という感じでしたね。麻酔を使うのが前提という感じです。

interviewer:私も以前のインタビューでアメリカ在住の方から「麻酔は使わないでください」と言わない限りは麻酔を使うと聞きました。

Mさん:「痛くないからそれがいいよね」という感じですね。

interviewer:自然分娩はかなり少数派になるのでしょうか。

Mさん:一定数いらっしゃると思います。麻酔のような薬を使わずに、自然な出産をしたいということですね。そういった考えで最初は自然分娩を予定していても、いざ陣痛がきたら痛さに耐えられずに無痛分娩に切り替えるということも少なくないそうです。そういえば自然分娩と言えば、水中分娩を選ばれる方もいます。

interviewer:水中分娩は珍しくないんですか?

Mさん:水中分娩は珍しくないですね。全ての病院が対応している訳ではないですが「マンハッタンだとあそこの病院は対応している」というのは知っています。私の友人も2人くらいが水中分娩を経験しています。

interviewer:お子さんお2人とも、無痛分娩をしたくてもできなかったと伺っていますが何があったのでしょうか?

Mさん:1人目は無痛分娩だったと言えば無痛分娩だったんですが・・・。

interviewer:詳しく聞かせてください。

Mさん:陣痛が来てから病院に行って「子宮口も開いてきているし、麻酔を入れて子宮口がさらに開くのを待ちましょうか」と言われました。ところが、ちょうどアメリカがサンクスギビング(感謝祭)と言われる休日間近だったので、勤務しているお医者さんが少なかったんですよ。人手不足で忙しかったみたいで、待てど暮らせど麻酔科医の先生も来なくて。そうしているうちにどんどん子宮口が開いていって、8cmまで開いた段階でもまだ麻酔を打ってもらえなかったんです。もう本当に痛くてベッドの上で暴れまくっている状態でした。

interviewer:子宮口は約10cmで全開と聞くので「麻酔はまだか〜!」と言う感じですね。

Mさん:本当にそうなんですよ。「あれ?!こんなはずじゃなかったんだけど!」みたいな感じで(笑)。ようやく麻酔の先生が来てくれたんですが「子宮口が結構開いている状態で、今から硬膜外麻酔を打っても間に合わないから、脊髄麻酔をします」と言われて。無痛分娩というと、硬膜外麻酔を使うのが一般的なのかなと思うのですが。硬膜外麻酔は、脊髄の外側にある硬膜外腔という部分に麻酔を入れて、じんわりと麻酔が効いていくんですよね。続けて先生が「脊髄に麻酔を入れて、下半身の感覚をなくすんですが、ひいてはそのリスクを今から説明するので聞いてください」みたいな感じで説明を始めたんです(笑)。

interviewer:陣痛で悶え苦しんでいるのにそれどころじゃないですよね。

Mさん:はい、こちらは内心「とにかく!いいから早くして!」と言う感じで。後で夫が言うには、あの時の私は「めっちゃ殺気だっていたよ」とのことでした(笑)。A4サイズの紙3枚に渡って「あれこれこういうリスクがあって死亡することもあります」というような内容を英語で早口で読み上げてくれたのですが、私にはもうお経に聞こえました(笑)。よく「アメリカは訴訟大国だ」と言いますが、もしかしたらそのせいで説明文もあんなに長かったのかななんて思いました。

interviewer:たしかに、それはありそうですね。

Mさん:その間も陣痛による激痛が一定のタイミングで襲ってくるのでしっかりと聞けるわけもなく、私は「もういいから!早く進めて!」みたいな感じで。そうして5分くらいの読み上げが終わって、先生から「はい!じゃあこれにサインしてください」と紙を挟んだボードとペンを渡されて。字を書くこともままならない状態の中、バ〜ッ!と書きなぐる形でサインをしました。

