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2021.12.06
体験談

大田区Mさん 38歳の高齢出産で無痛分娩を決意/昭和大学病院

周りに無痛分娩経験者の友人が多く、また、高齢出産ということもあり、自然な流れで無痛分娩を選択したMさん。万が一の事態に配慮し大学病院での無痛分娩を選んだそうです。

基本data

■name/Mさん

■年齢/38

■お住まいのエリア/東京都大田区

■家族構成/夫+妻+子ども(1名)

■出産施設/昭和大学病院

■無痛分娩回数/1回

■出産費用総額/90万円台(出産基本費用約65万円+無痛分娩費用約15万円+個室料金約10万円)-42万円(出産一時金)

■無痛分娩実施時期/2020年

取材時期:2021年10月

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周囲からのオススメと、年齢を考えて無痛分娩を選びました。

Mさん提供写真

interviewer:まず、無痛分娩を知ったきっかけについて教えて下さい。

Mさん:インターネットやニュースを見て知っていました。リスクや事故について目にしてはいたものの、元々痛いのが苦手で、無痛分娩にすごく興味があったんです。あと、周りの友だちや会社の同期などで「(無痛分娩で)2人産んだよ」なんて声も多くて、1人目から無痛分娩の子もいれば、2人目は無痛分娩にしたってパターンもありました。そういった無痛分娩を経験した人たちからは悪い意見は基本なくて「すごい良かったし、オススメしたい」ということを聞いていました。ですので、リスクがあるのはわかっていたけど「メリットの方が自分にとっては多いなあ」という印象がありました。あとは、38歳で出産だったので、年齢的にもやっぱり回復が早い方がいいかなとか、病院も予約しないと埋まってしまう、というのも知ってましたので、妊娠がわかった時から「無痛分娩が良いな」と思っていました。

interviewer:人気の病院だと、妊婦さんが集中しちゃうこともありますよね。

Mさん:だから「このあたりで無痛分娩できるところ」って絞って調べました。個人病院で無痛分娩を選ぶと100万円ぐらいかかるので、昭和大学病院にしたのですが、結局90万円くらいかかっちゃいましたね。

 interviewer:高額ですね……。

 Mさん:基本の経腟分娩は約65万円で、無痛分娩は+15万円でした。また、私は個室を希望したので、個室代が上乗せされ、そのぐらいかかりました。

※昭和大学病院の分娩費用

https://www.showa-u.ac.jp/SHKT/news/albums/abm.php?d=2757&f=abm00025673.pdf&n=%E5%88%86%E5%A8%A9%E8%B2%BB%E7%94%A8%E8%A9%B3%E7%B4%B0.pdf

interviewer:情報に関しては基本的にインターネットやニュースを見て、加えて身近でもいろいろな人が無痛分娩をしていたから、疑問があったら聞けるような環境だったんですね。

Mさん:身の回りの経験者からは、無痛分娩に決めた後もどうだったかとか、どういう流れだったかを聞けました。それと、病院側もとても丁寧に「リスクはこうです」とか説明してくれたので、不安なく挑めましたね。出産自体がリスクのあることで、無痛分娩にすることで、さらにリスクがプラスされるなどは多少あると思いますが、そんなに不安はなかったかなと思います。

interviewer:無痛分娩を経験された方が周囲に多かったそうですが、確かに、ここ2~3年ぐらいで無痛分娩という言葉を耳にする機会は増えたかなという印象です。

Mさん:実は、夫のお母さんが無痛分娩かは本人もよくわからないらしいんですが、出産の際に麻酔を使ったみたいなんですよ。ケラケラ笑いながら「麻酔を使っても痛かったわよ、(自然分娩と)一緒一緒!」って言われて。夫のお母さんは約30年前なので、すごいですよ。そういう意味では、夫のお母さんは経験者だったので、まったく偏見もなかったですね。

interviewer:Mさんのご両親はいかがでした?

