【失敗談】千葉県Fさんご夫妻|Fさん家の大失敗/北島産婦人科医院
2人目のお子さんの出産で無痛分娩を体験したFさんご夫妻。しかし、結果は大失敗だったそうです。どんなところが失敗だったのか、Fさんご夫妻に詳しくお聞きしました。
基本data
■name/Fさんご夫妻
■年齢/妻_36 夫_36
■お住まいのエリア/千葉県船橋市
■家族構成/夫+妻+子ども(2名)
■出産施設/北島産婦人科医院 ※現在は閉院
■無痛分娩回数/1回
■出産費用総額/出産基本費用+10万円台-42万円(出産一時金)
■無痛分娩実施時期/2016年
取材時期:2021年11月
産婦人科の先生が無痛分娩に乗り気じゃなかった。
interviewer:本日はよろしくお願いいたします。
妻:よろしくお願いいたします。今回、取材のお話をいただき「無痛分娩PRESS」の体験談をいくつか読ませていただいたんですが、皆さんめちゃくちゃしっかりしているなと思いました。私たちはよく調べずに無痛分娩をしたので、本当に失敗談としてお聞きいただければと思います(笑)。「こんな無痛分娩はしてはいけない」と思っていただければ(笑)。
interviewer:ありがとうございます。失敗談はむしろ貴重ですのでよろしくお願いいたします。失敗談も無痛分娩を考えている人の役に立つと思います。
interviewer:ではFさんが最初に無痛分娩を知ったきっかけについて教えてください。
妻:はっきりとは覚えていないんですが、友だちかなぁ。子どもがいる友だちと話していたりすると、なんとなく「無痛分娩」というワードは入ってくるんですよ。それで、私は1人目の出産の時の痛みがすごかったので「2人目は痛くないように産みたいな」と、うっすら考えていたんです。
interviewer:実際に無痛分娩を体験した友だちがいたということではないんですね?
妻:そうですね。周りにはいないです。ただ「無痛分娩」というワードだけ、会話で出てきたのか、それとも『たまひよ』みたいな育児雑誌で見たのか、本当に何をきっかけに知ったのかわからないですね(笑)。
夫:ボクは奥さんから聞いて、初めて知りましたね。ただ、どんなものかはボクもよくわかっていません。
interviewer:では無痛分娩について、何かで調べたりはしていなかったということでしょうか?
妻:友だちに「無痛分娩やったことある?」っていうのは聞き回りましたね。でも誰もやっていなくて・・・。誰か経験者がいれば、また違っていたとは思うんですが。結局、1人目を産んだ「北島産婦人科医院」の先生に「ここって無痛分娩やっていますか?」という風に聞きましたね。そしたら「一応、やってますけど・・・」くらいの反応が帰ってきました。
interviewer:その状態だと「無痛分娩をやろう」と決意したのは、どこだったのですか?
妻:いや、決意しなかったんです。
interviewer:!?!? どういうことですか???
妻:先生に「無痛分娩やっていますか?」と聞いて「一応やってる」の後に「ボクは止めておいたほうが良いと思う」と言われたんです。
interviewer:無痛分娩の経験が少なかったり、体制があまり整っていないということなんですかね?
妻:今になって思えば、どちらも当てはまると思います。その先生は1人目の出産時もお世話になっているし、かなり仲良く話せる人で大好きな先生なんですが、いつもちょっと否定的なことを言う先生だったので「いつもの感じか・・・」くらいで受け止めていました。先生に「私が無痛分娩やりたいと言っても、先生はやってくれないんですか?」と言ったら「キミは1人目も上手に産んだし、2人目も順調に産めると思うから、無痛分娩しなくて良いと思うよ」と言われてたんですね。だから、それ以上追求するのもあれだと思って、深く聞かないようにしていました。
interviewer:でも、先生とかなりカジュアルに話せる関係性だったんですね。
妻:その病院は地元ではすごく有名で、実際に産んだ人の評判も良くて、自然分娩をするならかなり良い病院なんですよね。地元の産婦人科の2大巨頭の1つです。キャラクターも含めて名物先生という感じです。知らない人がこの記事を読んだら「キツイ先生」と思われるかも知れないですが、すごく良い先生です。もう先生はお年で引退されて、今はもう病院自体が別の産婦人科になってしまったんですが。
interviewer:結果としては情報収集はほぼできなかったということですね?
