岡山県 看護師Yさん 自然も無痛も和痛も経験/岡山愛育クリニック
岡山県にお住まいで看護師をされているYさん。1人目のお子様を自然分娩、2人目のお子様を無痛分娩、3人目のお子様を和痛分娩でご出産されたそうです。しかも3人ともコロナ禍での出産!現代の代表的な分娩方法をコンプリートされているYさんに、無痛分娩の体験談から和痛分娩の体験談まで、出産にまつわる様々なお話をお聞きしました。
【基本data】
■name/Yさん
■年齢/妻_30 夫_33
■お住まいのエリア/岡山県
■家族構成/夫+妻+ 子ども(3名)
■出産施設/岡山愛育クリニック
■無痛分娩回数/1回
■無痛分娩費用/約48万円(基本費用43万円+無痛分娩費用5万円)-42万円(出産一時金)=約6万円
■無痛分娩実施時期/2020年9月
取材時期:2022年8月
1人目は自然分娩、2人目は無痛分娩、3人目は和痛分娩で産みました!
interviewer:本日はよろしくお願いいたします。Yさんはどちらにお住まいなんですか?
Yさん:岡山県出身で、今も岡山県に住んでいます。
interviewer:おぉ!「無痛分娩PRESS」では初の岡山県の方へのインタビューになります!
Yさん:そうなんですね!
interviewer:Yさんはお子様が3人いらっしゃると事前にお聞きしています。
Yさん:はい。全員コロナ禍での出産で、1人目は自然分娩、2人目は無痛分娩、3人目は和痛分娩で産んでいます。
interviewer:現代の代表的な分娩スタイルをコンプリートしていますね!全部体験されたという方のお話を聞くのも「無痛分娩PRESS」では初めてです。では、その辺りのお話も後ほどお伺いさせていただければと思います。
Yさん:はい。よろしくおねがいします。
interviewer:Yさんが無痛分娩を知ったきっかけを教えてください。
Yさん:「これを通じて知った」という明確なものはなく、気づいたら知っていましたね。
interviewer:なるほど。それだけ無痛分娩が世の中に浸透してきたということなのかもしれませんね。
Yさん:そうですね。自然な流れで知ったような印象です。
interviewer:2人目のお子様の出産の際に、無痛分娩を選んだ理由を教えてください。
Yさん:1人目のお産がもう本当に痛すぎて・・・。「このままだと、もう二度と子どもを生むことは出来ない。次に出産することがあったら絶対に無痛分娩にしよう」と心に決めました。だから2人目の出産の病院選びも「無痛分娩ができる病院であること」を絶対条件として選びました。
interviewer:無痛分娩をするにあたって、どのように情報を集めましたか?
Yさん:ネットで検索したり、YouTubeやInstagramで情報収集しました。
interviewer:お産された病院名を教えてください。
Yさん:「岡山愛育クリニック」です。
interviewer:他にも候補はありましたか?
Yさん:自宅から少し離れたところであれば他にも無痛分娩ができる病院はあったのですが、陣痛中の移動で渋滞にハマってしまうリスクは取りたくなかったので自宅から車で約20分の「岡山愛育クリニック」にしました。田舎なので選択肢は限られていますね。
interviewer:ちなみに1人目のお子様は別の産院ですか?
Yさん:はい。3人それぞれ別の産院です。
interviewer:無痛分娩の費用はいくらぐらいかかりましたか?
Yさん:無痛分娩費用が5万円でした。
interviewer:5万円ですか!すごく良心的ですね。
Yさん:そうですよね。5万円で痛みを軽減できるならいいと思いました。
interviewer:過去に「無痛分娩PRESS」でインタビューさせていただいた中では最安です!
Yさん:私も、大阪に住んでる友人は20万円だったと聞いて金額の差に驚きました。
interviewer:ご主人はYさんが無痛分娩を選択することに関してどのようなリアクションでしたか?
Yさん:いい意味でノーリアクションでした。1人目のお産の壮絶さを見ていたので「痛くないんだったらそっちの方がいいよね」という感じで反対されるようなことは全くなかったです。
interviewer:ご両親の反応はいかがでしたか?
