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2025.03.29
体験談

福島で里帰り出産Nさんの体験談【後編】無痛分娩の精神的なメリット/公立 岩瀬病院

里帰り先の福島県で2人のお子さんを出産したNさん。1人目は自然分娩で出産し、1年以上産後のダメージに苦しんだことから2人目は無痛分娩での出産を選択。身体的なメリットが挙げられることが多い無痛分娩ですが、精神的なメリットについても詳しく語ってくれました。鋭い着眼点を持つNさんの体験談を前後編でお送りします。

【基本data】

■name/Nさん

■年齢/38

■お住まいのエリア/東京都板橋区

■家族構成/夫+妻+子ども(2人)

■出産施設/公立 岩瀬病院

■無痛分娩回数/1回

■無痛分娩費用/約12万円(出産費用+無痛分娩加算=62万−出産育児一時金50万)

■無痛分娩実施時期/2024年4月

取材時期:2024年12月

先生や助産師さんの指示の的確さを体感

「福島県Nさん【前編】想定外の早さで急遽出産/公立 岩瀬病院」からの続き

Nさん提供写真

interviewer:Nさんは計画無痛分娩を選んだため、本来は痛みを感じないつもりだったのに、結局陣痛の痛みをかなり味わうことになったということですが、麻酔を打ってもらった時のことを詳しく教えてもらえますか?

Nさん:はい!もちろんです。

interviewer:よく硬膜外麻酔を打つ際は「1mmも動かないように」と指示されると聞きますが、 かなり陣痛が強い状態で麻酔を打つのは、相当きつかったのではないでしょうか? 

Nさん:確かにそうですね。でも、陣痛には痛みの波があるので、痛みが引いているタイミングで処置をしてくれました。「次、痛みが引いたら針を入れますね」といった感じで、カテーテルの挿入なども「痛みの谷」のタイミングで進めていましたね。

interviewer:「痛みの谷!」つまり痛みが弱まっている時ですね。

Nさん:そうです。「痛みの谷」の時には痛くないんですよ。でも「痛みの山」が来ている時はもう必死で背中を丸めて「うわー!」って叫んでいましたね(笑)。

interviewer: 例えば、痛みが強い時(痛みの山)を10だとしたら、痛みがない時(痛みの谷)はどれくらい痛みが引くのですか?

Nさん:0ですね。陣痛が引いている間は誰でも全く痛くなくなると思います。

interviewer:そうなんですね!

Nさん:私も最初は信じられなかったのですが、本当に0になるんですよ。

interviewer:なるほど。では、痛みの強さは「0から10、10から0」と波のように上下する感じなんですね?

Nさん:そうです。ただ、痛みの強さは進行とともに変わってきます。陣痛の初期は「0から1、1から0」くらいの感覚の広い波ですが、それが「0から5、5から0」になり、さらに「0から10、10から0」と、どんどん強く速くなってきます。

interviewer:では、麻酔が入った後は、痛みはどのくらい軽減されましたか?

Nさん:痛み自体は、重い生理痛くらいに落ち着きましたね。最初からその点についての説明がありましたが、この病院ではイキむ感覚を残すため、痛みを完全にゼロにはしない方針だったんです。

interviewer:「痛みはあるけれど、耐えられないほどではない」という感じでしょうか?

Nさん:そうです。重い生理痛なら女性にとっては「知っている痛み」なので、対応できるというか。

interviewer:なるほど。

Nさん:本当に、奇跡みたいな感覚でした。

interviewer:じゃあ、陣痛がMAXの時と比べると、かなり楽になったんですね?

Nさん:ええ、全然違いました。子どもがまだ生まれていないのに、すでに感動していました(笑)。

interviewer:痛みが引いたことに対して、感動したんですか?

Nさん:はい。本当に感動しました。まるで子どもが生まれた後のような解放感がありました。

interviewer:そうなんですね。

Nさん:「こんなに痛みが取れるんだ!?」って驚きました。思わず助産師さんに「このままの状態で出産できるんですか?」と聞いてしまいました(笑)。

interviewer:おお、それはすごいですね。

Nさん:ビックリでした。

interviewer:麻酔が効いて良かった点はありますか?