妻:そうですね。金額だけは聞きました。普通の出産費用に+10万円だったと夫が記憶しています。
夫:いや、本当にうちの話は失敗談として使ってくださいね(笑)。
お産の最中に無痛分娩することを決断。
interviewer:奥さんに「無痛分娩してみたい」と言われて、夫さんはどう思いましたか?
夫:もう、反対ですね。
妻:(うちの夫)ひどいですよね。
interviewer:なぜ反対だったのでしょうか?
夫:神秘的な話になるんですけど、やはり人工的な手段を使わずに自然なかたちで産んだほうが、痛みを伴う瞬間に子どもに想いが何か伝わるみたいな、そんなイメージがあるんです。何かのインタビューとかでそんな情報を見て、そう思うようになったのかなぁ。
interviewer:ご高齢の方だとそういった意見の方も多いみたいですね。
妻:夫は考え方が高齢者なんです。昭和じゃなくて、大正をすっとばして明治ですね。
interviewer:でも、最終的に無痛分娩されたということは、どこかで夫さんがしぶしぶ了承したという感じなんですか?
夫:いや、了承も特にしていないんですよね(笑)。うちが無痛分娩をやるって判断したのが、お産の最中なんですよ。
interviewer:え!?お産の最中に決めたんですか???そんなことできるんですか???
夫:そうです。産んでいる途中でしたね。
妻:無痛分娩に関しての先生とのやりとりは先ほどお話しした通りなんですが、やっぱりお産が痛いのは避けたかったので、先生に「当日、自然分娩でお産をするけど、途中でどうしても痛かったら麻酔を射ってほしい」というお願いをしたんです。先生は「たぶん、麻酔を射つ前にお産終わっちゃうよ」といったリアクションでしたが。
interviewer:奥さんと先生との約束については、夫さんは知っていたんですか?
夫:しゃべっているのは聞いていましたね。でも、まさか本当に無痛分娩に踏み切るとは思ってなかったんですよ。妻も「絶対に無痛分娩がやりたい」というほどではなかったので。
妻:たしかに、私も夫とちょっと考えが似ているところがあって。すごい昭和っぽい考え方なんですけど、親から「女は痛みをガマンして産んでこそ、母親になれる」というような話を昔から聞いていたので「1人目も自然分娩で産んだから、2人目もできるだけ自然分娩で産みたい」という想いはありました。1人目と2人目の産み方にできるだけ違いを出したくなかったというか。だから「痛いのは怖いけど、そこで産んでこそ母親だろ」という夫の考え方も理解できました。1人目を産む時に陣痛促進剤を使ったんですが、促進剤を使うだけでも「赤ちゃんに申し訳ないな」と思ったぐらいで。でもそれと同時に「+10万円で痛くないのなら、そこで楽しちゃいたい」という気持ちも捨てきれず。結局、最後まで悩んでいましたね。
射ったのに麻酔が全く効かない!「足プラ事件」発生!
interviewer:出産当日はどんな感じだったのか教えて下さい。
妻:基本的には自然分娩で行こうということだったので、陣痛が来たら病院に行って、陣痛が5分間隔か3分間隔になったら、分娩台に移動しました。その時にも私は「痛いからやっぱり無痛分娩やる!」って叫んだんですけど、先生に「はいはい、キミは大丈夫だから」って言われて、ぜんぜん麻酔を射ってくれなかったんです(笑)。「この先生絶対に打ってくれない」と思ったんですけど、陣痛がいよいよクライマックスになってきた時に「本当に痛くてガマンできないから、麻酔お願いします!」って懇願したんです。すると「しょうがないなぁ」という感じで先生が登場して、麻酔を射ってくれました。
interviewer:ホントにギリギリの決断でしたね。
妻:ただ、その麻酔を射つ時がいちばんの地獄でした。
interviewer:え!「麻酔を射って痛み解決!」という感じではなかったんですか?