Yさん:両親からもネガティブなことは何も言われなかったですね。
無痛分娩後、麻酔が切れてから異変が!
interviewer:無痛分娩をするにあたって、不安や疑問はありましたか?
Yさん:不安はたくさんありました。まずは計画無痛分娩についてなのですが「岡山愛育クリニック」での無痛分娩は計画無痛分娩なので、産む日を事前に決めるんです。立ち会い出産を希望していたので、夫が仕事を休める日を考慮して出産日を決めたんですが「子供の誕生日を親の都合でこんな風に決めていいのかな?」という気持ちがありました。
interviewer:なるほど。
Yさん:本来は赤ちゃんが産まれたいタイミングで自然に陣痛がくるものなのに、こちらの都合で陣痛促進剤を使っていいものかと。先生は「予めいつ産まれてくるか分かっているのも、色々と準備できていいですよ」と言ってくれたんですが・・・。
interviewer:促進剤も麻酔も人工的な処置ですからね。
Yさん:当たり前ですが「人工的」ですよね。お産の直前まで「本当にこれでいいのかな?」と迷いました。お産という自然な行為に医療介入することに対する不安が大きかったですね。麻酔を使用するにあたっても、私は注射がすごく苦手で(笑)。「骨と骨の間に針を刺すなんて耐えられるかな!?」という不安もありました。
interviewer:麻酔を入れるには針を刺すのは避けて通れない道ですものね。他にはどのような不安がありましたか?
Yさん:「予定日よりも前に自然に陣痛がきたらどうしよう」とか、痛みのレベルについても痛さがどれくらい緩和されるかは人によるので「自分はどれくらいだろう?」と不安でしたね。無痛分娩をした友人の話を聞くと「全然痛くなかった」という人もいれば「叫ぶほど痛かった」という人もいたりとそれぞれで、体験談はすごく参考になるのですが、自分がどうなるかまでは分からないので。
interviewer:そうですよね。実際その時になってみないと分からないですものね。
Yさん:1人目の出産が痛すぎてお産自体がトラウマになっていたので、痛みに対する恐怖が大きかったです。予定日の1ヶ月前ぐらい前からは不安で、時々しくしくと泣いたりしていました。無痛分娩についての不安ではありませんが「2人の子供の育児は大丈夫なのかな?」ということもありました。
interviewer:ただでさえホルモンバランスも不安定ですしね。Yさんのご友人は無痛分娩経験者がけっこういらっしゃるんですね。地方ですと都会ほどまだ無痛分娩が浸透していないのかなとも思っていたのですが。
Yさん:もしかしたら無痛分娩費用が都会ほど高額でないので選択しやすいというのもあるかもしれませんね。
interviewer:それではここからは無痛分娩当日のお話をお伺いしたいと思います。病院に向かう当日はどのような心境でしたか?
Yさん:病院に向かう時は、上の子と離れるのが悲しくて泣けてきました。長く離れるのは初めてだったので。
interviewer:ちなみに入院中は上のお子様はどうされていたのですか?
Yさん:夫が見てくれて、私の母もご飯を作りに通ってくれたりとサポートしてくれました。
interviewer:お産は何時間くらいかかりましたか?
Yさん:朝の9時に入院して、産まれたのはちょうど15時です。
interviewer:早いですね!麻酔を打つ時や、お産の最中の痛みはどのような感じでしたか?
Yさん:痛みはそこまでではなかったのですが、注射針を刺すのが怖かったです(笑)。手術室特有の殺風景な感じも心地の良いものではなかったですね。針を打つために動かないように指示されるんですが、恐怖心から「ビクッ」と動いてしまわないかと心配になって。看護師さんに「動かないように押さえておいてください」とお願いしました。まず局所麻酔を打ったのですが、それは「チクッ」とするぐらいの痛みでしたね。それから麻酔針を刺されて、針が入ってくる感覚がはっきりと分かりましたが、痛みはなくてグググっと押される感じがしました。麻酔液が注入される時は冷たい水が入ってくるような感覚がありましたね。
interviewer:針を刺されることに対する恐怖心が伝わってきます。
Yさん:自分では処置されている箇所が見えないので怖かったです。しっかりと見えてもそれはそれで怖いですが(笑)。「次は何をするんだろう?先生、ちゃんと声をかけてからやってくださるかな?」と不安でしたが大丈夫でした。
interviewer:そうですよね。事前に何をするか声かけがあるのとないのとでは全然違いますよね。
Yさん:麻酔を入れてから30分程して、内診をしたんですが全然痛くなかったんです。麻酔を打つ前の内診は痛かったのですが。先生曰く「さっきより強い力でやってるよ」とのことでしたが全然痛くなかったので、麻酔が効いてきたんだなと思いました。その後は点滴をつけたまま病室に戻って、促進剤を追加していきました。
Interviewer:その後の痛みはどうでしたか?
