アメリカ・オハイオ州hazさんの体験談「麻酔直後に血圧低下!」
ご主人の仕事の関係で、妊娠中に日本からアメリカのオハイオ州に移住されたhazさん。麻酔を入れた直後に血圧が低下したものの、迅速かつ適切な処置で無事に無痛分娩で出産されました。そんなhazさんのアメリカでの無痛分娩体験談をお伺いしました。
【基本data】
■name/hazさん
■年齢/妻_29 夫_29
■お住まいのエリア/アメリカ オハイオ州
■家族構成/夫+妻+ 子ども(3名)
■出産施設/Bethesda North Hospital
■無痛分娩回数/1回
■無痛分娩費用/総額約50万円(4,500ドル:妊婦健診950ドル+入院・分娩3,400ドル+無痛分娩の麻酔150ドル)※2021年当時のレート
■無痛分娩実施時期/2021年
取材時期:2022年9月
アメリカでお産といえば無痛分娩。自然な流れで無痛分娩を選択しました
interviewer:アメリカのオハイオ州にお住まいとのことですが、移住の理由は何でしたか?
hazさん:主人の仕事です。妊娠22週の時に渡米して、アメリカで出産しました。
interviewer:オハイオ州の場所を地図で調べてみたんですが、ニューヨークから車で10時間くらいの場所なんですね。
hazさん:そうです。ちょうど先週、飛行機でニューヨークに行ってきました。飛行機だと2時間くらいの距離です。
interviewer:赤ちゃん連れでの移動は大変だったんじゃないですか?
hazさん:そうですね。近々日本に一時帰国しようと考えていたので、赤ちゃん連れで飛行機に乗る練習も兼ねて旅行に行ってました。
interviewer:国外でお産されると、そういう大変さもあるんですね。
hazさん:そうですね。
interviewer:では早速ですが、無痛分娩を知ったきっかけを教えてください。
hazさん:「無痛分娩」という言葉自体は、昔から知っていました。自分で無痛分娩について詳しく調べようと思ったのは妊娠してからです。
interviewer:ご自身が妊娠してから、無痛分娩について調べ始めたんですね。
hazさん:そうですね。私の場合は妊娠が分かった時点で、アメリカで出産することが決まっていたので「無痛分娩でのお産になるんだろうな」と思って無痛分娩について調べ始めました。
interviewer:アメリカでは無痛分娩が主流だという事前知識もあったということですね?
hazさん:はい、そうです。
interviewer:hazさんは無痛分娩に抵抗はありませんでしたか?
hazさん:初めは全くありませんでした。痛みに耐えなくて済む、というポジティブなイメージしか持っていなかったので、無痛分娩に抵抗がある人の理由がずっと気になっていました。あえて自然分娩を選択する理由と、麻酔のリスクについては知る必要があると思い、情報収集を始めました。
interviewer:なるほど。無痛分娩を選択することに対する心理的ハードルは全くなかったんですね。
hazさん:はい、そうです。
interviewer:無痛分娩についての情報はどのように収集しましたか?
hazさん:インターネットで調べました。無痛分娩ができる産院のホームページに掲載されている体験談を読んだりしましたね。
interviewer:実際に経験された方のお話しは気になりますよね。病院のホームページ以外には何を見ましたか?
hazさん:YouTubeで「無痛分娩」というキーワードで検索しました。そうすると「無痛分娩体験(〇〇クリニック)」のような動画がたくさんヒットしたので、そういう動画からも情報を収集しました。
interviewer:産院が運営しているYouTubeチャンネルもあるんですね。
hazさん:そうですね。産院のYouTubeチャンネルや、お産に関係するメディアのYouTubeチャンネルもありました。最初はそういったYouTubeチャンネルを主に見ていましたね。その後に、アメリカで出産した日本人の方が発信している個人のYouTubeもけっこう見ました。
interviewer:なるほど。専門家が発信してるものを最初に見て知識をつけた後に、個人の体験談もたくさんチェックされたんですね。
hazさん:はい。
interviewer:hazさんがご自身の無痛分娩体験について発信されているInstagramを拝見させていただいたのですが、すごく素敵で分かりやすかったです。
hazさん:ありがとうございます。
interviewer:hazさんもInstagramで他の方の無痛分娩体験談を参考にされたりしましたか?
