東京都かよさん【前編】トラブル続きのお産/国立成育医療研究センター
40歳を過ぎてから初のお産を迎えたかよさん。万が一にも備え、NICUのある国立の病院で出産することに決められたそうです。コロナ禍ということもあり1人で無痛分娩することになりましたが、様々なトラブルが発生。そんなかよさんの体験談を前後編でお送りいたします。
【基本data】
■name/かよさん
■年齢/44
■お住まいのエリア/東京都杉並区
■家族構成/夫+妻+子ども
■出産施設/国立成育医療研究センター
■無痛分娩回数/1回
■無痛分娩費用/約57万円(約99万円[基本費用+無痛分娩費用+個室代+帝王切開費用+新生児音管理保育料等]-出産育児一時金-42万円)
■無痛分娩実施時期/2022年1月
取材時期:2024年8月
※体験談で語られている病院の金額・サービス等に関する情報は、体験者様がご出産当時の記憶によるものです。これらは時期や状況によって変わる可能性があり、現在も同じとは限りません。詳しく知りたい方は病院のホームページ等から最新情報をご確認ください。
偶然、まわりの友達もみんな無痛分娩で出産。
interviewer:本日はよろしくお願いします。
かよさん:よろしくお願いいたします。
interviewer:現在、かよさんは何かお仕事をされていますか?
かよさん:ファスティングといってダイエットのような食事管理をサポートすることをオンラインでしています。最近はあまり動けていないのですが、通販の代理店をしたり、スキンケアを教えたりしています。あと、まだ仕事としては稼働していませんが、火災保険を申請する方をサポートする業務も始めようとしているところです。
interviewer:サポート業務や、いろいろなスキルをお持ちなんですね。
かよさん:そうなんです。いろいろちょこちょことやっていますね(笑)。
interviewer:かよさんが妊娠されたときに、なぜ無痛分娩で産もうと思われたのですか?
かよさん:やはり、痛みを軽減して出産できるなら、それがいいなと思いました。もちろん、出産は痛みを伴うものだと思いますが、そこで苦しむより、もう少し幸せな気持ちで産むことができても良いんじゃないかと感じたんです。
interviewer:なるほど。
かよさん:妊娠や出産って、本当に奇跡的なものだと思いますし、命がけの出来事です。無痛分娩でも命がけであることには変わりないので、痛みに対する耐性とは関係なく、できる限り負担を減らしたいという想いがありましたね。
interviewer:無痛分娩の安全性が担保されているなら、痛みの負担を減らしたいという考えですね。
かよさん:そうです。私の周りにも無痛分娩を選んだ人が多いです。きっと口コミで広まったんだと思いますね。ちょうど私が子どもを出産した年に、同級生が11人ほど出産ラッシュだったんです。1ヶ月おきに赤ちゃんが生まれるような時期で、みんな無痛分娩を選んでいました。
interviewer:みんな無痛分娩っていうのはすごいですね。それって、友人たちのお住まいのエリアに有名な無痛分娩の病院があるとか、そういった理由があったりしますか?
かよさん:そういうわけでもないんです。みんな同じ病院で産んでいるわけではなくて、地元に帰って出産した人もいれば、自宅の近くで産んだ人もいます。それぞれバラバラなんですけど、みんな気づいたら無痛分娩を選んでいました。
interviewer:周りの友達が無痛分娩を選んでいると、心理的なハードルが下がりますよね。
かよさん:そうですね。やっぱり「無痛分娩で良かったよ」という話を聞くと、安心感が生まれます。
interviewer:かよさんのお友達の皆さんは無痛分娩を選んで良かったという感想が多いですか?
かよさん:みんな「次も絶対無痛分娩にする」って言っている人ばかりです。1人目は無痛分娩で産んで、2人目も無痛にしているという人がほとんどで「無痛分娩にして良かった」と言う人ばかりですね。逆に「無痛分娩じゃなくて良かった」という人はあまりいないです。
interviewer:なるほど。それだけ無痛分娩に満足している方が多いんですね。
出生前診断をするつもりだったけど、最終的に受けませんでした。
interviewer:無痛分娩について詳しく調べたりしましたか?