Yさん:お腹が張る感覚があって「あぁ〜ちょっと痛いな・・・」という感じでした。お腹の下から子宮口のあたりがズキズキ痛いというか、生理痛のようなズンっと重い痛みがありました。でも1人目の壮絶な痛みを思い出して「陣痛ってまだまだこんなもんじゃない。あの時の痛みに比べたら全然マシ!」という感じでした。
interviewer:1人目のお産は大変だったとおっしゃっていましたね。
Yさん: 1人目のお産は破水から産まれるまで1日半かかって、夜も寝れず本当に大変でした。促進剤を使ったためか陣痛がすごく痛くて。それと比べるとマシだと思って痛みに耐えていたのですが、様子を見にきてくれた看護師さんが「辛そうだから、ちょっと麻酔を追加しましょうか?」と言ってくれて麻酔を追加してもらいました。
interviewer:1人目のお産で痛みの基準値が上がっていたんですね。
Yさん:そうですね(笑)。看護師さんから、赤ちゃんの心拍が下がりやすいから、上向きじゃなくて、横向きの姿勢でいるように言われてそうしていたのですが、片方だけ痛みを強く感じたので、寝る向きを調整したりしました。
interviewer:重力の関係もあるのかもしれませんね。
Yさん:そうですね。その後、お尻のあたりに圧がかかるのが分かってきて。赤ちゃんの頭が出てこようとしている感じですね。それで14時50分に分娩台に移動して15時に産まれました。
interviewer:分娩台に上がって10分で産まれたんですね!
Yさん:そうなんです。5回くらいイキんだら産まれました!
interviewer:麻酔が効いている最中でも問題なくイキむことはできましたか?
Yさん:下半身の感覚はハッキリとは分からなかったんですが、踏ん張ることは出来ました。余裕があったので、お産の途中で赤ちゃんの頭を触ることもできたんです!よく「無痛分娩では子供に愛情が湧かないんじゃないか」ということを言われますが、私は1人目のお産は痛すぎて赤ちゃんが産まれた時の感動を味わう余裕なんてありませんでした。お産が終わった直後は「終わったの!?私、今生きてる!?」という感じで(笑)。「赤ちゃんですよ〜」と看護師さんが赤ちゃんを抱っこして見せてくれた時もまだお産の疲れで息切れしていて、会陰を縫う痛みもあってそれどころじゃありませんでした。
Interviewer:1人目の時は赤ちゃんとの対面を味わう余裕はなかったんですね。
Yさん:2人目の無痛分娩では逆に、産まれた我が子を見て「あぁかわいい!」と思える余裕がありました。
interviewer:全然違ったんですね。
Yさん:全然違いました!会陰の傷も2人目は縫わずに済んだので産後が格段に楽でした。経産婦ということもあるかもしれませんが、イキむ時に痛みで変に力が入らなかったのが良かったのかもしれません。
interviewer:会陰が裂けて縫うことになると産後はキツイと言いますよね。
Yさん:1人目は会陰を縫いましたが産後もすごく痛かったです。2人目となると上の子がいるので「休んでていいよ」と言われてもなかなかそうはいかないので「縫わずに済んでよかったな」と思いました。
interviewer:麻酔が切れてからの痛みはどうでしたか?
Yさん:痛みはなかったです。ただ麻酔を入れた時から体の奥がゾワゾワする感覚がありました。お産を終えた直後にベッドで休んでいたら体がガタガタ震え出して、呼吸が早くなってきたんです。さらに涙がボロボロ勝手に出てきてしまって。
interviewer:えぇ!それからどうなったんですか?