妻:無痛分娩の麻酔って、背中の脊髄のところに注射しなくちゃいけないんですけど、注射をする間って1mmも動いちゃいけないって言われたんですよ。1mmも。「動いたら死ぬよ」くらいのことを言われていて。ただ、陣痛が3分間隔になっているので、3分おきに激痛が来るわけですよ。動かないというのが死ぬほど難しい状況なんです。
interviewer:めちゃくちゃ怖いですね。
妻:そう、怖かったんです!すごく!「陣痛が痛すぎて体が反応してしまう、しかし1mmでも動いたら死ぬかもしれない!」という恐怖。
interviewer:それは凄まじい状況ですね。
妻:この麻酔をしている時がいちばん大変で。本当に「やんなきゃよかった」と思いました(笑)。「産む時がどうこう」とか「出産後が〜」とかの記憶は全くなくて、今でも麻酔が大変だったことしか覚えていないくらいです。
interviewer:それってどれぐらいの時間だったのですか?
妻:よく覚えてないですけど、数分〜10分くらいだったかな。体感的にはものすごく長かったですね。
夫:え、射つ瞬間だけ動かなければ良いんじゃないの!?
妻:違うの。「ずっと動くな」って言うの。射ってる時間も長かったんだよね。そう感じただけかもしれないけど。
interviewer:おそらくなんですが・・・、先生も無痛分娩を推奨していなかったということは、たぶん先生が無痛分娩のための麻酔に慣れていなかったんじゃ・・・。
妻:それはあると思います。先生もその病院で無痛分娩をする人の割合は「100人に1人もいない」って言っていたので。「無痛分娩をするのはリスクが高いから止めておいた方がいい」とも先生は言っていました。
interviewer:それめちゃくちゃ危険ですよ。無痛分娩するなら無痛分娩の経験が豊富な病院・先生じゃないと選んじゃダメです!無痛分娩で事故が起きるのって、正にこういうケースです。事故にならなくて本当によかった。
妻:もうとにかく長く感じましたね。10分だったかな?20分だったかな?3分おきに激痛が来るなか、耐えるしかなかったので地獄でした。
interviewer:ちなみに、その地獄の時間が終わってからは、麻酔が効いて痛みがなくなったんですか?
妻:いや、1mmも痛みはなくなりませんでした(笑)。全然痛かったです。なんのために麻酔をしたんだか。だから無痛分娩って「麻酔を射ったらすぐ効くのか」とかもいまだに謎のままです。
interviewer:Fさんが無痛分娩された時はコロナ禍前ですが、夫さんも立ち会いされていたんですか?
夫:立ち会いはしていたのですが、その麻酔の瞬間は、ボクはまだ分娩室に入れなかったんです。
妻:その時はまだ入れないタイミングだったんだよね。
夫:ボクが分娩室に入った時はもう麻酔を射った後でした。扉を開くと同時に叫び声が聞こえてきました。
奥さん「(麻酔を)射ったのに、効いてないー!!!」
先生「いやいや!!射ったから!!」
奥さん「効いてないー!!!」
先生「効いてるから!!ほら見て!足プランプランしてるでしょ!!」
奥さん「効いてないー!!!痛いー!!!」
先生「ほらプラプラしてる!!プラプラしてるから!!」
奥さん「効いてないー!!!」
とプラプラプラプラ言いながら、先生が奥さんの足を持ってプラプラさせてたんですね。ボクはそれまでの過程を知るよしもないので「なんのこっちゃ」と思いながらも「たしかに、足プラプラしてるなぁ」と見ていたのを記憶しています。
interviewer:その、足プラは「麻酔が効いてるから下半身に力が入らないでしょ」ってことですよね?