かよさん:無痛分娩に関する詳しい説明は病院で受けました。コロナ禍だったので、オンラインで映像を見て勉強するスタイルでした。病院からパスワードをもらって、それでログインして説明映像を見るという形式だったんです。
interviewer:説明を受けて、無痛分娩で出産するリスクなどは気になりましたか?
かよさん:私の場合は最初から無痛分娩を選ぶと決めていたので、リスクについてはあまり気にしなかったですね。そもそも出産自体がリスクを伴うものなので。
interviewer:そうですよね。無痛分娩ばかり取り沙汰されていますが、そもそも出産自体がリスクを伴うものなんですよね。
かよさん:だからそれよりも、妊娠してすぐに受ける健康診断とか、出生前診断のほうが気になっていました。異常がないか調べる検査がありますよね?それを受けるために、大きな病院にしたんですけど、最終的には検査を受けないことにしました。
interviewer:理由を教えてください。
かよさん:はい。ちょっと怖いなと思ったのと、出生前診断で仮に何か問題があっても、私は「生まないという決断はできないだろうな」と思ったのが理由です。それで調べるのはやめました。
interviewer:たしかに難しい判断ですね。
かよさん:そうなんですよ。
interviewer:ちなみに、病院からの映像以外で、無痛分娩について自分で調べたりしたことはありますか?
かよさん:無痛分娩に関するリスクについては特に調べなかったんですけど、無痛分娩を経験した人の体験談を見たりしました。当時、サイト名はちょっと忘れてしまったんですが、ものすごい数の出産体験談が載っているサイトがあったんです。
interviewer:詳しく教えてください。
かよさん:食品の食料品・ベビー用品ブランド『和光堂』の「プレママ日記」っていうサイトです。コミュニティサイトのような感じで、個人が投稿していて、文章も特に編集されていないものが多いのですが、とにかくいろんな人の出産体験談が集まっていました。予定日が近づいてきた頃に、いろいろ気になり始めて「これはどうなんだろう」とか「これって何のお知らせなんだろう」とか、そういう疑問が出てきて、いろんな人の体験談を読みたくなって、そのサイトに行き着きました。そこには、無痛分娩の人もいれば、帝王切開になった人もいて、さまざまな出産報告が載っていました。
interviewer:そのサイトには、自然分娩の体験談も載っているんですか?
かよさん:そうですね、無痛分娩だけじゃなくて、自然分娩や他の方法もすべて載っていました。
interviewer:そのサイトの良かった点を教えてください。
かよさん:まず、たくさん体験談が載っています。そして、どの週数で産んだとか、すごく詳しく情報が出ているところですね。
出産費用はけっこうかかりました。
interviewer:出産された病院を教えてください。
かよさん:世田谷区にある「国立成育医療研究センター」です。
interviewer:先ほど「出生前診断を受けるつもりだったから大きな病院を選んだ」というお話がありましたが、それ以外にもこの病院を選んだ理由はありますか?
かよさん:生まれたばかりの赤ちゃんのための『NICU(新生児集中治療室)』がある病院を選びたかったんです。
interviewer:それはかよさんにとって、基本的な条件だったのですか?
かよさん:年齢的にハイリスクというほどではないですけど、高齢出産だったので何かあったときにすぐに対応できる大きな病院が安心だと思いました。今は40代後半でも出産している人は多いですけど、私自身はできる限り安全性を高めたいという気持ちが強かったんです。
interviewer:無痛分娩には計画無痛分娩と、自然に陣痛を待ってからの無痛分娩がありますが、かよさんは後者を選ばれたんですね?
かよさん:そうです。私は自然に陣痛を待ってからの無痛分娩でした。
interviewer:出産費用はどれくらいでしたか?