Yさん:同じ部屋に祖母と主人もいたんですが、産まれたばかりの赤ちゃんに夢中で2人とも最初は私の異変に気づいてくれなくて(笑)。「出産で疲れているだけかな?」と思っている間にさらに息が上がってそれに気がついた家族がナースコールを押してくれました。それから酸素マスクやモニターをつけてもらって1時間くらいして症状は治まりました。病室に戻る際に「歩けますか?」と聞かれて、歩こうとしたら倒れそうになったので車椅子で移動したという感じです。
interviewer:麻酔の副作用だったのでしょうか?
Yさん:それもあると思います。あとは精神的な部分も影響したのかもしれません。1人目のお産の時も痛みで泣いて過呼吸になったんです。そういうこともあったので、私自身の不安な気持ちも関係してるかもしれないと思うんです。
interviewer:なるほど。たしかに精神状態は体調に影響を与えそうですね。その後は退院までに大きなトラブルはありませんでしたか?
Yさん:はい、特に何もなく退院することができました。
interviewer:大事に至らずよかったですね。入院は何日されましたか?
Yさん:生まれた次の日から数えて4日間入院しました。
無痛分娩を経験した後に、3人目のお産で和痛分娩を選択した理由とは?
interviewer:「岡山愛育クリニック」の良かった点を教えてください。
Yさん:良かったのは「個室でリラックスできた」ことです。あとはご飯がとても美味しかったですね。良かった点でないのですが、実は最初に担当していただいた先生とは少し相性が合わなくて、お産の直前に別の先生に変更してもらいました。最初の先生はサバサバした感じで、そういうタイプの先生が良いという人もいると思うのですが、私には少し物足りなくて。お産は2度目でも不安なことはあるので、もう少し寄り添ってくれる先生がいいなと思いました。かなり迷いましたが、変更後の先生とは違和感なくやりとりできたので思い切って変更して良かったなと思います。出産って本当に大事なことですから、先生との相性も重要ですね。それもあって、3人目は先生の人柄を重視して別の病院を選びました。
interviewer:なるほど!そういう経緯で3人とも違う病院でお産されたのですね。毎回お産の経験を通して、より自分の心地よいと思える環境を選択されていて素晴らしいです。
Yさん:3人目もできれば無痛分娩が良かったのですが、先生との相性を優先したので無痛分娩は諦めました。
interviewer:なるほど。その病院では無痛分娩をやっていなかったんですね。せっかくなので和痛分娩についてもお聞きしたいんですが、Yさんが和痛分娩をされたのはどちらの病院ですか?
Yさん:「井上医院」です。ここの先生がすごく優しいんですよ。検診もお産も、だいたい先生ご本人が対応してくれるので安心感があります。
interviewer:和痛分娩ではどのような処置をするのでしょうか?
Yさん:私の場合は静脈麻酔を使用した和痛分娩で、痛みについては「約3〜5割軽減できる」と説明を受けました。
interviewer:無痛分娩と比べて麻酔の効きにどのような違いがありましたか?
Yさん:麻酔を入れると気分が落ち着いて、眠たくなるような感じがしました。麻酔が効き過ぎると寝てしまう人もいるらしいです。ボーッとして、呼吸が浅くなる感覚になりました。気を張っていないと寝落ちして戻ってこれなくなりそうで。意識がハッキリしている無痛分娩とは違って、脳を鎮静させるという感じでしたね。
interviewer:無痛分娩とは全然違う感覚だったのですね。麻酔はどのタイミングで入れましたか?
Yさん:破水から入院して、ある程度子宮口が開いてから麻酔を入れました。ボーッとするような感じになるんですが、痛みはけっこうあるんですよ。麻酔は5分に1度、ボタンを押して麻酔を追加することができました。
interviewer:「和痛」というだけあって、やはり痛みはゼロにはならないんですね。
Yさん:麻酔が切れてくると「痛い痛い痛い!」となって、麻酔を入れるとまたボーッとして、という繰り返しでした。「自然分娩と無痛分娩はやったから、経験として和痛分娩もしてみよう」と思ってやってみたのですが、痛かったので「和痛分娩はやらなくて良かったかな」と思っています。お産が終わってから先生に感想を聞かれたので「普通に痛かったです」と答えたら「そうですよね」とのことでした(笑)。
interviewer:費用はおいくらでしたか?