Nさん:自分が取り乱さなかった点が良かったです。出産の時に取り乱してしまうと、後で自分が正気に戻った時にショックを受けることがあるんですよね。例えば、大勢の知らない人がいる中で叫んだり泣いたりすると「まるで獣みたいだったな…」と恥ずかしく感じてしまうこともあるんですが、それがなかったので精神的にも楽でした。

interviewer:なるほど。わかる気がします。

Nさん:そして今回始めて気づいたのですが、助産師さんや先生って、陣痛や分娩の時にすごく細かく指示を出してくれているんです。その指示がしっかり聞こえて、落ち着いて従える状態だったのがすごく良かったです。

interviewer:なるほど、それは大きなメリットですね。

Nさん:1人目の自然分娩の時は、先生や助産師さんの指示を全く聞く余裕がなかったんですよね。でも、無痛分娩では言われた通りの姿勢を取ったり、力の入れ方を調整したりする余裕がありました。そのおかげで、出産後の体のダメージが少なかったんだなと思います。

interviewer:なるほど。分娩中には細かい指示があるんですね。

Nさん:そうなんです。「ここに力を入れちゃダメ」「お尻が浮いているから下げて」など、すごく具体的に指示されました。

interviewer:ほうほう、それは細かいですね。

Nさん:例えば「お尻を引いて」という指示があったんですが、その方が力を入れやすく、イキみやすいんですよね。あと、私は途中で体が右に傾いてしまっていたので「お尻がずれてるから、体を左に戻して」と言われました。

interviewer:たしかに自然分娩の痛みの中では指示を聞いて身体を動かすことはほぼムリそうですね。

Nさん:そうなんです。1人目の自然分娩の時は、最後はもう「どうにかしてくれ!」みたいなやけくそ状態でしたから(笑)。冷静に指示を聞くなんて絶対に無理でした。

interviewer:なるほど!

Nさん:出産後のダメージって、出産中の痛みが強すぎて指示が聞けず、変なところに力が入りすぎてしまうのも1つの原因になっているんじゃないかなと思いました。

interviewer:たしかに「出産後、気付いたら肩を脱臼していた」という話を聞いたことがあります。痛みが強すぎると起こり得る話ですね。

無痛分娩はメンタルダメージからも守ってくれる

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interviewer:出産が終わって麻酔が切れてからの痛みはどうでしたか?

Nさん:全然大丈夫でした。

interviewer:そうなんですね。普通に歩けるくらいの状態でしたか?

Nさん:はい、すぐに歩けました。自然分娩でも同じだと思うのですが、出産後2時間ほどは分娩台の上で休むことになっていて、その後、自分の部屋に戻る流れでした。

interviewer:なるほど。

Nさん:ちなみに「お手洗いに行く時はナースコールを押してくださいね」と言われたのですが、「え、普通に1人で行けそうですけど、呼ばないとダメですか?」と聞いたら「一応、安全のために呼んでください」と言われました(笑)。「元気そうで何よりですけど、念のために」と念押しされましたね。

interviewer:座ったりするのは痛くなかったですか?

Nさん:円座クッションは使いました。会陰切開しているので、麻酔が切れるとやはり痛みはありましたね。普通に座るのは難しいくらいの痛みでした。

interviewer:なるほど。

Nさん:でも、「痛いな」と思ったら「痛み止めもらえますか?」と落ち着いて言える状態でした。1人目の時と比べて精神的に追い詰められていないというか…。

interviewer:なるほど。

Nさん:自然分娩の時は「もうすべてが痛すぎて最悪!」みたいに、ざっくりとネガティブな気持ちになっていました。でも、今回は冷静に「痛みにどう対処しよう?」と考える余裕があったし「ベストを尽くそう」と思えました。体力的な面もありますが、何よりも気力が温存されるのが大きな違いだと感じましたね。

interviewer:気力が温存される…なるほど。それは初めて聞きましたが、確かに大切なポイントですね。

Nさん:本当に全然違います。無痛分娩は「心が守られる」という感覚がすごくありました。

interviewer:確かに、無痛分娩のメリットを語る時、どうしても肉体的な負担軽減にフォーカスしがちですよね。その「気力が保たれる」というのも大きなメリットと言えますね。

Nさん:そうですね。うまく言葉にするのが難しいですが、自尊心が保たれるのも大きなメリットだと思います。自然分娩だと、メンタル面でのダメージがある人も絶対にいると思いますし…。

interviewer:そうなんですね。

Nさん:はい、色々な話を聞いていると、やはりメンタル的な負担は無視できないと思います。

1人目の自然分娩を振り返って

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Nさん:1人目は別の病院で、とにかく陣痛が本当に辛かったです。子宮口は結構開いていたのですが、赤ちゃんがなかなか降りてこなくて…。でも、それがどういう状態なのか、自分ではイメージもできませんでした。「赤ちゃんが降りてきていません」と言われても、「えっ?」という感じで。