かよさん:トータルで、かなりの金額だったんですけど100万円弱でしたね。具体的には99万4,350円です。でも、これは自己負担額ではなくて、そのうち42万円は一時金でカバーされました。私が出産した時は42万円だったんですが、現在は少し上がって45万円くらいになっていますよね。
interviewer:はい。そうです。
かよさん:出産一時金を引いて、最終的に支払った額は57万4,350円です。
interviewer:なるほど、国立の施設にしては結構高めの印象ですね。
かよさん:理由がいくつかあります。まずは個室を選んだことです。
interviewer:はい。
かよさん:当時はコロナの影響で、基本的には4人部屋の病室だったんですが、「立ち会いができない」とか「分娩室に電話も持ち込めない」とか、いろいろ制限があって。私も1人で落ち着いていたかったので、個室にしました。個室代が15万4,000円かかりましたね。6日間ほど入院していました。
interviewer:なるほど、それが大きかったんですね。
かよさん:はい。あとは保険部分がいくらかは不明ですが、結局、帝王切開になったので、手術代も含まれています。保険もある程度きいたと思いますが。
interviewer:なるほど。
かよさん:新生児の管理保育料として、8万円がかかっていますね。それに、分娩介助料はトータルで50万円弱かかっていると書いてあります。手術代が含まれているかはちょっと不明です。
interviewer:なるほど。
かよさん:保険分については「別紙」として記載されていたんですが、その別紙を取っていなくて、詳しいところはわからないんです。でも、無痛分娩自体にかかった費用は確か15万円くらいだったと思います。
interviewer:すごく詳細に教えていただきありがとうございます。
かよさん:いえいえ。
ついに入院だと思いきや、2回も家に帰されることに。
interviewer:それでは、当日の流れについてお聞かせいただければと思います。出産当日、陣痛が来て「いよいよ」という感じで病院に向かわれたと思うのですが、どのような状況でしたか?
かよさん:予定日は1月18日だったんですけど、生まれたのは1月19日でした。18日の夜がたしか満月だったんですよね。満月の時って、出産が多いって言いますよね?それで「もしかして」と思ったんです。
interviewer:満月の時に出産が増えるというのはよく聞きますね。
かよさん:その日は夜になってから、なんとなく陣痛っぽい痛みがあったんです。で、夜の11時頃に「お腹が痛いな」と感じて、その痛みがだんだん10分間隔くらいになってきたので、病院に車で向かいました。
interviewer:はい。
かよさん:でも、病院に着いたら「まだ前駆陣痛ですよ、早すぎます」と言われて、帰されてしまいました。痛みの間隔は10分だけど「痛む時間が短すぎる」「もっと痛みが続くようになるまで待ってください」と言われましたね。ちなみに、これが2回目に帰された時なんです。
interviewer:2回も帰らされたんですか。
かよさん:そうなんです。実は17日の夜にも1回行っていて、その時も帰されました。
interviewer:おぉ。
かよさん:2回も帰されることになったので「もうしばらくは生まれないんだろうな」と思い、家に戻って寝ることにしました。
interviewer:切り替えが早い!
かよさん:お腹はチクチク痛かったんですけど「とりあえず寝よう」と思って寝たんです。そしたら、翌朝の5時か6時くらいに、急に痛みが強まってきて、発作の時間も長くなってきました。「これはやばい」と思うほどの痛みで、体が押し上げられるような感覚もあって、すぐにでも生まれてきそうなぐらい痛かったです。
interviewer:それは大変でしたね。
かよさん:すぐに病院に電話したんですけど、痛みが強すぎてすぐには動けませんでした。
interviewer:そこまで痛かったんですね。
かよさん:さらに出血もしていたんですが、痛みがひどくてなかなか動けず。。。とにかく頑張って病院に着いたのが、たぶん10時半頃でした。
interviewer:はい。
かよさん:10時半頃に病院に着いたんですが、もう歩けなかったので、すぐに車椅子に乗せられました。また病院の受付で夫は「(コロナ禍のため)入ってきちゃダメ」と言われて、さらに不安になりました。
interviewer:そうなりますよね。
かよさん:幸い入院道具はすでに準備してあったので、助産師さんが荷物を持って、車椅子も押してくれて1人で病棟へ連れて行ってもらいました。
interviewer:その後はどうなりましたか?
