福岡県 パリ出身ベネさんの体験談 /井槌病院
日本でも多くの人が憧れる芸術の都パリの出身で、福岡県に在住のベネさん。無痛分娩で2人のお子さんを出産されています。そんなベネさんに、無痛分娩の話と共に日本とフランスの出産事情や子育て事情についてお聞きしました。
【基本data】
■name/ベネさん
■年齢/35
■お住まいのエリア/福岡県福岡市
■家族構成/夫+妻+長男(2歳)+次男(0歳)
■出産施設/井槌病院
■無痛分娩回数/2回
■出産費用総額/55万円前後(出産基本費用 約40万円台+無痛分娩費用 約10万円台)-42万円=13万円前後
■無痛分娩実施時期/ 2020年9月・2022年7月
取材時期:2023年1月
日本のアイドルの曲がきっかけで、フランスから日本へ移住。
interviewer:ベネさんはフランス出身とのことですが、フランスのどちらのご出身ですか?
ベネさん:フランスのパリです。
interviewer:憧れます!人生で1度は行ってみたいです。
ベネさん:ホントですか!ありがとうございます。
interviewer:日本の福岡在住とのことですが、日本に来られたのは何年前からでしょうか?
ベネさん:2012年からですので、日本に来て11年目になります。
interviewer:日本に興味を持つことになったきっかけを教えてください。
ベネさん:中学生の頃にはじめて日本語を耳にして、そこから興味を持つようになりました。
interviewer:フランスの中学生が日本語を聞くきっかけは、何だったのでしょうか?
ベネさん:友達がJ-popの曲を聞かせてくれたんですよ。
interviewer:そのアーティストは誰だったのかわかりますか?
ベネさん:有名ではないアイドルグループの曲だったので、アーティスト名は覚えてないですね。
interviewer:日本のアイドルの曲を聞いて、日本語に興味を持ったのですね。日本語のどんなところに惹かれたんですか?
ベネさん:日本語の言葉の美しさとリズムですね。それをきっかけに日本語を勉強するようになりました。日本語を勉強したら、さらに日本語のことを好きになって、実際に日本に訪れてみたら、もっともっと日本のことが好きになりました。
interviewer:日本に住もうと思った経緯を教えてください。
ベネさん:フランスにいた時から日本がすごく好きで、暮らしはじめる前から何回も日本に旅行に来ていたんです。だからフランスの学校を卒業したら、日本に住もうと決めていました。日本に来てからは日本語学校に入って日本語を学び、卒業後は日本の企業に就職しました。
フランスの無痛分娩事情。
interviewer:以前見たデータによると、フランスは無痛分娩率が欧米の中でも特に高いですよね。フランスでは、無痛分娩つまり麻酔を使った分娩が当たり前という感覚でしょうか?
ベネさん:そうですね。当たり前です。逆に無痛分娩をしたくない場合は、先生に言わなければいけません。そうでないと、自動的に無痛分娩になると思います。
interviewer:それだけ普及しているのですね。
ベネさん:母が私を出産した時も無痛分娩でしたし、子どもの頃から「出産=無痛分娩」というのが当たり前の環境でした。
interviewer:日本では無痛分娩がまだまだ普及していないのですが、来日当時からこの情報を知っていましたか?
ベネさん:はい、知っていました。私は痛みにすごく弱いので、出産の痛みが怖かったんですね。だからもし日本で結婚して子どもを生むことになったら、1回フランスに帰って無痛分娩しようかと考えていました。すごく遠いですけど(笑)。
interviewer:地球を股にかけた里帰り出産になりますもんね(笑)。
ベネさん:それで自分が結婚して妊娠した時、だいたい妊娠1〜2ヶ月くらいかな。妊娠がわかった時点で無痛分娩できる病院を探してみたら、いくつか無痛分娩ができる病院があることがわかって、さらに調べてみると住まいから割と近い場所に良さそうな病院を見つけました。それが「井槌病院」だったんです。
interviewer:日本で無痛分娩をするにあたって、情報収集などしましたか?
ベネさん:あんまりしていないかな。あ!日本では病院によって、無痛分娩ができるのは平日の昼間だけのところや24時間無痛分娩可能なところがあったり、痛みゼロレベルまで麻酔を効かせてくれる病院や麻酔を弱めにかける病院など、病院によって無痛分娩のやり方が違うことを知って、自分が出産している病院がどんな無痛分娩のやり方なのかは調べました。
interviewer:たしかに日本では病院によって無痛分娩のやり方が違ってくるので、そこはきちんと調べたいですよね。
ベネさん:調べてみたところ「井槌病院」のやり方は、フランスでの無痛分娩と同じスタイルだったので安心しました。
interviewer:病院を調べる際には、フランスのやり方に近いところという基準で選ばれたのですか?