Yさん:2万円くらいだったと思います。
interviewer:産後、体力が元に戻ってきたなと感じたのはいつでしたか?
Yさん:産後2週間くらいから家事をしたり動いていたと思います。上の子がいてゆっくりしていられないというのもありますが、1人目の時は回復に1か月くらいかかったので「1人目の時は痛みで疲れてたんだなぁ」と思いましたね。
interviewer:そんなに差が出たんですね。
Yさん:1人目の時は全てが初めてのことで「陣痛と出産は痛い」という認識はありましたけど「お産の後も痛い」というのは自分が体験するまで知りませんでした。
interviewer:なるほど。
Yさん:産後も慣れない赤ちゃんのお世話や抱っこで肩が凝ったり、会陰を縫った跡が痛かったり、授乳も最初はなかなか上手にできなくて痛かったりするということを知りませんでした。産後もそういったいろんな痛みがあって、1人目の時は気持ちも安定せず悲しくなったりしましたね。2人目の無痛分娩では、痛みがなかった分、産後の気持ちがずいぶんと楽でした。
interviewer:実際に無痛分娩を体験してみて感じたメリットを教えてください。
Yさん:やっぱり「痛くない」ことですね。実際に無痛分娩をしてみて「歯医者さんで歯を抜く時は麻酔をするのに、なぜお産の痛みは麻酔をせずに産むのが当たり前みたいになっているんだろう?」と思うようになりました。お産の壮絶な痛みを経験した後に、街ですれ違うお母さんたちを見て「麻酔なしであんなすごいことを成し遂げたのに、自慢したり威張ったりせずに普通に歩いてる!」ってなりました(笑)。
interviewer:「英雄だらけだ!」という感じですね(笑)。
Yさん:もっとドヤ顔をしていいと思います!栄誉賞みたいなバッチを胸に貼るとか(笑)。それくらいの偉業だと私は思います。
interviewer:そうですね。海外在住の方からしたら、逆に麻酔しないことが理解できないという話しも聞きます。
Yさん:海外では麻酔科医が常駐している病院が多いんですよね。
interviewer:国の医療体制の違いも関係しているみたいですね。例えばアメリカでは検診は小さいクリニック、産むのは大病院になります。大病院にドクターを集中できるので、無痛分娩の受け入れ体制が充実するんですね。日本はクリニックでもお産ができるので、海外から見ると珍しいみたいです。
Yさん:大病院まで行かなくても家から近いクリニックで産める点や、健診からお産まで担当の先生にずっと診てもらえるというのはメリットだと思いますが、安心してどこでも無痛分娩ができる体制がもっと整ってほしいと思います。
interviewer:無痛分娩のリスクについてはどうお考えですか?
Yさん:無痛分娩に関するネガティブなニュースを見ると不安になりますが、そもそもお産自体がノーリスクではないと思っています。
interviewer:そうですよね。無痛分娩と言えばリスクにフォーカスされがちですが、自然分娩もノーリスクではないですからね。
Yさん:自然分娩をしたからといって絶対母子共に健康かどうかは分からないですから。なので、私にとってはデメリットよりも「痛くない」というメリットの方が大きいですね。
interviewer:逆に無痛分娩で「ここはデメリットだな」と思うところはありますか?
Yさん:「お産」というよりも「医療行為」や「処置」という感じが強いのがデメリットでしょうか。本来は自然に来るはずの陣痛を、促進剤を使うことでホルモン調整をして人工的に起こすことや、痛みも薬でなくすというのがやはりすごく人工的といいますか。産む時も痛みが軽減されている分「自分で産んだ」という感覚が薄かったです。「自分で出産した」というよりは「先生がしてくれた」という感じが強かったですね。「3人目は和痛分娩をやってみようかな」と思った理由でもあります。
interviewer:自然分娩、無痛分娩、和痛分娩を全てコンプリートした結果、もし次のお産があるとしたらどのお産方法を選択しますか?