Mさん:「ふーん」って感じでした。「産みの苦しみは味わわないんだね」くらいで、それに対してどうこうということはなく、反対もされませんでした。

interviewer:無痛分娩にしたかったけど、周りの反対で泣く泣く自然分娩にしたって人もいるらしいと聞くのですが。

Mさん:後輩ではいましたね。実家で子どもを産むそうなんですが、無痛分娩にしたいと言ったら、家族から「そんなのあかん!」とものすごく反対されたそうで。その後輩とは「なんで反対するんだろうね」という話をしました。産みの苦しみを味わわないと自分の子を愛せないと言う人もいますが、無痛分娩でも超かわいいですよ。

interviewer:大昔だと無痛分娩などないので「産みの苦しみがあるからかわいいと思えるよ」っていう、女性を励ますための言い方だったんじゃないかと想像します。ただ、それがいつの間にか女性を縛り付ける言葉になっているような気がしますよね。

Mさん:例えば家電とかはどんどん進化して、時短が良いなんて話になるのに、なんで無痛分娩だけって思いますよね。そういう人って洗濯板で一生洗濯するつもりなのかなって。

interviewer:別のインタビューでも「無痛分娩を否定する人って、突き詰めて考えると歯を抜く時も麻酔なしでやらないと変ですよね」とおっしゃってる方がいました。

Mさん::そうなんですよね。確かにお金はかかるから、無痛分娩にしないという選択肢はあって、それは夫婦の判断によると思いますけど。無痛分娩にするのもしないのも否定されることではないと思うんですよね。夫も「15万円払うことで、痛いとか苦しいとかがないんだったらやろう」という考えでした。まあ私の方が貯金はあったので、その15万円は自分で出したのですが(笑)。

interviewer:自腹だったんですね。

Mさん:そうです。当時大黒柱だったので(笑)

Mさん提供写真

interviewer:病院を選ぶ時の基準はあったのでしょうか?

Mさん:個人病院は高いというのもありましたが、やっぱりトラブルがあった時にちゃんと対処できるかどうかは気にしました。(自分の)年齢のこともありましたし、ちゃんとした病院の方が良いのかなと思い、最終的に大学病院を選びました。

interviewer:確かに安心ですよね。

Mさん:先生も入院してから頼りになる感じだったので、そのあたりは良かったかなと思います。メインの先生が2人いらっしゃって、1人はすごく優しい方で、もう1人はたくましい感じで、すごくバランスの良い先生方で、安心できました。

interviewer:無痛分娩と一言で言っても、病院によって細かい方法が違ってくるようですね。たとえば計画分娩だと、前日から麻酔を投与するところもあれば、陣痛が来てから麻酔を打ちます、という病院もあると聞いています。Mさんの場合はいかがでした?

Mさん:「昭和大学病院」の無痛分娩は平日の計画分娩のみですね。私も友達から聞いた話だと差があって、出産の1~2ヶ月前に「ではこの日に出産しましょう」と分娩日を決めるところもあったみたいです。「昭和大学病院」の場合は、臨月に入って予定日の2週間くらい前から「子宮口はいま何cmくらい開いてますか?」と見始めて、それがある程度開いてから分娩日を決めました。それまではまったく入院日も決まらなくて、ある程度子宮口が開いた時、金曜日に診察に行くと「では月曜日に分娩しましょう」となり「日曜日に入院してください」という流れだったので、あとからバタバタと決まったなという印象です。

interviewer:その時、ご主人にも月曜日に出産だと伝えたわけですね。

Mさん:はい。コロナ禍でテレワークだったし「このあたりで計画分娩になりそうだよ」というのは言っていたので、そこは良かったですね。あと「昭和大学病院」はコロナ対応もしっかりしていて、産まれて2時間以内に来ないと子どもに会えないんですよ。もちろん、入院中は面会できないから、産まれて2時間以内に病院に行くために、ある程度この日に産まれるという予定があった方が、夫のためにもなるかなと思いました。

interviewer:2時間以内となると、スケジュールを組まないといけないですからね。

Mさん:多分、何事もなければ月曜日に産まれるかなというのが、前の週の金曜日にはわかっていたので、仕事も調整できました。だから、計画分娩で良かったかなと思います。陣痛が来て、病院に行ってから無痛分娩だと逆に子どもに会えなかったんじゃないかと。ただ、計画分娩なので、金曜日に診察して日曜日に入院しましたが、もしそれまでに陣痛が来ていたら無痛分娩できなかったんですよね。

interviewer:そういう病院もあると聞きます。

Mさん:そこはしょうがないなと思いましたけど、でも痛いのは嫌だから、お腹の子には「月曜だよ、ちょっと待ってね」って言い聞かせました。

interviewer:もし自然分娩になったら、費用はどうなるんでしょうか。

Mさん:自然分娩の料金だと思います。特に聞いた覚えはないので。入院して、背中に麻酔処置などをして料金が発生する認識でいました。

interviewer:とはいえ、結局自然分娩だったらと考えると怖いですよね。

Mさん:そうですね。それでも初産だし、予定日より前に分娩日を設定されるだろうし、それより前に産まれることはないんじゃないかなって、謎の自信がありました。周りの知り合いも予定日をオーバーして産まれてしたし。出産前は何もなかったし、大丈夫かなという気持ちではいました。

interviewer:無痛分娩を決める際は、不安はほぼない状態だったとおっしゃってましたが、実際に出産間近になると不安な部分などはありましたか?