interviewer:その状態で5分読み上げって、めちゃくちゃ長く感じたでしょうね。

Mさん:そしてようやく脊髄麻酔を入れてもらって、やっと一息つけたという感じです。麻酔を打った瞬間にスーッと痛みが引く感じで「やっぱり麻酔最高!」と思ったのを覚えています。しかし、そこに辿り着くまでの約2時間が本当に地獄でした。

interviewer:それは地獄ですね。

Mさん:最後は本当に楽に産ませていただいたんですけど、痛みに耐える時間が長くて「これでは話が違う!」という感じでした(笑)。無痛分娩で出産した友人からは「入院してちょっと痛いなと感じ始めた段階で麻酔を入れてもらったよ。痛みもないのでご飯も普通に食べて、一晩寝て、翌朝起きたら子宮口がいい感じに開いてきて、一気に出しましょうという感じ」と聞いていたこともあって、そんな感じを想像してしまっていたので。私の場合はそんな優雅な時間はなかったですね。

interviewer:たしかにMさんの場合は、無痛分娩とは言っても8〜9割が自然分娩と同じ状態ですもんね。

Mさん:本当にそんな感じです。麻酔科医の先生を待ってる間、イキんで赤ちゃんを出してしまいたいくらいの痛みだったんですが、看護師さんに「イキんじゃダメ」と言われて我慢しました。

interviewer:先生が来るまで止められてたんですね。

Mさん:そうなんです。いくら待っても先生は来ないし、痛みはどんどん強くなるしで、もう本当に地獄でした。最後だけは楽だったんですけど。

2人目は自宅で破水!急いで病院へ。

入院中の食事/Mさん提供写真

Mさん:2人目のお産の時は、1人目と同じことにならないように「絶対にちゃんと麻酔を打ってもらおう!」と思って挑みました。ところが自宅で破水して、すぐに病院に行ったんですが病院に到着して10分くらいで生まれちゃったんですよ。

interviewer:あっという間ですね!

Mさん:病院に向かうUber(配車サービス)の中で生まれていてもおかしくないくらいでした。破水してから急激に陣痛が進んで、病院に着いてそのまま分娩室へ直行!あまりに急だったので先生も間に合わなくて、先生不在のまま助産師さんと看護師さんにサポートしていただいて生まれました。麻酔を打ってほしいと言いましたが「もう赤ちゃんが出ているから無理です」とのことで麻酔を入れる余裕がなくそのまま自然に分娩となりました(笑)。

interviewer:麻酔を打つヒマがないくらいお産の進みが早かったんですね。

Mさん:そうなんです。

interviewer:なるほど。そういうことで2人とも計画どおりの無痛分娩とはいかなかったんですね。

Mさん:はい。この経験を通して私が言える事は「病院には早めに行きましょう!」ということです(笑)。私はそこを失敗したので。これが無痛分娩を受けるための大事なポイントだと思います。ただ、早く行きすぎると家に帰されることもあるのでそこらへんの加減が難しいところですね。

interviewer:産むギリギリまで我慢してから病院へ行ってしまうと、無痛分娩の処置をする余裕がなく赤ちゃんが生まれてしまうということですね。

Mさん:「無痛分娩PRESS」の記事を読ませていただいたんですが、日本では無痛分娩の費用は保険でカバーされないのですね。アメリカでは無痛分娩費用に保険が適応されるので「それならやろうかな」という気持ちになりやすく、心理的ハードルはかなり下がると思います。

interviewer:確かに、無痛分娩のデメリットとして費用を挙げる方は多いのでそれは大きそうですね。

Mさん:他の記事では、美味しそうなフレンチのお料理が提供されたと書いてあって羨ましかったです。アメリカの入院食はひどくて「早く退院したい」とすら思いましたので(笑)。

産後の回復は早く、家事も問題なしでした。

Mさん提供写真

interviewer:無痛分娩に対して抵抗は特になかったですか?