hazさん:調べてはみたんですけど、当時はInstagramで無痛分娩についてわかりやすく発信してる人はまだ少なかったです。
interviewer:最近はYouTubeで情報を取られている方が増えているなと感じます。YouTubeやSNSが流行る前は個人の方のブログも重宝されていたのかなと思うのですがどうでしょうか。
hazさん:もちろん私もそういったブログも読みました。ブログで発信されてる方はまだまだいらっしゃると思います。海外で出産された方のブログはけっこう読みましたね。
interviewer:そうなんですね。ホームページ、YouTube、ブログなどそれぞれに得られる情報に違いがあるのかなと思うのですが、hazさんはどこからの情報が一番役に立ったと感じますか?
hazさん:1つに絞るのは難しいですね。病院のホームページは、当たり前ですが良いことしか書いてないイメージが正直ありました。無痛分娩について「すごくよかったです」「Happyでした」というような感じでまとまっていることが多いですね。
interviewer:そうですね。ネガティブなことはあまり書きませんよね。
hazさん:そうですよね。「無痛分娩を選択して後悔してます」という体験談はなかったですね。でも無痛分娩についての基礎知識や、リスクについての専門家による解説は重要だと思いました。一方で個人の方のブログは「実はこんなことが起きてめちゃくちゃ大変でした」というリアルな体験談を知れるのがとても参考になりました。
interviewer:情報収集は1箇所ではなく、いろんな媒体を活用すると良さそうですね。
hazさん:そうかもしれません。いろんな角度からの情報を得たことがよかったと思います。
interviewer:hazさんの病院選びの基準を教えてください。
hazさん:私が選んだ産院は、夫の会社の先輩の奥様が出産されたところなんです。渡米する前から相談に乗ってもらい、同じところにしようと決めていました。決め手は、移住先の地域に住んでいる日本人がよく利用する産院だという点ですね。通訳サービスがあったことも大きな安心材料になりました。
interviewer:検診の時も通訳サービスを利用できるとhazさんのInstagramで拝見しました。「そんな便利なシステムがあるんだ!」と驚きました。
hazさん:通訳サービスは、アメリカでは一般的のようです。田舎の病院だと通訳サービスがないところもあるらしいのですが、移民が多い地域であればほとんどの病院で利用できるみたいです。通訳さんを挟む分、コミュニケーションが2倍になるというデメリットはありますが、ありがたいサービスですね。
interviewer:それはすごく助かりますね。慣れない環境で、言語も通じない中でのお産となると不安ですものね。
hazさん:そうですね。通訳さんがいて本当に心強かったです。
interviewer:「Bethesda North Hospital 」を選んだ理由が他にもありましたら教えてください。
hazさん:家から車で15分くらいと、近かった点も大事だと思いました。出産する病院と検診を受ける診療所(ドクターズオフィス)が別になるのですが、ドクターズオフィスへも車で10分くらいで行けました。
interviewer:出産費用は当時のレートで総額で約50万円ということですが、それについてはどう感じましたか?
hazさん:100万円くらいかかる横浜の産院の情報を見ていたこともあり、それを基準に考えていたのでどちらかというと安く感じました。
interviewer:ご出身が神奈川県ということですので地元周辺の産院が参考価格として念頭にあったのですね。
hazさん:はい。そうでした。
interviewer:hazさんは計画無痛分娩ですか?それとも自然な陣痛を待ってからの無痛分娩ですか?
hazさん:自然な陣痛を待ってからの無痛分娩でした。
interviewer:それは病院選びの条件として重要視していたのですか?
hazさん:いえ、結果的に選んだ病院がそういうスタイルだったという感じです。渡米前から産院は決めていたものの「分娩予約の手続きはしたけど、無痛分娩を希望する旨はいつ誰に伝えればいいんだろう?」と分からないことだらけで(笑)。何回か健診に通っても一向に案内がなかったので、本当に自分の分娩予約が取れているのか不安になりました。ナースに「無痛分娩したいのですが、いつ誰に言えばいいんでしょうか?どこで予約すればいいんでしょうか?」と率直に質問したんです。そうしたら「麻酔は病院についてからあなたが入れたいと思った時に言ってくれればいいのよ」と言われて。「そもそも無痛分娩をすることが前提だから、予約は必要ないんだ。」とそこで知りました。
interviewer:日本では計画無痛分娩の病院が多いと思いますので、アメリカとの違いを感じるお話しですね。
hazさん:その通りですね。
interviewer:hazさんが無痛分娩にすると伝えた時の周りの反応はどういった感じでしたか?