Mさん:死亡率が高まるとか、いろいろあると思いますが、不安が増すようなことは正直そんなにありませんでした。むしろ、私の場合、へその緒が絡まっていたんですよ。それが子どもの首にまきついたり離れたりを繰り返していたから、そっちの方が心配でしたね。産まれてくるまでに子どもに栄養がうまく流れていなかったらどうしようとか。

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Mさん提供写真

interviewer:では分娩日が決まってから、土日の心境はいかがでした?

Mさん:「やべ、用意が間に合わねえ!」です。妊婦になって体のサイズが変わっていたから、授乳ブラを産前から着けてまして。そういう下着って直前まで着けているので、それをうまく洗濯して乾かして、事前に用意してある入院バッグに入れるなどのことでいっぱいいっぱいになっていました。あとパジャマどうしようとか、持ち物どうしようとか。本当にそれだけですね。

interviewer:Mさんにしかない実体験のお話で、おもしろいですね。

Mさん:何もドラマチックじゃないですよ。それに、ある程度事前に用意できるものはするけど、今着てるものって準備が1番難しくないですか?

interviewer:確かにそうですね。

Mさん:とてもくだらないことにすごく悩んでいたと思います。あとは自分が家にいる間に赤ちゃんを迎える準備ですね。事前に進めていましたけど、抜けていることはないかとか。それと、夫に「退院するまで1週間家を空けるから、ベビーベッドのふとんを干しておいてほしい」とか、そういうお願いをリストアップして。すごい現実って感じですね。

interviewer:なんだかんだ土日はバタバタしていた感じなんですね。

Mさん:忙しかったです。ただ、仲良くしている高校の同級生と一緒に「最後の晩餐」って言って、入院の前日にうなぎを食べに行きましたね。私、死ぬ前はうなぎを食べたいんですよね。

interviewer:それほど好きだと。

Mさん:ビタミンAが豊富だから妊娠中は食べ過ぎちゃいけないんですけど、月1回はいいよねと決めて。自分の誕生日にあたる13日をうなぎの日にして、「私、死ぬかもしれないもん」って大義名分をかざしてました。今もしっかり生きてるんですけど(笑)

interviewer:悔いのないようにと。

Mさん:いつ死んでもいいように、毎月13日にうなぎを食べて。それで入院前にも「もう死ぬかもしれないから食べよう」って言って。

interviewer:そんなドキドキの入院時はどうでした?

Mさん:まず、朝に「お腹が大きいのは最後かな?」と思って、お腹が大きいのがわかる写真を夫と家で撮影しました。子どもが生まれたら同じ格好で撮影したいねなんて話をしていましたね。

interviewer:朝イチで病院には行ったんですか?

Mさん:午後に入院手続きに行きました。荷物が多いので、夫に付き添ってもらいましたが、本当に荷物を持ってきてもらうだけで、病院には入れないので、そこでバイバイという感じです。それから入院日の夕方に、おまたにバルーンを入れました。翌日むりやり出産する形になるからです。バルーンを入れて、ある程度子宮口を広げる形ですね。だから、出産前日からシャワーを浴びることができなくて、しかも入院してからそれを言われて、すごいショックでしたね。「そんなの事前に言ってよ」と。

interviewer:お風呂に入るつもりだったのにと。

Mさん:産んだ日もお風呂には入れないから「え? 2日も入れないの?」って思って、ショックでしたね。病院によっては、バルーン入れたままシャワーを浴びてOKなところもあるみたいですが……。

interviewer:バルーンの想像があんまりつかないんですが、バルーンを入れたまま寝るんですか?

Mさん:そうなんですよ。あと、ちょっと汚い話で申し訳ないですが、おまたのあたりからバルーンのチューブが出ているんですよ。だからご飯食べる際に座るとバルーンの先端が見えて、ものすごく気持ち悪いんです。

interviewer:違和感がすごそうですね。

Mさん:ずっと体の中にモノが入っていて、先端が出ているから、それですごくブルーな気持ちになりました。まあそれをネタにして友だちにLINEしてましたけど。

interviewer:それで眠れるもんなんでしょうか? そんな状態だったら寝られないなと思ってしまうのですが……。

Mさん:私も寝られないかなと思ってたんですが、意外と眠れました。「明日の朝頑張らないと」と思って。

interviewer:当日はどういう流れだったんですか?

