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2022.07.21
体験談

NY在住Hさん【中編】 出産費用はどうなった?出産当日の流れは?

前回アメリカ(ニューヨーク)と日本の出産の違いやアメリカの出産事情等についてインタビューさせていただいたNY在住のHさん。前回のインタビュー時には妊娠中でしたが、あれから無事に無痛分娩(麻酔を使った分娩)での出産を終えられたそうです。今回は実際にニューヨークで無痛分娩をした体験を語っていただきました。

【基本data】

■name/Hさん

■年齢/35

■お住まいのエリア/ニューヨーク・ブルックリン

■家族構成/夫+妻

■出産施設/NewYork-Presbyterian Morgan Stanley Children’s Hospital

■無痛分娩回数/1回

■出産費用総額/40万円台(保険代:約45000円(月額)×7ヶ月+治療費:約10万円+妊婦健診・エコー費等:約6万円+分娩当日費用:約2万円)

※保険代はアメリカ政府による経済政策「アメリカン・レスキュー・プラン」によりおよそ半額になったとのことです。

■無痛分娩実施時期/2021年11月

取材時期:2022年2月

出産費用は想定よりもだいぶ安く収まりました。


病院からの風景/Hさん提供写真

■NY在住Hさんの前回インタビュー記事

【NY在住Hさん【前編】|ニューヨークと日本の妊娠・出産の違いについて聞いてみました。】

interviewer:出産おめでとうございます!前回のインタビューから数ヶ月経ちますが、おかわりないでしょうか?

Hさん:はい。母子ともに元気です!

interviewer:前回はアメリカ(ニューヨーク)と日本の出産の違いやアメリカの出産事情等についてお話いただきましたが、その後無事に出産されましたので、今回はHさんが実際に体験したニューヨークでの無痛分娩についてお聞かせいただければと思います。

Hさん:はい!私にお答えできることは何でも聞いてください。

interviewer:まず、前回インタビューさせていただいた際、出産費用について「100万円以内に収まったらうれしい」というお話をされていましたが、実際に出産を終えてみて出産費用の総額はいくらぐらいになりましたか?

Hさん:前回、出産のために保険に入ったというお話をさせていただいたのですが、実際にほとんどの費用が保険でまかなえたため、思っていた以上に安く収まりました。概算になりますが保険代を含めた出産費用総額で40万円台でした。

interviewer:「100万円に収まったらうれしい」と言っていたのが40万円台!これはすごい嬉しいですね!

Hさん:ここまで費用を安く抑えられたのは、バイデン大統領の「アメリカン・レスキュー・プラン」によるところが大きいです。本来だったら月々約8万円ぐらいの保険代が、約45,000円程度に抑えられましたので。6月から年末までの7ヶ月間入っていたので保険代全部で約315,000円くらいでしたね。もし「アメリカン・レスキュー・プラン」がなかったら月々約8万円×7ヶ月で約56万円の支払いだったはずです。

interviewer:20万円以上違うってすごいですよね。

Hさん:バイデンさんに感謝ですね。アメリカの医療って日本と違って、何ヶ月か後に請求書が来たりするんですよ。それも一括じゃなくて、病院の部署ごとにバラバラ送られてきたりして。

interviewer:部署ごとにバラバラに請求が来るシステム、アメリカ在住の友人から聞いたことがあります。

Hさん:だからまだ完全には安心できないのですが、さすがに3ヶ月経ったからもう請求書は送られてこないかなと思っています。

出産当日、病院に入院するまでが大変でした。

Hさんのお母様がおにぎりをつくっている様子/Hさん提供写真

interviewer:それでは早速ですが、出産当日の様子についてお話をお聞かせください。

Hさん:はい。ちょっと長くなっちゃうんですけど。陣痛が来たのが出産予定日の3日前です。朝5時半くらいにトイレに行ったら出血があって「これは、おしるし※かな?」と思っていたら、そこから定期的に痛みが来るようになりました。

※おしるし・・・血液が混じったオリモノのこと。おしるし後、数時間から数日内にお産となることが多いため出産が間近に迫っているサインとされている。

interviewer:痛みはどれぐらいの間隔でしたか?