hazさん:夫は全然抵抗なく「そうだよね。そうしよう」という感じで、全くネガティブな反応ではありませんでした。私の両親も「そうなんだ、そうだよね」と私に対しては肯定的な反応でしたが、実は心配もあったみたいで、無痛分娩についてけっこう調べたみたいです。後で改めて「無痛分娩について調べてみたんだけど、アメリカは医療が発達してるから、安心して産めるんだろうね。私も安心したよ」と母から連絡をもらいました。
interviewer:不安に思いつつも最初から否定することはせず、ご自身で調べられたんですね。理解のあるお母様、素敵です。ご主人は無痛分娩についてネガティブなイメージがなかったんですね。むしろポジティブなイメージをお持ちだったのでしょうか。
hazさん:100%ポジティブだと思います。「アメリカだから無痛分娩でいけるね。やったね!」という感じでしたね。
interviewer:同世代のご友人もやはり無痛分娩についてはポジティブに捉えている方が多いですか?
hazさん:「アメリカで無痛分娩で産んだよ」というお話しをすると「えー!どうだった?どうだった?!」という感じでみなさん聞いてくれますね。ポジティブな感じで「教えて」という感じです。
interviewer:みなさん気になるところですよね。
hazさん:そうですよね。
interviewer:無痛分娩をするにあたって、不安なことや疑問はありましたか?
hazさん:無痛分娩の体験談を調べていく中で「麻酔で下半身の感覚が鈍くなるのでイキみづらくなる場合がある」とか「お産が長引くことがある」ということを知りましたが、必要以上に不安になることはありませんでした。むしろ「そういうこともあるんだな」と先に知れたので、その点は覚悟しておこうと思いましたね。
interviewer:なるほど。むしろデメリットを事前に知れたことで心の準備もできたという感じでしょうか?
hazさん:そうですね。色々調べたことで心構えができました。
interviewer:事前リサーチが役立ったのですね。失敗談も含め、いろんな方のお産の体験談を読むことで、疑似体験するような感じで心の準備ができるという側面もあるんですね。
hazさん:ほんとにその通りだと思います。おかげで、お産に対して「怖い」とか「不安」みたいなネガティブな感情があまりなく「やっと赤ちゃんに会える!」というようなポジティブな気持ちで出産を迎えられたなと思います。
麻酔の後に急激な血圧低下!アメリカのチーム医療ならではの迅速かつ適切な対応に安心感を覚えました
interviewer:分娩の当日のお話を聞かせてください。
hazさん:予定日の前日から陣痛が始まって、予定日当日に出産しました。
interviewer:おぉすごい!
hazさん:予定日が近づいて「まだかな?まだかな?」と毎日ソワソワしてました。予定日の前日になって「そろそろ出てきてもいいぞ」と私も完全に気持ちの準備が出来たので、ジムで少し歩いたんです。そしたら、陣痛が来て「いよいよお産か!」とすごく楽しみな気持ちでした。無痛分娩を体験できるのも楽しみでしたね。
interviewer:赤ちゃんに会えるのも楽しみだし、無痛分娩を体験できること自体にも楽しみを感じてたんですね。
hazさん:はい「いよいよアメリカで出産するぞ!」というワクワクした気持ちでした。
interviewer:理想的な状態ですね!お産ってやっぱりママの心理状態で進み具合が違ってきますものね。
hazさん:そうですよね。
interviewer:陣痛が来てから、どのくらいで病院へ行ったのですか?
hazさん:ジムに行った後に陣痛っぽい痛みを感じて、お昼頃には痛みの間隔が7分くらいになったんです。病院に行こうか迷ったんですが、お昼ご飯を食べたら痛みが落ち着いたので様子を見ることにしました。その時の陣痛の間隔は20分くらいでした。
interviewer:陣痛の間隔はどのように測ったんですか?