Mさん:朝からLDRと呼ばれる部屋に行きました。病院によっては陣痛が来てから分娩室まで歩いて移動するところもあるのですが「昭和大学病院」は移動の必要がなく、ひとつの部屋で完結できるLDRがあり、そこに移動しました。それから錠剤の陣痛促進剤を3回くらい1時間おきに飲んで、飲んだ後に点滴で陣痛促進剤を入れました。その後、正午過ぎくらいに「陣痛が来ているから出産開始です」という流れです。それからもたまにちょっと痛いかも、収まったかも、というのを繰り返していたのですが「痛くなったら麻酔をいつでも入れて良いですよ」と言ってもらいました。「全然ガマンする必要もないので、いつでも言ってください」くらいの感じです。とはいえ私も、ちょっと痛いのを体験したいという気持ちがありました。出産も最後かもしれませんし。それで、結構痛くなってきて、自分では早めのつもりだったのですが「麻酔をお願いします」と伝えたところ、そのお願いから「じゃあ措置の準備をしますね」となる間隔がすごく長い印象でした。

※LDR・・・陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、回復(Recovery)の頭文字を取った言葉で、陣痛から産後までを過ごすことができる部屋。

interviewer:先生が常に待機していたわけではないんですね。

Mさん:そう、助産師さんが出たり入ったりして、お話をしてという感じです。それで、措置の準備から実際措置されるまでの間隔が長くて、その間に陣痛が来て、先生からは「あなた多分陣痛とかの痛みに強そうだから、このまま産んでみては」と冗談で言われていたんですけど「いや、痛いです、すみません!」という返しをして、即効性のある麻酔を入れてもらいました。そこからは天国でしたね。ちょっとヘビーな体験になったけど、痛かったと思ってからどんどん麻酔が効いてすごくラクになりました。夫や友達と「今陣痛で」とLINEできるくらい余裕ありましたし。途中眠くなって居眠りもしましたね。助産師さんも「息む時に体力がいるから、居眠り大歓迎です」という感じで、本当に好きなように過ごせました。

interviewer:居眠りって、どれくらい寝るんですか?

Mさん:落ち着いているわけではないので、30分くらいウトウトして起きてという感じです。あとはLINEで夫に「今こんな感じだよ」とか伝えていました。

interviewer:その後出産ですね。鉗子分娩だったとお聞きしています。

※鉗子分娩・・・金属製の道具で赤ちゃんの頭を挟んで、引っ張って出す分娩。

Mさん:そうです。元々吸引分娩とか鉗子分娩になる可能性は高いと聞いていました。

interviewer:イキむ感覚はありました? 無痛分娩の経験者の方からは、へそから上は感覚があるから、腹筋をするような感じだと聞くことがあるのですが。

Mさん:陣痛が来た時にイキむようなんですが、その陣痛がそんなに感じられないんです。

interviewer:麻酔していますもんね。

Mさん:なんとなく「お腹が張ってるかな? 」くらいの時が陣痛のタイミングだったんですね。というのも、助産師さんがモニターを見ていて、モニターだとお腹が張っているのわかるから「今これ陣痛が来てます」と教えてくれて。このなんとなく張った感覚が陣痛なんだって。本来だったら激痛のところかなって、事前に頭の整理の時間があって、そこから「じゃあイキみましょう」と、イキむ練習をした後に本番でした。ただ、結局麻酔が効いていたので、張りっていうのも、張っているのか、気のせいなのかあんまり自信がなくて、助産師さんと「今ですよね?」という会話をしていましたね(笑)。助産師さんもモニターを見ながら「今だと思いますよ」とか言ってくれて(笑)。

interviewer:助産師さんはモニターしか頼りどころがないですもんね(笑)

Mさん:だから無痛分娩のデメリットをあえて挙げるとしたら、麻酔の効き方にもよるんでしょうけど、イキむタイミングがちょっとわかりづらかったところですね。自分のことながらわからないけど、とりあえずきばりますといった感じでした。

interviewer:あと「輸血するかどうかといったくらいの出血量だった」と事前にお聞きしました。

Mさん:そうなんです。自分じゃわからなかったけど、出血が多くて、産後は顔面蒼白だったらしいです。ただ、結局輸血はしなくてよいということになりました。産後にエクレアとチャーハンを食べたんですが、それが良かったんですかね、翌朝には回復していました。

Mさん提供写真

interviewer:産後はどうだったんですか?