interviewer:なるほど。

Nさん:その時助産師さんに「分娩台の上で四つん這いになってください」と言われたんです。でも、陣痛がもう痛いとかいう次元じゃなくて、気持ち悪くて震えていました。

interviewer:うわぁ・・・痛すぎると気持ち悪くなるんですね。

Nさん:痛みがピークの時は叫んだり、足をバタバタさせたりしていましたが「この姿勢のほうが赤ちゃんが降りてきやすいですよ」と言われて四つん這いのまま必死に耐えました。結果的に、それで赤ちゃんが降りてきたみたいで「よし、いきみましょう!」となったのですが…。

interviewer:でも、なかなか生まれなかったんですね?

Nさん:はい、そこからが大変でした。なかなか赤ちゃんが出てこなくて、先生にお腹を押されることになりました。

interviewer:ああ、いわゆる「クリステレル圧出法」ですね?

Nさん:でも、それでも出てこなくて、担当の助産師さんが男性の先生に交代しました。その後、4人くらいで交代しながらお腹を押されたりして…。

interviewer:4人交代で・・・

Nさん:ビジュアル的にも壮絶でしたし、人がどんどん集まってくる感じも「えっ、何かまずい状況なの…?」と不安になりました。

interviewer:1人目の出産時、パートナーの方は立ち会われましたか? 

Nさん:いえ、コロナ禍のど真ん中だったので、立ち会いも面会も一切できませんでした。

interviewer:それは心細いですね。

Nさん:いや、私はそもそも立ち会ってもらうのにはちょっと抵抗があったんですよね。

interviewer:なるほど。もともと立ち会いを希望していなかったのですね。

Nさん:そうですね。夫に取り乱したりする姿を見せるのがちょっと…。どれだけ大変かを知ってもらうためには立ち会ってもらったほうがいいのかなとも思いますけど、私の場合は絶対夫にひどいことを言いまくったと思います(笑)。

interviewer:なるほど(笑)。出産の時って、普段ため込んでいた感情が一気に出ることもあるでしょうし、喚き散らすことになってもおかしくなさそうですね。

Nさん:そうなんですよ。それを考えたら「そんな状態で子どもを産むのは嫌だな」と思ってしまって。

interviewer:確かに…。あまりにも壮絶すぎますよね。まさに“修羅場”という感じで。

Nさん:そうなんです。夫の嫌なところが気になって、怒りながら出産するのも嫌だし「ふざけんな!」みたいなことを叫びながら産むのも嫌だなと思って(笑)

interviewer:なるほど(笑)

「公立 岩瀬病院」の良かった点

Nさん提供写真

interviewer:出産してから退院まではどれくらいの期間でしたか?

Nさん:出産してから退院までは、4泊して退院でした。

interviewer:4泊5日だったのですね。

Nさん:そうです。分娩の前日に入院したので、合計すると5日間病院にいました。でも、出産した日からカウントすると4日間しかいなかったので、最短のスケジュールだったと思います。

interviewer:なるほど。では、病院の良かった点を教えていただけますか? 

Nさん:たくさんありますが、まず入院初日に病室を案内してくれた助産師さんの対応がすごく印象的でした。

interviewer:どんな対応でしたか?

Nさん:助産師さんが「ドキドキしますよね」と声をかけながら、病室の説明をしてくれたんです。その時に「色々と不安だと思いますけど、とりあえずうちには嫌な感じのスタッフはいません」と言ってくれました。

interviewer:病院全体として、ということですか?

Nさん:はい。ここには嫌な感じの人はいないから、何でも言ってくださいね、という感じでした。

interviewer:それはすごく安心できますね。

Nさん:そうなんです。「うちの病院のここがすごいんです」とか、売りを説明されるよりも「嫌な人はいません」と言われた方が、すごく安心感がありました。

interviewer:たしかに!それは良いアプローチですね。

Nさん:そうですよね。入院したばかりの時って緊張していて、正直説明とかもあまり頭に入ってこないと思うんです。でも「ここは嫌な人がいないから大丈夫」と言われると、一気に気が楽になりました。

interviewer:他にはどんなところが良かったですか?

Nさん:とにかく病院はすごく快適でした。施設も綺麗だったし、ご飯も本当に美味しかったし。

interviewer:それは素晴らしい。

Nさん:そうなんですよ。私も総合病院の定義がよくわからないんですが、ここはいわゆる総合病院の一部なんです。でも、産科病棟だけが新しく建てられたみたいで、すごく綺麗でした。

interviewer:産科病棟は独立した建物になっていたんですね?