ベネさん:まず無痛分娩ができるかどうかが基準で、さらに24時間365日無痛分娩が可能というのは大きかったですね。そんな病院がたまたま自宅から通いやすいところにあったっていう感じです(笑)。
interviewer:それはすごくラッキーでしたね(笑)。
ベネさん:緊急で病院に行く必要がある時などに、近くてすごく助かりました。
interviewer:日本で無痛分娩を選ぶと、通常の分娩費用に加えて無痛分娩費用がかかるのですが、それはどんな印象ですか?
ベネさん:日本では無痛分娩費用がかかるのは、まぁしょうがないかなという印象ですね。フランスは全部無料なんですよ。
interviewer:無痛分娩費用がですか?
ベネさん:フランスでは出産費用自体が無料なんですよ。その他の医療費もだいたい無料になりますね。
interviewer:めちゃくちゃ手厚いですね!
ベネさん:出産などでお金がかかったり、フランスとは事情が違うことは日本に住む前からわかっていたので、国によって違いがあるのは当たり前ですから、しょうがないですね。
interviewer:お国が違うと、全然違いますね。
ベネさん:夫のご両親は「無痛分娩で出産したかったら、お金は我々で出すので本当に遠慮しないでやってね」と言ってくれました。
interviewer:めちゃくちゃ優しいですね。
ベネさん:フランスの母にも「お金出すから無痛分娩で産んで」って言われて、両方の両親から「お金出す」って言われたんですよ(笑)。
interviewer:すごい(笑)!
ベネさん:もともと無痛分娩費用については自分たちで払うつもりで、そこまで気にしてなかったのですが夫の両親からは「高かったら私たちお金出すから!」と言ってくれましたね(笑)。
interviewer:日本だと親が無痛分娩に反対するケースもときどき聞くのに、すごい柔軟な考えのご両親だと思います。
ベネさん:本当ですか?日本では無痛分娩に反対されることもあるんですか?
interviewer:そうですね。けっこう反対されたという話は耳にしますね。現在50〜60代以上の世代は、自分たちが若かった頃に世の中に無痛分娩がほとんどなかったんですよ。その影響なのか「麻酔を使わず、痛みに耐えて出産してなんぼ」という価値観の方が多いんですよね。あと単純に自分たちの知らない分娩方法だから、不安というのもあると思います。
ベネさん:夫のお母さんも出産の時の痛みがつらくて嫌だったから「あんな思いをするんだったら無痛分娩にして」と言われました。
interviewer:素晴らしいお母様ですね。
ベネさん:本当に良いお母さんです。
1人目の時は出産直後に熱がでました。
interviewer:無痛分娩当日の流れを教えてください。
ベネさん:私は2人の子どもを無痛分娩で出産しているのですが、どちらも破水から始まりました。
interviewer:陣痛より前に破水したということですね。
ベネさん:1人目は破水の後に陣痛が来たので、すぐ麻酔を入れてもらいました。2人目の時は陣痛がなかなか来なかったので、数時間くらい陣痛を待ってから麻酔という流れでした。
interviewer:麻酔を打ってからは、痛みはゼロになりましたか?
ベネさん:ゼロですね。ネットか何かで「麻酔のチューブを入れる時が痛い」というようなことを読んだこともあるのですが、私の場合はそれもなく、もう一切痛みはなかったです。1人目の時も2人目の時も痛みゼロでした。
interviewer:出産が終わり、麻酔が切れてからの痛みはいかがでしたか?
ベネさん:2人目の時は全然平気だったのを覚えています。数時間後には階段を登り降りしていました。1人目の時は痛かったかどうか覚えていませんが、熱が出たのを覚えています。
interviewer:出産直後に熱!どれくらいの熱だったのですか?
ベネさん:たしか39℃の少し下ぐらいだったと思います。
interviewer:かなりの高熱ですね。
ベネさん:なんか身体がダルいなと感じて、最初は出産後だからかなと思ったのですが、やっぱり変だと思ったので熱を測ってもらったところ、高熱が出ていました。
interviewer:熱はどれくらいで治まったのですか?