Mさん:産後すぐに、胎盤が剥がれないというトラブルがあったんですね。それでおまたに手を突っ込まれて、胎盤を剝がされたんですよ。これがすごく嫌な感覚でして。痛みこそなかったですけど、中からメリッて感覚が……。

interviewer:話を聞くだけで痛いです。

Mさん:わかってはいるんですが「私、何されてるの?」という感じで。体の組織が中から引き離されている感覚はあるんですよ。痛みがないだけです。後日インターネットで調べたら、胎盤を剥がすのって超激痛みたいで、心の底から無痛で良かったなと。

interviewer:おっしゃるとおり、無痛で良かったですね。

Mさん:トラウマですよね。その処置が長引いたので、夫に会えたのも出産してから2時間後くらいでした。

interviewer:これって無痛分娩を選んでなかったら、難産という感じだったんでしょうか?

Mさん:出産自体は6時間ちょっとだったので、安産の域だとは思いますが、その後のトラブルがトラウマだったと感じています。

interviewer:産んで安心したら、まだあるのかって感じですもんね。無痛分娩の一般的なメリットと言われている項目にはなかなか挙がりませんが、そういう「産後の処置でトラブルが起きた時も麻酔が効いているから痛みがない」というのはメリットですよね。

Mさん:そうですね。あとは出産前も定期的に子宮口チェックがあるのですが、私の場合はそれもすごく痛くて。でも麻酔を入れた途端、何も痛くないから、どうぞどうぞと。そのあたりもすごいと思いました。出産前の陣痛以外の痛い部分もまったくなかったです。麻酔がなかったら夫に逐一「今こうだよ」とか「何時頃にイキむかも」とか状況を伝えることもできなかったでしょうね。あと、友だちとくだらないLINEもして、アホみたいな会話で気が軽くなってとかもありましたし。そういった、痛み以外のところでもすごくメリットは感じました。

interviewer:旦那さんとしては、隣にいるよりむしろ気が気じゃないですよね。ニュース速報のようなLINEが来て、落ち着かなかったでしょうね。

Mさん:そうだと思います(笑)。あと、夫には「出産が終わったら、手作りのチャーハンが食べたい」とリクエストしていたんですよ。好きなメニューなんです。それで、夫は作りたてを届けてくれようとしていたみたいで、状況をチェックして、食べられる時間を計算して作ろうと目論んでいたそうです。

interviewer:夫さんはLINEで状況を見ながら「そろそろ材料切った方がいいかな? いやあんまり早く切りすぎてもな・・・」とかやっていたわけですね(笑)

Mさん:そういう調整は彼なりにしていたみたいです。でも結局、病院に来てから2時間待たされちゃって、チャーハン冷えちゃってましたけど(笑)

interviewer:さっきおっしゃっていたチャーハンとエクレアは旦那さんの差し入れだったんですね。

Mさん:そうなんです。退院間近になって(出産後)貧血だったのにエクレアをよく食べていたのを病院の方から突っ込まれて、すごく恥ずかしかったですね。スタッフの方から「先生が『エクレアのおかげで貧血から回復したんじゃないか』って言ってましたよ」って。

interviewer:出産・処置から2時間後くらいに食べたんですか?

Mさん:2時間後に夫に会えまして、そこから1時間面会したのですが、トラブルがあったこともあり、その時はまだ食べちゃダメだったんですよ。夫が帰った後、やっとOKが出まして、そこからむさぼるようにして食べました。1日ぶりの食事だったので。

interviewer:その日は朝から食事できなかったんですよね?

Mさん:へその緒が絡まっていたから、帝王切開になるかもしれないからと言われていました。だから前の晩から食事はダメだったんです。

interviewer:出産直前のタイミングなどで「お腹減った」という実感はあったんでしょうか?

Mさん:食べていないという事実だけでもうお腹が減っていましたね。しかも喉もかわいてしょうがなかったんですが、飲み物もダメって言われてまして。 「ペットボトルに挿して使えるストローなどを持って行った方がいい」と書いてあったインターネットの記事や本を事前に見ていたので、わざわざ買ったのにまったく出番がありませんでした。唯一OKだったのはうがいで、麻酔の処置をされるまでは、トイレに行けたので、トイレでうがいしました。

interviewer:うがいでなんとか喉を潤したんですね。

Mさん:出産後はすぐに「とにかくお水を飲ましてください」って言いましたね。

interviewer:麻酔が切れてからはいかがでしたか?