hazさん:陣痛間隔を簡単に記録できる「陣痛タイマー」というアプリを使いました。
interviewer:それは便利ですね。
hazさん:一旦陣痛は遠のいたのですが「明日には産まれそうだな」と思って、その後は夕飯を食べて、お風呂にも入ってゆっくりと過ごしました。夫にも「運転もあるからしっかり寝ておいてね」とお願いして、入院の準備を整えて、一緒に夜の10時には就寝したのですが、私は陣痛の痛みがあったので全然寝れませんでした。その時の陣痛記録を見ると10分間隔くらいですね。それから2時くらいに本格的に陣痛が始まり、3時頃には間隔が6分を切っていたので、病院に電話をしてから向かいました。
interviewer:ご主人が家にいる時でよかったですね。
hazさん:そうですね。タイミングもばっちりでした。
interviewer:無痛分娩にかかった時間は何時間でしたか?
hazさん:病院に着いたのが朝の4時で、出産したのが15時なので、11時間ですね。
interviewer:病院についてからの流れを教えてください。
hazさん:朝4時に病院に着いてから、処置室に入れたのが5時でした。バイタルチェック(脈拍や血圧などの測定)やコロナの検査をしました。血液検査ではドラッグのチェックもされましたね。
interviewer:ドラッグ検査が標準というあたりがアメリカならではですね。hazさんは英語は話せるのですか?
hazさん:少ししか話せないので、そこは通訳さん頼みでしたね。
interviewer:病院についてすぐ、通訳さんがいるんですか?
hazさん:はい。最初はiPadを使ったビデオ通訳で、産まれる直前からは女性の通訳さんが分娩室に来てくれました。
interviewer:それは心強いですね。
hazさん:はい。それから7時に麻酔を入れてもらいました。
interviewer:麻酔を入れるタイミングはどのように決まったんですか?
hazさん:ナースに「麻酔入れたい?」と確認されました。陣痛も5分間隔になっていて、すごく痛かったので「痛いから今入れてください!」とお願いしたら「OK~麻酔科のドクター呼ぶね」という流れで、5分後には麻酔科医の先生が来てくれました。それで、最初に通された処置室から分娩室にベッドごと移動して、分娩室で麻酔を打ってもらいました。
interviewer:とてもスムーズな流れですね。
hazさん:そうですね。陣痛と陣痛の間の、しっかり止まっていられる時を狙って麻酔を打ってもらいました。多分消毒の処置をされていたんだと思うんですが、背中に冷たい感覚を感じました。「絶対動かないで」と言われて、私は夫に支えてもらう形でベッドの上で胡座をかいて前かがみになりました。チクっと針を刺される感覚がありましたね。
interviewer:麻酔の処置は痛かったですか?
hazさん:事前に調べた中には「痛い」という情報もあったのですが、私は全然痛くなかったです。「え?今のかな?」という程度でしたね。私の感覚ですが、チクっとされた後に、じわっと水が通るような冷たい感覚があって、じわじわとピリピリしてきて、その後にあったかい感覚がありました。
interviewer:その感覚はどこらへんに感じたんですか?
hazさん:背中から腰に掛けてですね。麻酔を打ってすぐ、15分くらいなるべく動かないようにと言われました。麻酔を打った後も感覚を確認されるんですが、その間にも陣痛の波は来るので「あ、今きてます!ちょっと待ってください」みたいな感じで(笑)。
interviewer:どんな確認をされるんですか?
hazさん:耳鳴りはしないかとか、金属の味はしないかなど、変な症状が出ていないかを聞かれました。陣痛の痛みで、何をどう答えたかは覚えていないです(笑)。
interviewer:最初、麻酔が効いていく間隔はどんな感じでしたか?
hazさん:夫と母が「ここってどんな感じなの?」と足をツンツンしてきたりするので(笑)。麻酔を打ってすぐは触られた箇所の感覚があったのですが、徐々に感覚がぼんやりとしてきました。11時の破水時には、自分で足を動かせない状態でした。
interviewer:パートナーさんとお母様も麻酔の効き具合に興味津々だった様子が伝わります(笑)。
hazさん:麻酔の効き方に左右差があったので、ナースが「左が効いていないみたいだから身体を左下にしましょうか」という感じでサポートしてくれて体制を変えたりしました。
interviewer:なるほど、そういうことがあるんですね。
hazさん:そうですね。ナースが足を触りながら「こっちは大丈夫?」とか「どう?」と麻酔の効き具合を確認してくれました。水分を取りながら、すごくゆったりとした気持ちで「もう後は赤ちゃんが降りてくるの待つだけ。いつかなぁ」と赤ちゃんに会える瞬間を楽しみにしていましたね。
interviewer:麻酔を打った後はどうなりましたか?