Hさん:その時はまだ10分間隔くらいでしたね。「もしかしたら、これが陣痛かな?」って感じだったのですが、その時はまだ我慢できるぐらいの痛みでした。

interviewer:そこからはどうしたのですか?

Hさん:早朝だったため、家族が起きてくるまで待っていました。ニューヨークの朝5時半は、日本だと18時台なので、日本の友達に連絡を入れたりしていましたね。家族が起きて、病院の受付時間がはじまってから連絡しようと考えていました。

interviewer:出産に関することなので、ご家族を起こしても良かったような気がしますが、待っていたのですね。

Hさん:そうですね。まだ耐えられるくらいの痛みだったのと、どうせ陣痛が5分間隔にならないと病院には入れないとわかっていたので待ちました。「まだまだ全然大丈夫だろう」と余裕がありましたね。

interviewer:ご家族が起きてからの流れを教えてください。

Hさん:まだ陣痛と確信があったわけではなかったので、いちおう出血したことだけ連絡しようと思って病院に電話しました。そしたら「出血の様子を見たいから、すぐ病院に来てください」と言われました。

interviewer:この時はすぐに病院に行くことになるとは思ってなかったんですね?

Hさん:そうなんです。「もう行くんだ?」と思って、そこから急いで支度をはじめました。事前にザックリと入院バックは用意していたので、そこまで支度に時間はかかりませんでしたけど。入院バックやカーシート(チャイルドシート)など入退院の時に必要なものをまとめました。

interviewer:事前にある程度準備しておいてよかったですね。

Hさん:あと、出産予定日の1ヶ月くらい前から私の母親が日本から来ていまして、母は私が準備している間におにぎりをつくってくれました。

interviewer:異国での出産前に、母親のおにぎり、ホッとできますね。

Hさん:それで準備した荷物やらおにぎりなど全部一式持って、タクシーに乗り込みました。だいたい自宅から病院までが車で40分くらいの距離なんです。

interviewer:けっこう遠いんですね。

Hさん:病院についたのはお昼前ぐらいの時間帯でした。到着したら入院着みたいのに着替えて、尿検査・血圧などを一通り調べてもらいました。最後に子宮口を検査したら「まだ1cmしか開いてません」と言われ、さらに「出血の具合も普通だから、家に帰ってください」って言われたんです。

interviewer:えぇー!長い道のりを身重の身体で来たのに帰されるんですね!

Hさん:そうなんです。「この状態では、まだ入院できません」ということで。これも事前に聞いていた話なので、特に驚きはありませんでした。「やっぱりな」という感じでした。

interviewer:それで帰ったんですか?

Hさん:はい。また車で40分くらいかけて。自宅に戻ったのが14時くらいで、お母さんがつくってくれたおにぎりをみんなで食べました。

interviewer:おにぎりつくってもらっておいて良かったですね。

Hさん:美味しかったです。こうして一息ついたらなんだかドッと疲れが出てきたので、いったん昼寝しました。ちなみにこの間も定期的な痛みはちょっとだけありました。

interviewer:そうなんですね。いったん治まったわけではなかったのですね。

Hさん:はい。陣痛って10分おきとか、5分おきって言うじゃないですか。だからかなんとなく「陣痛=規則的に痛みが来るもの」と思っていたのですが、私の場合、陣痛の痛みが規則的じゃなかったんです。5分、8分、11分とか。

interviewer:Hさんの場合は、ランダムに痛みが来る陣痛だったのですね。

Hさん:そうなんです。だから「5分おきになったから病院へ行こう!」という決断がなかなかできませんでした。また病院に行って、帰されるのはもうイヤなので、慎重になりましたね。

interviewer:そうですよね。じゃあ「これは病院に行ってもいい」と自分の中で確信が持てるまで待ったということですか?