Mさん:事故のリスクが0ではないと聞きましたが、医療行為に100%保証されるものがないのは当たり前なことと受け止めていました。私は長男を出産したのが41歳で、長女を出産したのが44歳と高齢出産だったので産後の回復を早くしたいと思っていたんです。その為にはやはり、自然分娩よりも無痛分娩の方が断然、心身の疲労を軽減できるのではと思いました。

interviewer:産後の回復の面で無痛分娩にメリットを感じたのですね。

Mさん:両親は日本にいるので、助けを当てにできる環境ではないというのも大きかったですね。特に2人目の時はコロナでアメリカに来てもらうことができなかったので、何とか自分たちで生活を回していかなければいけないと思いましたね。産後にずっと寝ていなければいけないような状況はなるべく避けたいなと思っていました。無痛分娩をした友人からも産後の回復は早かったと聞いて「そっちに決まりでしょ」となりました。

interviewer:ご両親は無痛分娩に対してどのような反応をされましたか?

Mさん:特に反対はありませんでした。本当は言いたいことがあったのかもしれませんが、そこは分かりません。仮に反対されたとしても、親が産むわけではないのでその意見はあまり聞かないと思います。

interviewer:実際の産後の回復はいかがでしたか?

Mさん:単純に比較はできませんが、幸いなことに1人目も2人目もあまり差はなく回復が早かったです。アメリカでは産後2〜3日で退院しないといけないんです。鎮痛剤を飲みながらですが家事もできましたし、日常生活を普通に送ることができました。

interviewer:出産直後の違いはいかがでしたか?

Mさん:細かい点になりますが、1人目のお産で麻酔を使用した時は、出産の後に麻酔の状態を確認するためにトイレに行くように言われたのですが、足がガクガクして全然歩けませんでした。麻酔を打っていると、しばらく体の感覚は戻らないのでその点はデメリットかなという感じではありました。2人目の自然分娩の時は、元気だったので産後すぐにスタスタ歩いてお手洗いに行ったら看護師さんがびっくりして飛んできました(笑)。

interviewer:看護師さんが飛んできて、何て言われたんですか?

Mさん:出産直後に立ち上がって歩いたりすると、貧血で転倒して頭部を打ったりするリスクがあるとのことでした。必ず看護師さんを呼んで、一緒にトイレに行くように事前に言われていたのですが、ナースコールを押してもすぐに来てもらえなかったので自分で歩いて行ったら「ダメよ、もっとゆっくり歩いてね」という感じで怒られました。病室内にトイレがあったので数歩で辿り着ける近さだったのですが、危ないとのことでした。

interviewer:看護師さん、早めに来て欲しかったですね。

Mさん:これまた訴訟大国アメリカということもあると思います。転倒して怪我でもしたら大変なことになりますからね。

interviewer:最後に、これから無痛分娩を考えている方に向けてメッセージをお願いいたします。

Mさん:計画分娩でない場合は「とにかく早めに病院に行ってください」ですね。

interviewer:2人目の出産で得た教訓ですね。

Mさん:はい。でも早めに行き過ぎると家に帰るように指示されてしまいますのでそれも難しいところなんですが。

interviewer:アメリカはそこらへんが厳しいと聞きます。病院に入れないんですよね。

Mさん:そうなんです。病院に行くタイミングは難しいですね。子宮口が開いていても陣痛が進まない人もいれば、陣痛の強い痛みを感じていても子宮口が全然開かない人もいて、個人差が大きいので。そういう点で具体的なアドバイスが何もできないのか歯がゆいところです。

interviewer:病院に行くタイミングの見極めがキーポイントとなるんですね。

Mさん:私の場合は無痛分娩を予定していたのにできなくて、損したという気持ちが大きいですね。経験しなくていいはずの痛みを経験してしまったというか、1回目も2回目もまさしく「こんなはずじゃなかった!」という感じです。

interviewer:1回ならまだしも、まさかの2回目もですものね。

Mさん:「アメリカでは無痛分娩が主流で、痛くないから最高だよ」と聞いていたのに激痛を経験する羽目になって。「これじゃあアメリカにいる意味がない」とさえ思いました(笑)。 そんなことにならないように、やっぱり早めに病院に行くことをオススメします。

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