hazさん:それが、麻酔を打って15分後に血圧が急激に下がってしまったんですよ。麻酔の副作用だと思うんですけど。急に耳鳴りがして、ドクターに「耳鳴りがします」と伝えたんです。そう言ってるうちに、だんだん気持ちが悪くなってきて、寒気で体がガタガタ震えてしまって。
interviewer:えぇ!それでどうなったんですか!?
hazさん:過去に血圧が下がる経験をしたことがあり、その時と似た感覚だったので「今これは血圧が下がってるんだな」と自分で分かりました。それまではナースと麻酔科医しかいなかった分娩室に、バタバタと12人くらいの大人が入ってきて一瞬で取り囲まれました。
interviewer:えぇ!!
hazさん:本当にあっという間の出来事でした。酸素マスクなどを付けられて、すぐに血圧を上げる薬を入れてもらいました。そしたら血圧はすぐに回復して「もう大丈夫ですよ。安心してください」と言われました。
interviewer:その時のhazさんは何を思われましたか?
hazさん:すぐに集まってきたスタッフの数にびっくりしたのと、赤ちゃんの心拍数がちょっと下がったと聞いたときはとても心配でした。でも、すぐに迅速に適切な処置をしてくれたのは「さすがアメリカのチーム医療だな」と救われた気持ちになりましたね。「アメリカで良かった」と思いました。
interviewer:なるほど。緊急時の迅速的確な処置に心強さすら感じたのですね。
hazさん:そうなんです。「あ、絶対大丈夫だ」って思えました。
interviewer:その後お産に対して、不安な気持ちを引きずったりとかすることはなかったんですか?
hazさん:とても丁寧に説明をしてくれたので、不安を引きずらずに済みました。「あなたの血圧は一旦こういう数値から、こういう数値に下がって」や「赤ちゃんの心拍もこうなったけど、こういう処置をしたから、今こうなってて大丈夫だからね」ということをすごく丁寧に説明してくれました。早口ではなくすごくゆっくり教えてくれて、その後も安心してお産に臨むことが出来ました。
interviewer:よかったですね。
hazさん:そうですね。
interviewer:その後はどんな感じでしたか?
hazさん:その後は麻酔の量も適切に調整してもらいながら、気分も元に戻ったので体力を回復しようと思って少し寝ました。ナースが定期的に血圧を測りに来てくれるのでずっと寝ていた訳ではないですが「特にやることはないし、後はもう赤ちゃんが産まれてくるのを待つだけだな」と思って、一旦寝ることにしたんです。
interviewer:前の日の夜も陣痛で寝ていないですもんね。
hazさん:そうなんです。夫と母が来ていたんですけど、夫と母もその間に少し仮眠を取ったみたいです。
interviewer:立ち会い出産だったんですか?
hazさん:そうです。
interviewer:分娩室にお母様もご主人も入れたんですか?
hazさん:はい、事前の申請もとくに必要なく、普通に入れました。
interviewer:2人も入室OKだったんですね。いいですね。
hazさん:すごく広くてきれいで、ソファもテレビもトイレもついていて、ホテルみたいな部屋でした。
interviewer:何時くらいまで寝たんですか?
hazさん:寝たり起きたりしながら、11時に人工的に破水してもらいました。
interviewer:人工的に破水させたんですね。
hazさん:はい。子宮口が約7センチの時に「破水しますね」とドクターに言われました。その時には麻酔もしっかりと効いてたので、破水の処置中もぼやっとした感覚しかなかったですね。
interviewer:破水した後も余裕だったのですね。
hazさん:はい。ドクターに「多分あと3時間から4時間くらいで産まれてくるよ」と言われて、本当にその4時間後に産まれてきました。産まれてくる時間をはっきりと言われてからは「じゃあ3時くらいには産まれるんだ!」と思って、ワクワクしてきました。
interviewer:いいですね〜!「いよいよだ!」と気持ちが更に盛り上がってきた感じですね。
hazさん:そんな感じでした(笑)。
interviewer:産まれる瞬間までずっと、安定的に落ち着いて過ごしていた感じですか?