Nさん:はい。渡り廊下で本館と繋がってはいるんですが、外からも直接入れるようになっていました。外観もすごく綺麗なデザインでしたね。

interviewer:それは嬉しいですね。

Nさん:あと、助産師さん同士の雰囲気がすごく良かったんですよね。それもすごく良かったです。

interviewer:なるほど。助産師さん同士の雰囲気がギスギスしていないというか、良い職場環境だったんですね。

Nさん:会話が明るくて、助産師さん同士のやり取りもすごく和やかでした。

interviewer:うん、うん。

Nさん:すごく安心できる雰囲気だったんです。助産師さん同士が仲良さそうだと、それだけで気持ちが楽になりますよね。

interviewer:チームワークの良さが伝わってくる印象だったのですね。確かに、それは大きなポイントですね。

Nさん:本当に良い病院でした。施設も設備もスタッフも食事も素晴らしいのに、費用がそこまで高額ではなかったので本当に最高でした。

心の余裕で、子どもに対する気持ちや接し方が変わった

Nさん提供写真

interviewer:無痛分娩のメリットについては、ここまででたくさんお話いただけましたが、逆に無痛分娩のデメリットだと感じることはありますか?

Nさん:うーん…。お金は確かにかかりますが、それがデメリットとは思わなかったです。個人的には無痛分娩にデメリットはないです。

interviewer:おぉ!

Nさん:費用がかかることや、ごく稀に事故があるという話はあります。でも、それはどの分娩方法でもリスクがゼロではないし、自然分娩にデメリットがないわけでもないですからね。

interviewer:たしかに、そうですね。

Nさん:それに、仮に何十万円かかったとしても、痛みを軽減する価値は十分あると思います。体と心を守るための費用だと考えれば、高いとは感じません。

interviewer:ふむふむ。

Nさん:母親の体調や精神状態が良いことは、最終的には生まれてきた赤ちゃんの健康にも関わると思うんです。

interviewer:たしかに、それはありそうですね。

Nさん:産んだあと、自分の子どもを「かわいい」と思える余裕があって、できる限りのケアをしてあげられる。それって、すごく大事なことだと思うんですよね。

interviewer:なるほど。では無痛分娩で産んだあと、体力が元に戻ったと感じたのはいつ頃でしたか?

Nさん:いや、もう出産した日から「体調がめちゃくちゃいいな」と思っていました。

interviewer:そんなに早く!?

Nさん:はい。退院して迎えに来てくれた上の子が駆け寄ってきた時に、普通に抱っこできました。あの瞬間「あ、大丈夫だ。いけるな」と思いましたね。

interviewer:すごい!1人目の時とは大違いだったのですね。

Nさん:本当にそうです。走れるくらい元気でしたし、12kgくらいある上の子を抱っこして歩くのもすぐにできました。帰宅後は普通に皿洗いもしていました。

interviewer:では、病院から家に帰ったら、すぐに今まで通りの生活ができたという感じですか?

Nさん:はい、問題なくできました。

interviewer:無痛分娩で出産された方でも、ここまで元気だったというお話は初めてかもしれません(笑)

Nさん:(笑)

interviewer:では最後に、これから無痛分娩をしようか迷っている方に向けて、メッセージをお願いします。

Nさん:絶対にやった方がいいです!

interviewer:おお、力強いですね。

Nさん:はい。絶対にやった方がいいです。迷っている人の背中を押したい!(笑)

interviewer:なるほど。

Nさん:1人目の時は出産直後から体がボロボロで、眠れないし、赤ちゃんは泣き続けるし、もう「泣き続ける赤子 vs ボロボロの私」みたいな状況でした。お互いに必死すぎて、赤ちゃんと私が戦っているような状態になっていました。

interviewer:敵ではないけど、それくらいの壮絶さがあったと…。

Nさん:赤ちゃんも私も「生き延びるために必死」という感じで、ただひたすら頑張るしかなかった。でも、2人目は違いましたね。

interviewer:どういう風に違いましたか?

Nさん:2人目の時は、「この子は自分よりもずっと弱い、しっかり守らなきゃいけない」という気持ちで向き合えました。だから、出産後の子どもへの接し方や、自分自身の心の余裕が全然違いましたね。

interviewer:なるほど。

Nさん:だからこそ、迷っている人には絶対に無痛分娩をおすすめしたいです。間違いなく、絶対にやった方がいいと思います。

interviewer:力強いメッセージありがとうございます!本日は貴重なお話をありがとうございました!

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