Hさん:そうです、そうです。お昼寝の後、夕飯を食べて、テレビを見てくつろいでいる時に「あれ、これは、痛いぞ!」という感じになってきまして、そうしたら一気に陣痛がどんどん進んでいったみたいで「痛い痛い痛い!まずいまずいまずい!」ってなって、急いで病院に電話しました。その時に痛みが来る間隔を計ったら3〜4分間隔でした。

interviewer:早く行かなきゃ!

Hさん:そこから夫がシャワーを浴びて、お母さんがまたおにぎりをつくりはじめて・・・。私は「う〜っ・・」って感じで痛みに耐えてましたね。

interviewer:え!?そのタイミングで夫さんひとっ風呂入るんですか!?ずいぶん悠長な・・・

Hさん:先生の許可が降りてからじゃないと病院に入れないので。その時は病院からの連絡待ちの時間だったんです。

interviewer:なるほど。病院からの折り返し電話を待っていたのですね。

Hさん:はい。でも、陣痛も3〜4分間隔で確信もありましたし、あまり悠長に待っていられない状況だったので、病院からの連絡が来る前にタクシーに乗り込みました。

入院までの最大の難関は、タクシーでした。

image

interviewer:病院まで40分かかるんですもんね。

Hさん:本当は病院からの連絡を待ってから行くのが良いんですが、その時はけっこう夜遅かったので、折り返しの電話も遅そうだなと思って。

interviewer:その時は何時くらいだったのですか?

Hさん:23時前ぐらいでした。病院についたのが23:30くらいだったので。そして自宅で病院からの連絡を待っていたのが22時くらいでした。

interviewer:陣痛が短い間隔になってから、病院に行くまでが大変だったんですね。

Hさん:はい。タクシーを待っている間も辛かったのですが、いちばん辛かったのはタクシーの車内ですね。

interviewer:その時が痛みのピークだったということですか?

Hさん:それもあるんですけど、ニューヨークって道路がボコボコなんですよ。一般道もそうですし、高速道路も。日本みたいにきれいに整備されていません。

interviewer:それは初めて知りました。日本だとなかなか考えられないですね。

Hさん:陣痛の痛みが来るタイミングで、ガタガタの道の上を走っている時は、それはもう地獄のように痛かったです。とはいえ、できることはないので、ひたすら耐えるしかありませんでした。ずっと「ワーッ!!」って叫んでいました。

interviewer:そうした困難を乗り越えて23:30に病院に到着したのですね。そこからの流れを教えてください。

Hさん:病院に到着したらすぐに病院服みたいなものに着替えて検査をしました。この時点で子宮口の開きは約4cmでした。これでようやく入院OKの許可がもらえたので、一安心しました。

interviewer:そうか!こんな状態でここまで来ても検査の結果、子宮口がまだそんなに開いてなかったら許可が出ないんですもんね。

麻酔を打つのは研修医 & 看護師さんのミスで破水

出産前の様子/Hさん提供写真

Hさん:入院できることが決まったら、あとは早く麻酔を打ってもらいたいので「とにかく早く麻酔を打ってくれ」と伝えてデリバリールーム(陣痛室)に移動しました。

interviewer:ようやくですね。

Hさん:デリバリールームに行ったら麻酔を打ってくれる先生がいるんですけど、その人がどう見ても研修医だったんですよ。事前に病院の説明で「研修医が麻酔を担当することがあります」という話は聞いていたのですが、まさか自分に当たるとは。

interviewer:ちょっと不安ですよね。

Hさん:研修医が麻酔を打つことはけっこう多いみたいです。そして患者側は研修医だからといって断ることはできなくなっています。これも事前に説明されていました。

interviewer:その人から「私は研修医です」とか言われるのですか?