hazさん:はい。モニターで陣痛がくるタイミングが分かるのですが、お腹が張ってる感覚を自分で感じることはできました。モニターを家族と一緒に見ながら、母が「あ!もうすぐ次の陣痛が来るんじゃない?」とか言って。陣痛がくると私も「あ、確かになんか、ちょっと来てる気がする」という感じで、痛みはなくて、ぼんやりお腹が張ってるかもしれないという感覚でした。
interviewer:そうなんですね。
hazさん:2時45分にドクターがチェックしに来てくれて「子宮口も約10cm開いてるから、今からプッシュを始めましょう」となりました。
interviewer:「プッシュを始める」とは赤ちゃんを産むためにイキむということですか?
hazさん:そうです。ドクターが私の足と足の間に座って、その後ろに鏡が置いてあって、赤ちゃんが出てくる様子を私も鏡で見ることができるようになっていました。
interviewer:鏡ですか!?初めて聞きました。
hazさん:ナースに「鏡は置きたい?」と直前に聞かれて、私も「えっ鏡ですか?何に使うんですか?」と聞いてしまいました(笑)。そしたら「あなたが赤ちゃんが産まれるところを見れるでしょ」と教えてくれて「なるほど!お願いします」と鏡を置いてもらうことにしました。鏡は縦に長い、普通の全身鏡です。
interviewer:自分も赤ちゃんが産まれる瞬間をママ自身も見れるっていいですね!
hazさん:ドクターのすぐ後ろに通訳の方が立ってくださって、私の左足を助産師さんが、右足は夫が持ってくれたんですね。それで私は力を入れるという体勢での出産方法でした。
interviewer:日本の立ち会い出産のイメージでは、ママの頭側に立つことが多いと思うんですがどうですか?
hazさん:はい、私もそういうイメージがありました。手を握って「頑張れ!」みたいな(笑)。左足側の助産師に「私と同じようにやって」と指示されて、夫は「分かりました」という感じで。夫が一番びっくりしたと思います(笑)。私としては「共同作業だな」とお産を一緒に頑張っていると感じることができてよかったですね。
interviewer:それでその後はどうなったんですか?
hazさん:ドクターが1から10まで数えてくれるんですね。その10秒間、私は息を止めて力を入れるんです。10秒経ったら「はい、力抜いていいよ〜」と言われるという感じです。ちなみに指示は、ドクターが言ったことを通訳さんが日本語に訳してくれます。力を入れて、抜いてという1サイクルを1プッシュと呼ぶのですが、4プッシュ目で息子に会えました。
interviewer:スムーズ!
hazさん:はい、プッシュを始めてから15分で産まれてきました。
interviewer:産まれてくる瞬間はどんな感じでしたか?
hazさん:「麻酔で感覚がないからイキみづらい」という情報も事前に見ていたので実際はどうなのかなと思っていました。足を持たれてる感覚はないんですが、お腹の感覚はあるので、腹筋をする感じでお腹に力を入れてイキむことができました。麻酔が効いていて自分で足を動かすことはできなかったので、周りに助けられながらではあったんですけど。
interviewer:そうなんですね。
hazさん:なんとなく「こうかな?」という感じで探り探りだったのですが、ドクターが「オッケー!グッジョブ!パーフェクト!」とめちゃくちゃ褒めてくれるので、言われた通りにやりました。
interviewer:麻酔が適切に効いて、お産もスムーズに進んで言うことなしですね!
hazさん:はい(笑)。
interviewer:赤ちゃんが出てくる時の感覚はありましたか?
hazさん:少しありました。
interviewer:痛みはないけど産まれてくる感覚も感じることができて、ちょうどいい麻酔の効き具合だったんですね。
hazさん:そうですね。色々あったけど私の無痛分娩は無事成功といえるなと思います。
カンガルーケアで深まった母子の絆
interviewer:分娩が終わってからの流れを教えてください。
hazさん:私がインターネットの動画等で見た日本のお産では、赤ちゃんが産まれたらすぐに持っていかれて、拭かれて綺麗な状態の赤ちゃんがお母さんの胸元に戻ってくるというパターンが多かったのでそういうイメージをしていました。しかし実際には生まれてすぐの赤ちゃんをまず私の胸の上に乗せてくれたんです。
interviewer:おぉ〜!
hazさん:カンガルーケアというんでしょうか?「はいママ、抱っこしてね」と言われて、私の胸に今出てきたばかりの赤ちゃんがやってきました。そのまま私の上でナースが赤ちゃんのからだをタオルで拭いてくれたりしました。
interviewer:えぇ〜!すごい!