Mさん:おまたが痛かったです。

interviewer:これまでインタビューしてきた中で「出産中の痛みがないぶん、一気に子どもが出てくることが多いらしく、おまたが裂けることがある」というのを聞きました。もちろん、裂けない人もいるのですが。そして、おまたが裂けちゃった人は麻酔が切れてから痛むようで、1ヶ月くらいはペンギンのようによちよち歩くくらい大変だそうです。

Mさん:日本人は裂けやすいと聞きました。私は、外資系の保険に加入していたのですが、おまたを切ったり、裂けたりした時に保険が下りるサービスで、海外だとそれほど裂けないと聞いていたので、日本人あるあるだと思っていました。

interviewer:へー。

Mさん:ただ、無痛分娩ではなくても裂けている人はいましたね。会社の同期たちは、出産した時に切れたり裂けたりすると「正面から何時の方向に裂けた」と、報告しあっていました。ちなみに私は7時の方向でした。

interviewer:無痛分娩だと、ひどく裂けてしまう例もあるようですね。

Mさん:私の場合は出産中に「裂けるといけないから切りますよ」と言われましたね。それでシャキンという音があって「切られたな」と思いました。昭和大学病院は7時の方向と決まっていたようでした。

interviewer:それらの痛みは出産中なかったと思いますが、出産時はいつもと違う感じはあったんですか?

Mさん:ウンチを出すような感覚でした。出しながら途中で止まっている感じもありました。最後は一気に出てきたのですが、その手前で子どもが挟まっている感覚もわかって、すごく不思議な体験でした。

interviewer:お子さんはその後、同じ病室にいたんですか?

Mさん:新生児室のような、赤ちゃんを預かってくれる部屋がありまして、そこに運ばれました。

interviewer:出産から退院まではどれくらいの日数でしたか?

Mさん:たしか、土曜日に退院したので、産後5日目ですね。

出産から2ヶ月で体力的にはほぼ復調。

Mさん提供写真

interviewer:ここまで出産を振り返ってもらいましたが「昭和大学病院」の良かったところはどこでしたか?

Mさん:大学病院なので、器具などはそろっていると思います。あとはやっぱり安心感がすごくありました。出産やトラブルに安心して臨める設備があり、先生や助産師の方々の対応も良くて、感謝しています。

interviewer:出産後、普通に生活できるようになるまではどれくらいの期間がかかりましたか?

Mさん:出産翌日は、それこそペンギンのような歩き方だったと思います。それでも周りからは早いと言われましたけど。その後、入院中は鎮痛剤を飲みながらではありましたが、普通に歩けていました。ただ、産後の1ヶ月くらいは円座クッションが必要でした。

interviewer:真ん中に穴があいたクッションですね。

Mさん:ソファとかに座ると痛かったので、クッションを敷いていました。あと、産後1ヶ月くらいは、近所の散歩も変な感じはしましたね。それと、子どもの頭が大きいこともあって、出産時に骨盤底筋がやられてしまったようで、入院中に尿漏れしちゃったんですよ。お漏らしだと思って、先生に相談したら「よくあることですよ」と言われたんですが、その尿漏れが怖くて外出できなかったですね。女性としては一番失敗できないなと。

interviewer:安心して外出できるようになったのは、どれくらい経ってからですか?

Mさん:出産から2ヶ月くらいですかね。ずっと不安があったんですが、ちょっとずつガマンできるようになりました。あと、産後1ヶ月後から、骨盤矯正に通いました。するとやっぱり骨盤底筋が緩んでいると言われまして、家でちょっとしたトレーニングもしました。その間、夫には「おむつ買って」なんて言って(笑)

interviewer:介護用のやつですよね(笑)。 尿漏れ以外の部分で、体力的なところは産後いかがでしたか?

Mさん:産後1ヶ月くらいはちょっと家事もしんどいなという感じでした。あとは子どもが寝なかったので、眠くて少し大変な部分もありましたね。とはいえ、体力的には2ヶ月くらいで、普通に家事をこなしたり、階段を上り下りしたりはできるようになっていたと思います。

interviewer:ありがとうございます。最後に伝えておきたいことはありますか?

Mさん:無痛分娩を周囲にはすごくオススメしていますね。イキむタイミングがわからなかったり、前日の処置に少し嫌な感じがしたり、尿管が恥ずかしかったりとデメリットも伝えた上で。それでもやっぱりメリットの方がすごく多いと周りにすすめてます。

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