Hさん:そういうのは言われないんですけど、一目でわかるぐらい、あからさまにメチャクチャ緊張しているんですよ。そして動きもメチャクチャぎこちなかったですね。麻酔に使う器具の確認にもかなり時間がかかっていました。

interviewer:麻酔を打ったのは何時くらいだったのですか?

Hさん:だいたい深夜の1時くらいだったと思います。麻酔は分娩台のベッドの上に腰掛けて、背中を丸くして打つのですが、打ってる時に動いてはいけないと言われて、それはけっこうつらかったですね。15分くらい動いちゃいけない状態だったのですが、その間に3〜4回陣痛がきまして、ここで動いちゃいけないのは大変でした。そこからしばらくして、深夜1時半くらいに麻酔が効きはじめてきました。

Hさん:麻酔が効いてからはベッドに横になりました。そこからいったん仮眠をとりました。

interviewer:おぉ!眠れたんですね。

Hさん:はい。2〜3時間は眠れたと思います。そしたら看護師さんが子宮口の開きをチェックしにやってきました。検査して「いま6cmですよ」と教えてくれたんですが、その時にたぶん看護師さんが羊膜を割っちゃったんですよね。子宮口を検査されている時に「バチン!」っていう感覚があって、それで破水しました。

interviewer:えぇ!看護師さんのミスってことですか?

Hさん:はっきりとはわかりませんが、たぶん・・・。看護師さんは「大丈夫大丈夫!」みたいな感じでした。

interviewer:怖いですね。

Hさん:それで30分くらい経ってから、私の部屋にドクターやら色んなスタッフの方々が一気に入ってきました。別室でモニタリングしていたらしんですが「破水の衝撃で赤ちゃんがビックリして心拍数が急激に下がっています」と言われて。

interviewer:ええー!?全然大丈夫じゃなかったですね。

Hさん:やってくれちゃったんですよ。で、子宮口を確認したら10cmになっていたとのことで「じゃあ今からイキみましょう!」って言われて、いきなり産む感じになりました。私の場合この時でも陣痛が不規則だったので、なかなか合わせてイキむのが難かったですね。

interviewer:最後まで規則的な陣痛にはならなかったんですね。

Hさん:おそらく全部で5〜6回陣痛の痛みが来たと思うんですけど、だいたい30分くらいで赤ちゃんが産まれました。朝の5時くらいですね。

生まれたての赤ちゃん/Hさん提供写真

interviewer:看護師さんが破水させちゃったのを除けば、麻酔から産まれるまでは順調だったということですね。

Hさん:そうなんです。

interviewer:イキむのは上手くできましたか?

Hさん:陣痛がランダムだったのでタイミングを合わせにくいところもあったのですが、看護師さんがモニターを見ながら「いまイキんで!」って合図をくれたので大丈夫でした。時々「いまのイキみ良かったよ!」とかも言われたのですが、どういう感じが良いイキみなのかは掴めませんでした。何回か合図に合わせてイキんで、頭が出てきたくらいで「ちょっと待ってストップストップ!」と言われました。

interviewer:なぜ止められたんですか?

Hさん:最終的に赤ちゃんを取り上げるのが産科の医師じゃないとダメという決まりがあるらしくて、ちょうどその時に先生がいなかったから、頭がちょっと出てるくらいの中途半端なところでストップして、先生を待ちました。

interviewer:先生はすぐ来てくれましたか?

Hさん:2〜3分で来てくれたと思うんですが、お股のところで頭が出かかっている状態だったから、めちゃくちゃ違和感がありましたね(笑)。ものすごい大きなものが挟まっている感覚とでも言うのでしょうか。それでも痛み自体はありませんでした。先生が到着したら、もう1回イキんで、そしたら赤ちゃんが出てきました。

interviewer:無事に生まれて良かったです。

【後編 】に続きます。

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