hazさん:おむつもそこでさっとつけてくれて。私の上で手際よく色々と処置をしてくれました。母が撮ってくれたビデオを後で見てみると、私はただただ「あぁ産まれてきた!かわいぃ〜!」と産まれたての息子に夢中でした(笑)。
interviewer:日本ではカンガルーケアをしたい場合は、事前に希望を伝えておく必要があったり、カンガルーケアをやっている病院を探す必要があると思うのですが、そういったことは一切伝えてなかったんですか?
hazさん:特に伝えていなかったですね。バースプランの提出はしていませんでした。そもそもバースプランをいつ誰に出せばいいのかも分からなかったということもあります。それと、途中からは「流れに任せて、アメリカのスタンダードの出産を経験してみよう」と思うようになったので、あまり調べすぎず、考えすぎずお産に臨もうと決めていました。
interviewer:必要なところはしっかりリサーチした上で、後は現地の普通をありのままに体験してみようというフレキシブルさが素敵ですね。
hazさん:結果的にはカンガルーケアも体験できて、最高でした。
interviewer:カンガルーケアをしている間に、後陣痛はありましたか?
hazさん:私の隣で通訳さんが「胎盤が出ましたよ」と教えてくれたのは覚えているのですが、痛みも感覚も全くありませんでした。会陰切開の縫合も「いつの間にやっていたの?」と後で夫に聞いたくらいです。
interviewer:後陣痛もいつあったのかわからないくらいに痛みを感じなかったのですね。病室に戻られたのはどれくらいしてからですか?
hazさん:その後は2時間程分娩室でゆっくりとして、病室に移動しました。看護師さんにおぶさりながら車椅子に移って、私が赤ちゃんを抱っこして病室まで移動しました。
interviewer:赤ちゃんも抱っこして、一緒に移動するんですね!日本だと移動可能な赤ちゃん用のベッドに乗せて移動するイメージがあるので抱っこして移動というのは新鮮に感じました。
hazさん:「ママが抱っこしてね」と言われたのが嬉しかったです。
interviewer:無痛分娩から退院までは何日でしたか?
hazさん:24時間の予定だったのですが、息子の黄疸の様子を見る必要があったので48時間になりました。2泊3日ですね。
interviewer:1泊延長になったとのことですが、hazさんも一緒に入院されたのですか?
hazさん:はい、そうです。完全個室で、夫も一緒に泊まりました。
interviewer:ご主人用のベッドもあるんですか?
hazさん:はい、ソファベッドのような簡易タイプのベッドでしたが、付き添いの人の分も寝る場所がありました。
interviewer:付き添いの人のご飯はどうされたんですか?
hazさん:私の分と付き添いの人の分が出ます。
interviewer:え!付き添いの人の分まで用意してくれるんですか!
hazさん:ホテルのサービスみたいな感じで、メニューを見て電話でオーダーする形式でした。
interviewer:素晴らしいサービスですね。
hazさん:はい。でもご飯は日本の方が格段に美味しいと思います(笑)。
interviewer:完全に日本の美味しいご飯を想像していました(笑)。メニューの内容はどんな感じですか?
hazさん:ハンバーガーやピザ、あとはサンドイッチやスープ、チキンですね。
interviewer:当たり前ですがアメリカンですね。
hazさん:そうですね。フルーツの盛り合わせやスイーツも少しありました。
interviewer:お味はどうでしたか?
hazさん:ジャンキーですごく味が濃くてびっくりしました。でもとにかく産後でお腹が空いてたので、夫よりたくさん頼んだことを覚えています(笑)。
interviewer:そうですよね。無事に出産を終えて、お腹も空きますよね。
hazさん:はい。病院についてから何も食べていなくて。
interviewer:無痛分娩後の疲れや体力消耗はどんな感じでしたか?