夫:そうです。
妻:めっちゃ痛かったですからね。そのやりとり自体、私は記憶にないです(笑)。
もし3人目ができたら、次こそはきちんとした無痛分娩で!
interviewer:陣痛から出産まではトータルでどれくらい時間がかかりましたか?
妻:当時の記録を見てみると、4時間11分になってますね。
interviewer:麻酔で痛みが取れなかったということですから、いつ麻酔が切れたとかもわからないですよね?
妻:そうですね。全くわからないですね。麻酔が効いてるんだかもわからないので、いつ麻酔が切れたのかはわからないです。
夫:麻酔を射ち終わった後って、実際どうだったの?
妻:なんか「足がプランプランなってるよ」って言われながら「もう頭が出てるからイキんで」って言われました。頑張ってイキんだんですけど、先生が「ほら!麻酔効いてるからイキめないー!」って言ってて。
interviewer:全然いらんところで麻酔が効いてたんですね(笑)。
妻:私は1人目を自然分娩で産んでいるので、もちろんイキむ感覚はわかってるんですよ。で、私的には1人目以上にイキんだんですけど、全然できてなかったみたいで「ほら!だからダメなんだよ無痛分娩!」みたいなことを先生は言ってるし。
夫:ちなみに無痛分娩をやるかどうか、その場で判断することってあるんですかね?
interviewer:あることはあるのですが、それはよっぽど無痛分娩の経験が豊富かつ体制・人員が整った病院だけですね。現状そういったことができる施設はかなりレアです。ちなみに病院のホームページを見てみれば、緊急の無痛分娩対応が可能かどうかが表記されていることが多いですね。しかし、今回のお話のケースだとただただ危険ですね。本当に事故が起きなくてよかったです。
妻:ですよね。これも無痛分娩という括りに入るんですかね?
interviewer:まぁ、いちおう麻酔を射っているので、括りとしては無痛分娩でしょうね。
妻:結局、なんの意味もなかった上に、無痛分娩の費用はかかっているので、本当に失敗だったな。
夫:だね。
妻:痛みは1mmも取れないわ。頑張ってイキんだのに、全然赤ちゃんは出てこないわ。産み終わった後に、たしかに足がプランプランなってるわ。余計にお金がかかるわ。一体私たちは何をやったんだか。結局、10万円を払って足がプランプランになっただけですからね。
interviewer:無痛分娩のメリットとして「出産時の体力消耗が抑えられる」というのがあるのですが、その様子だと・・・
妻:全く抑えられてないですね。1人目を自然分娩で産んだ後と一緒でした。
夫:ボクは無痛分娩反対派ですけど、せめて麻酔を射ったからには、痛みが緩和されるなどあってほしかったですね。
interviewer:じゃあ、もし仮に今後3人目を産むとなっても、無痛分娩は、やらないですよね・・・?
妻:いや!むしろ今度こそきちんとした無痛分娩をやりたいです。それこそ痛みがない出産というのを体験してみたい。2人目までは「痛みに耐えて産みたい」という想いはあったんですが、今はもうなくなっていて。もう子どもは2人いるし、もし3人目ができたら楽に産みたい!それこそ+10〜15万円かかっても。
interviewer:おお!今度はこういう病院で産みたいというイメージはありますか?
妻:やっぱり、まず無痛分娩の経験数が豊富な病院がいいですね。あと「北島産婦人科医院」は、先生と妊婦だけでコミュニケーションするスタイルの病院だったんですよ。助産師さんとか看護師さんと話す機会はほとんどなくて。もし、助産師さんや看護師さんと話せる環境があれば「私は無痛分娩を考えているんですけど、どう思いますか?」みたいな質問を投げかけることができたと思うんです。だから、先生以外のスタッフの方ともコミュニケーションをとりやすい病院で産みたいなと思います。
夫:本当に、こんなインタビューで良かったのかわかりませんが、これを読んだ方に「こんな無痛分娩はしてはいけない!」という教訓にしていただければ、うちが無痛分娩をやってみた意味があったんじゃないかと思います。