かよさん:その後すぐに診察を受けました。前日は全然子宮口が開いていなかったけど、3センチ開いていて、破水もしていると言われました。それで「3度目の正直」じゃないですけど、ついに入院になりました。
激しい痛みに耐えながら、麻酔の処置を待つ。
interviewer:入院までの道のりが長かったですね。
かよさん:その時は助産師さんに「よく頑張りましたね、すごく痛かったですよね」と言われて、もう涙が出ちゃいました。本当に痛かったんです。
interviewer:入院してからの流れを教えてください。
かよさん:無痛分娩の処置をすることになりましたが「なるべく急ぐけど、1時間弱はかかります」と言われました。
interviewer:けっこう待つことになったんですね。
かよさん:いろいろな手続きや誓約書へのサイン、血液検査などが必要だったんです。あと着替えもありました。助産師さんが「痛いけど一緒に準備を頑張りましょう」と優しい言葉をかけてくれたので、なんとか耐えることができました。
interviewer:ふむふむ。
かよさん:その後はまず、血液検査をして異常がないか確認。さらにまさかのタイミングで熱が出てしまったので冷やしてもらったりもしました。
interviewer:その時もお腹はすごく痛い状態ですよね。
かよさん:はい。お腹が痛くて、お尻にすごく圧力がかかっている感じがしていて、無意識に力を入れちゃってたんです。でも、力を入れると赤ちゃんが酸欠になったり、出血が増えたりするから「力を入れちゃダメ」と言われました。
interviewer:こういう時に力を入れないのってすごく難しいですよね。
かよさん:そうなんですよ。でも助産師さんがテニスボールをお尻の下に当ててくれたら痛みが和らぎ、おかげで力まずに済みました。熱も冷やしてもらって、吐き気もあったけどなんとか耐えました。
interviewer:大変な痛みの中、熱まで出ちゃったんですね。麻酔はいつ頃打ってもらえたんですか?
かよさん:痛みは続いてましたが、血液検査の結果が問題なかったこともあり、カテーテルで無痛分娩に切り替えて麻酔を打ってもらったのが12時37分って書いてあります。
interviewer:すごく詳細に覚えてますね!
かよさん:これ、全部スマホでメモしてたんです。我ながら自分で数字のデータをしっかり残していたのはすごいなと思います。
interviewer:麻酔を打ってからはどうでしたか?
かよさん:だんだん麻酔が効いてきて、痛みのレベルが(MAXが10として)9ぐらいだったのが2くらいまで下がって、驚くほど楽になりました。
interviewer:おお、それはすごい!
かよさん:その時に痛みが大幅に消えて「ああ、やっと楽になった。幸せだ」って思いましたね。
interviewer:麻酔を打つ時の痛みはどうでしたか?
かよさん:カテーテルは背中に入れるんですけど、自分で見えない部分だから少し怖かったですね。でも、実際には注射ぐらいの痛みで、それほど大変ではなかったです。
interviewer:確かに背中って聞くだけで少し怖いですよね。あまり注射を打つことがない場所ですし。
かよさん:そうなんです。
後編に続きます。
東京都かよさん【後編】順調なお産が帝王切開に/国立成育医療研究センター
かよさんは美容アドバイザーとして活躍しています。
今回、インタビューにご協力いただいたかよさんは「美容アドバイザー」としてファスティングのオンライン指導などを行っています。かよさんのInstagramでは、時短レシピや美容お役立ち情報をはじめ、かよさんファミリーの日常の様子なども発信されています。
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