Yさん:やっぱり「痛くないのが1番!」なので、できれば無痛分娩がいいですね。産後に体力を残しておきたいのと、上の子のケアにも余裕を残しておきたいです。
interviewer:自分に余裕がないと、上の子を優しく気遣うのもなかなか難しいですよね。
Yさん:我が家は上の子もまだ小さいので「抱っこして」と言ってくるのを「無理」というのもかわいそうで。無痛分娩の当日、夕方に上の子が病院に面会に来たんですが、座ったまま抱っこして「ほら、赤ちゃんだよ」と言って赤ちゃんを見せてあげることができたんです。そういう時間を持てたのは無痛分娩だったからかなと思ったりしました。
interviewer:なるほど。
Yさん:産後は動かない方がいいと言いますが、退院後も上の子がいるとどうしてもそうは言っていられない場面も多いので。
interviewer:そうですね。アメリカで出産された方に聞いたんですが、アメリカでは逆に動いた方がいいと言われたりもするみたいです。
Yさん:え〜!そうなんですか!
interviewer:国によってけっこう違いがあるみたいですね。
Yさん:そうなんですね!特に祖母の世代からは「産後は1ヶ月は動かない方がいい」と言われました。産後無理をすると更年期の時にそのツケがくるとか。
interviewer:アメリカと逆ですね。
Yさん:やっぱりアメリカは無痛分娩が浸透していることも関係するのでしょうか。そういえばイギリスのキャサリン妃も産後すぐに退院していて、その様子がニュースで流れていましたよね。
interviewer:見ました、見ました!
Yさん:自分が実際にお産をするまでは特に何も思いませんでしたが、経験してからは「お産を終えて間もないのに綺麗にお化粧をして、髪もボサボサじゃないし、クマもできていない!まだ出血もあるはずなのに、綺麗な服を着て、どうしてこんな風に人前に出てこれるの!?」と衝撃を受けましたね。キャサリン妃も無痛分娩だったと知って「なるほど」と思いました。
interviewer:あのスピード退院は日本ではありえないのでビックリですよね。
Yさん:一概には言えませんが、私自身は「痛くない方がいいに決まっている」と思っています。無痛分娩の良いところは痛みから解放されるという点でしょうか。ただ、それは絶対約束されているものではないということも伝えたいですね。私もいろんな人の体験談を聞きましたが、希望するタイミングで麻酔を打てなくてそれまで痛みに耐えたというパターン、病院に着いた時にはもうお産がかなり進んでいて麻酔の処置が間に合わずに結局自然分娩になったというパターン、麻酔は打ったけどなかな効かなくて痛みで叫びながら産んだというパターンなど本当に人それぞれです。私は希望通りに痛みが軽減されたので、お産の直後に「これなら何人でも産めそうです!」と看護師さんに言ったら「今回うまくいったからといって次回も同じようにいくとは限らないですよ」と言われ「なるほどな」と思いましたね。
interviewer:麻酔が全然効かないというパターンもあるんですね。
Yさん: 私は看護師として働いていたので、麻酔の効きに個人差があるのというのをたくさん見てきました。その方はテキーラをたくさん飲んでもなかなか酔わないほどお酒に強い方で、お酒が強い人は麻酔も効きづらいのかもしれないと思いましたね。とはいえ麻酔との相性は本当に人によって違うのでこれはあくまでエピソードの1つとして捉えてもらえればと思います。
interviewer:貴重なお話をたくさんありがとうございました。最後に「無痛分娩PRESS」の読者様でこれから無痛分娩をやろうかどうか迷っている人に何かメッセージをお願いいたします。
Yさん:身近な人の体験談だけではどうしても数が限られるので「無痛分娩PRESS」のようなサイトでいろんな人の体験談や意見を聞いた上で決められたらすごくいいと思います。もし親や祖父母世代から無痛分娩についてネガティブなことを言われたとしても、世代が違うと考え方も違ってくるのは当たり前なのでそれは仕方ないと捉えると良いかもしれません。例えば祖母の時代は海外のお産の情報はなかなか入ってこなかったと思いますし。産むのは自分ですし、痛いのも自分です。後になって「あの時誰々に自然分娩で産みなさいと言われたから」と人のせいにはしたくないですよね。だから自分が後悔しないように決めたらいいのかなと思います。
interviewer:そうですね。「お産をするのは誰でもない、自分自身」ですね。本日はありがとうございました。