ベネさん:薬を飲んだら数時間で治まりましたね。
interviewer:めちゃくちゃ早い(笑)。
ベネさん:だから、そこまで大変な想いをしたという感じではないですね(笑)。
interviewer:その他に出産で大変だったことはありましたか?
ベネさん:今、申し上げたことぐらいで、その他は全てスムーズな出産でした。
interviewer:出産されてから退院まで、どれくらいの期間でしたか?
ベネさん:1人目の時は6日間で、2人目の時は5日間だったと思います。
今でも食事目的で井槌病院に行きたいです(笑)
interviewer:井槌病院の良かった点を教えてください。
ベネさん:破水や熱が出た時など、緊急で対処してもらわなきゃいけない時の対応がスムーズで素晴らしかったですね。
interviewer:なるほど!
ベネさん:あと、先生だけじゃなく、看護師さんやスタッフの皆さん全員優しかったですね。出産の時も手を握ってくれたり「大丈夫だよ」って励ましの声をかけてくれたりして、本当に安心できました。
interviewer:他の方のインタビューでも「井槌病院の先生・スタッフは素晴らしい」という評判をお聞きしました。
ベネさん:あとはやっぱりご飯がすごく美味しかったですね。本当に美味しい。
interviewer:ベネさんのインスタでもご飯の写真を見させていただいたのですが、すごく美味しそうでしたね。高級レストランの食事みたいですね。
ベネさん:2人目の出産で入院した時は、台風の影響で予定より1日早く退院することになったのですが、井槌病院の美味しい食事が食べられなくなるのかと少し悲しくなるほどでした(笑)
interviewer:おやつもすごい豪華なんですよね。
ベネさん:福岡で有名なケーキ屋さんのケーキとかが出てきましたね。あと、夜食も出ていましたね。
interviewer:夜食も出るんですね!
ベネさん:美味しすぎていつもいっぱい食べていました(笑)。井槌病院で出産された方は、体重がほとんど落ちないという話を聞きました(笑)。
interviewer:もちろん太り過ぎないよう計算されている食事ってことですよね。
ベネさん:ハッキリとはわかりませんが、たぶん計算されていると思います(笑)。
interviewer:美食で知られるパリ出身の方にここまで絶賛されるって、本当に美味しいんでしょうね(笑)。
ベネさん:もう食事するためだけに井槌病院に行きたいくらいですよ。
interviewer:井槌病院プロデュースで飲食店オープンしてもらえれば嬉しいですね(笑)。
ベネさん:そうそうそう!それやってもらいたいです(笑)。
日本とフランスの子育て事情
interviewer:今回は初のフランス出身の方のインタビューということで、フランスと日本の子育て事情についてもお聞きしたいと思います。
ベネさん:フランスでは子育てをしたことはありませんが、私の小さい頃の記憶や住んでいた頃見ていた子育て環境については話せると思います。
interviewer:日本で子育てしていて、フランスと違って驚いたことはありますか?
ベネさん:まずは保育園の少なさですね。日本だと1歳くらいまでは家で子育てして、そこから保育園というケースも多いですが、フランスだと0歳から保育園というケースが多いです。だからか、フランスは日本と比べて保育園が多い印象です。日本の保育園だと審査に落ちると入れないというのもビックリしました。
interviewer:日本の保育園環境は経営面の難しさなども関係していると思います。保育園のコンサルタントの方が「日本の保育園業界は、経営が上手くいって、ようやく薄利」という状態だというのも聞いたことがあります。
ベネさん:良い面で言うと、保育園で子どもたちに色々と教えてくれるところにビックリしました。
interviewer:どういうことですか?
ベネさん:子どもが1歳の時にごはんを食べたお皿を重ねて「はい、どうぞ」って言ってきた時にビックリしたんですよ(笑)。その他にも、私が教えていないのにお片付けとか家事のお手伝いみたいなことが自然に身についていて驚きましたね。日本の保育園ってこんなことも教えてくれるんだって。
interviewer:そうですね。普通のことだと思っていました。フランスの保育園だとどんな感じなんでしょうか?
ベネさん:フランスの保育園は、子どもは預かるけどあんまり何かを教えるということはしないんですよね。小さい子どもが家事のお手伝いは絶対しないです(笑)。
interviewer:ベネさんが通っていたフランスの保育園では、どんなことをしていましたか?