hazさん:出産後数時間で歩いてお手洗いに行けました。お手洗いはお部屋の中にあるのでベッドから数歩で行けるのですが、最初のお手洗いは必ずナースが付き添うことになっていました。麻酔がどれくらい切れているか、丁寧にヒアリングして経過観察してくれましたね。
interviewer:個室でお手洗いが近いと助かりますね。
hazさん:産後は母乳専門の人が来たり、赤ちゃんのお世話の人が来たり。出生届等の手続き関係の人が来たりして、全然落ち着けなかったです。基本的には母子同室ということもあり、入院中の2日間はほとんど寝ていない気がします(笑)。
interviewer:入院中は色々と忙しかったんですね。
hazさん:はい。やることがぎゅっと詰め込まれている感じでしたね。
interviewer:赤ちゃんのお世話は具体的にどんなことをしに来てくれたのですか?
hazさん:赤ちゃんのお世話係みたいな方が来てくれて、赤ちゃんのシャンプーをしたり身体を洗ったりしてくれました。やり方を教えてくれるのではなく、私たちはそれを後ろから見ているという感じですね。
interviewer:お部屋の中に赤ちゃんを沐浴させる設備があるんですか?
hazさん:はい、一般的な洗面所がついていました。
interviewer:必要な設備がお部屋に全て揃っているんですね。
hazさん:そうですね。基本的に私は個室から出ていません。
interviewer:麻酔が切れてからの痛みはどうでしたか?
hazさん:痛みはありましたが「今のうちに色々覚えなきゃ」と必死だった記憶の方が強くて(笑)入院中に「痛み止め(アセトアミノフェン)」と「便を柔らかくするお薬」が2日分処方されたのと、産後3日目に日本から持ってきていた痛み止めを念のため飲みました。
interviewer:日本からも痛み止めをご自身で持参されていたんですね。
hazさん:はい。その後、4日目以降は飲まなくても大丈夫な状態に落ち着いたと記憶しています。病院で処方していただいたお薬はどちらもアメリカでは市販で手に入るお薬なので「必要なら薬局で買ってねと」医薬品名も教えてくれましたが、結局必要なかったので購入はしませんでした。
interviewer:産後どれくらいで体力が普通に戻ったと感じましたか?
hazさん:家に帰宅してすぐから普通に動けていたので、3日目ですかね。いつも通りの生活が送れていたと思います。
interviewer:スムーズに産後をスタートできたんですね。
hazさん:はい、そうですね。産んだ直後から同室で家族3人で過ごせましたし、夫も一緒に勉強できたのがとても良かったです。そのおかげで、退院後もすぐ夫婦で協力して、スムーズに育児をスタートできたと感じています。
interviewer:素晴らしいですね。「Bethesda North Hospital」について、hazさんが良かったと思うポイントを教えてください。
hazさん:良かったところは、母乳育児専門のスタッフ(ラクテーションコンサルタント)が常駐してたことです。そのスタッフが個室で母乳育児の教育をしてくれて、日本語訳の資料ももらえました。「授乳に関して不安なことがあったらいつでも聞いてね」と名刺をくれたんです。なかなか上手く授乳ができなかったので、次の日にも連絡して2回目の個別レッスンを受けました。
interviewer:それはすごく助かりますね。
hazさん:そうなんです。私と赤ちゃんのケアをしてくれる、いろんな専門のスタッフがいるという点がすごく心強かったです。ただ、先ほどもお話ししたとおり、代わる代わる違う人が来て申し送りも自分の部屋でやるのでゆっくり休めなかったというデメリットもありますが(笑)。
interviewer:hazさんが感じた無痛分娩のメリットについて教えてください。
hazさん:やっぱり「痛みが怖いな」とか「不安だな」という気持ちが解消された状態で出産当日を迎えられたことが、私としてはすごく良かったなと思っています。
interviewer:デメリットはどうでしょうか?
hazさん:メリットの方が大きいと思ってはいますが、私も経験したように麻酔の副作用が全くない訳ではないので、リスクも勉強して納得した上で選択することが大切だと思います。
interviewer:最後に「無痛分娩PRESS」の読者の皆様にメッセージをいただけますでしょうか。
hazさん:もしかしたら周りの方に無痛分娩について何か言われることもあるかもしれませんが、出産するのは自分自身なので、無痛分娩に限らず自分が納得できる方法を選択できればいいんじゃないかなと私は思います。
interviewer:その通りですよね。お産は赤ちゃんとママのものですからね。ありがとうございました。
アメリカ・オハイオ州hazさんのインスタアカウントはこちら!
今回お話を伺わせてもらったアメリカ・オハイオ州hazさんのインスタアカウントはこちら
https://www.instagram.com/haz_us_mom/
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