ベネさん:リトミックなど運動をしたり、絵本を読んだり、遊ぶことが多かったですね。
interviewer:他に日本とフランスの子育て環境の違いで驚いたことはありますか?
ベネさん:日本は授乳室が多くありますよね。フランスには授乳室というものがありません。
interviewer:そうなんですか!
ベネさん:さらに授乳室には、ミルクのためのお湯があったり、おむつを買えるところもあったり、授乳のための環境がすごく整っていますよね。だから小さい子どもがいても安心してお出かけできます。
interviewer:授乳室がないフランスの場合、ママたちはどうしているのですか?
ベネさん:フランスだと何もないですから、授乳などに必要なものをすべて持ち歩かなくてはいけません。だからフランスのママはすごく荷物が多いですよ(笑)。授乳もケープなどを持ち歩いて、街中など外であげています。
interviewer:日本に住んでいると授乳室があるのが当たり前だと思っていましたが、すごい恵まれていることなんですね。
ベネさん:フランスの友達も「授乳室って、そんな便利な空間があるの!?」ってビックリしていましたね。みんな羨ましがってました(笑)。
interviewer:他にもありますか?
ベネさん:子連れで飲食店に行くと子ども用のお皿やスプーンなどが出てきますよね。私も日本でしか子育てしていないので当たり前だと思っていたのですが、フランスの友達に聞くと「そういうものはない」と言われました。
interviewer:お話を伺っていて、日本って細かいところのホスピタリティはけっこう手厚いんだなと思いました。
ベネさん:そうだと思いますね。
interviewer:逆に「ここは日本よりフランスの方が良い」という部分はありますか?
ベネさん:先ほど出産費用が全部無料という話をしましたが、フランスでは保育園なども全部無料です。
interviewer:それはすごい!
ベネさん:3歳まではたぶんちょっとだけお金がかかりますが、3歳から上は学費なども基本的にかからないです。
interviewer:すごい!お金がかからないのは魅力的ですねぇ。
ベネさん:日本の環境だと入学費の支払いタイミングが重ならないように、考えて子どもをつくったりしますよね。フランスはそういうお金の心配がないので、みんな好きな時に子どもをつくっています(笑)。
ご自身の無痛分娩を振り返って
interviewer:2人のお子様を無痛分娩で出産されていますが「もっとこうしておけば良かった」と思うことはありますか?
ベネさん:特にないですかね。1人目の出産直後に熱が出たので、2人目の出産で入院する時に「冷えピタ」を持っていったけど、結局いらなかったとか、それぐらいです(笑)。
interviewer:出産後、どれくらいの期間で体力が通常まで戻ったと感じましたか?
ベネさん:1人目の時は3週間から1ヶ月くらいだったと思います。2人目の時は、1〜2週間くらいですかね。2人目の時は1人目よりさらに回復が早かったです。上の子がいるので保育園のお迎えなどもあり、割と早い段階で日常生活に戻ってました。
interviewer:ベネさんが感じた無痛分娩のメリットを教えてください。
ベネさん:まずはやっぱり痛みがないことですね。
interviewer:はい。そこは外せませんね。
ベネさん:あとは体力温存できること。人によって異なりますが、初産で陣痛が何時間も何日間も続くケースもあるじゃないですか。そういった時に無痛分娩だと体力を温存できるというのが良いと思います。
interviewer:周りのお友達には、無痛分娩の話はされていますか?
ベネさん:そうですね。私が無痛分娩で出産した話をすると、みんな「無痛分娩やってみたい」という人はけっこう多いです。ただ、やっぱりネックとなるのが、安全に無痛分娩ができる病院がまだまだ少ないことと、自然分娩に比べて費用がかかってしまうことですね。
interviewer:無痛分娩をしようか迷っている人にメッセージをお願いいたします。
ベネさん:日本で無痛分娩を調べると、ネガティブなニュースが多く出てくる印象ですが、それは必ず起きるというわけではありません。きちんと情報を調べた上で、安心して無痛分娩を選んで良いと思います。無痛分娩は出産が長引きがちとも言われていますが、私のケースだと1人目は8時間、2人目は2時間で産まれました。
interviewer:それは早い!
ベネさん:ネガティブな情報も出てきますが、皆が同じになるわけじゃないんですよ、皆それぞれ。悩みや心配事があったら先生に相談して「あなたは無痛分娩で大丈夫」と言ってくれたら、先生を信じれば良いと思います。
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