オーストラリア在住永易まみさん【後編】出産直前、分娩台で仕事⁉
ワーキングホリデーで訪れたオーストラリアで国際結婚、そのまま住み続けて12年という永易まみさん。出産しようと思っていた病院で水中分娩ができると知り、1人目は水中分娩を選択。2人目は陣痛がつらいという理由で、無痛分娩を選びました。オーストラリアと日本の医療、出産事情の違いもお聞きしました。
【基本data】
■name/永易まみさん
■年齢/39
■お住まいのエリア/オーストラリア ブリスベン
■家族構成/夫+妻+子ども(2人)
■出産施設/Royal Brisbane and Women’s Hospital / Redcliffe Hospital
■分娩回数/2回(水中分娩1回、無痛分娩1回)
■出産時支払い費用/なし(オーストラリアでは国負担)
■分娩実施時期/2017年9月(水中分娩)、2020年2月(無痛分娩)
取材時期:2024年8月
健診時から「無痛分娩で!」と強くリクエスト。

前編はこちら↓↓↓
オーストラリア在住永易まみさん【前編】水中分娩で出産、6時間後には退院
interviewer:前回、オーストラリアでの水中分娩についてお話を伺いましたが、今回は2人目で経験された無痛分娩のお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
永易さん:よろしくお願いします。
interviewer: 永易さんは、ワーキングホリデーをきっかけに、そのままオーストラリアにお住まいということでしたが、移住される前から無痛分娩についてはご存じでしたか?
永易さん:全く知らなかったです。日本にいた時は、そもそも結婚するとか、子どもを産むことも予期していなかったので(笑)
interviewer:なるほど、オーストラリアで初めて知ったということですね。
永易さん:そうです。
interviewer:前回、オーストラリアでは無痛分娩が一般的というお話がありましたが、それを知ったのはどんなタイミングだったのですか?
永易さん:妊娠が判明した初診の時だったと思います。かかりつけ医に教えてもらいました。
interviewer:かかりつけ医がいるのですね。
永易さん:はい。かかりつけ医は、GP(General Practitioner)といって、オーストラリアでは、風邪を引いても、ケガをしても、まずは町のお医者さんであるGP(かかりつけ医)に行って紹介状を出してもらわないと、基本的に大きいホスピタルには行けないんです。
interviewer:なるほど。
永易さん:当時「赤ちゃんができたかも」と思って、GP(かかりつけ医)のいる病院に行って診察を受けたら「妊婦に必要な情報一式」みたいな冊子を渡されて、次のステップなどを教えてくれました。冊子にはいろんな分娩方法や健診で病院に行くタイミングなどが書かれていて、無痛分娩についてもその時に初めて知りました。
interviewer:そうだったんですね。
永易さん:バースプランについて尋ねられたので「バースプランには何があるの?」と言うと、分娩方法を次々と挙げてくれました。「これ何?これは?」という感じで聞いていったのですが、最後に「大体みんな、無痛分娩を選ぶわ」と言われましたね。
interviewer:それは1人目のお子さんの時ですか?
永易さん:そうです。1人目の時は大きい病院で「無痛分娩であれば、うちのナチュラルバース(自然分娩)の病棟には来れないわよ」と言われました。無痛分娩だと、麻酔科医がいる病棟を選ばないといけないのです。
interviewer:初めてだと悩みますよね。
永易さん:そこで「分娩って何だろう」と改めて調べた上で、水中分娩を選んだのですが、バースプランに応じて病棟も割り当てられる感じでした。
interviewer:なるほど。2人目を無痛分娩にしようと思ったのは、どういう理由だったのですか?
永易さん:1人目の時に腰が痛いなど、とにかく陣痛がしんどくて、2人目を産む時は、陣痛が来たタイミングから「麻酔を打ってください」と言うつもりでした。
interviewer: 最初から無痛分娩にしようと決めていたのですね。
永易さん:はい。健診の時から「無痛分娩で!」とかなり強くリクエストをしていました(笑)
どの分娩方法でも費用はかからない。

interviewer:最初に渡された妊婦さんの情報冊子以外に、無痛分娩、つまり麻酔を使ったお産に関することを勉強したり、ネットで調べたりしましたか?
永易さん:いえ、事前に調べることはなかったです。こちらでは、選ばない人の方が少ないくらい無痛分娩が普通すぎるということもあって。自然分娩が一般的である日本で、わざわざ自然分娩について調べる人はいないのと同じ感覚かもしれません。確か日本で無痛分娩しようとすると別費用が掛かるのですよね?
interviewer:そうです。
永易さん:おそらく日本のように、無痛分娩で別途費用がかかると思うと「する価値があるのか」を見極めるために調べると思います。でも、こちらは費用がかからないので、費用負担の判断をするために調べるステップは必要ないですね。
interviewer:なるほど。
永易さん:リスクの心配もありますが、あまりにみんなが無痛分娩をしているので、気にならなかったところはあります。
interviewer:少しオーストラリアの医療費事情もお聞きしたいのですが、出産以外で、例えば風邪で受診した時なども医療費が全て無料ということはありますか?
永易さん:GP(かかりつけ医)の診療費は、公的な医療保険制度の補助で一定金額が返ってきます。例えば、診察費が80ドルに設定されていれば、半分の40ドルは補助があるというケースが多いです。GP(かかりつけ医)によっては、40ドルに設定されていて、補助の40ドルを差し引くと、結局費用を払わなくていいというところもあります。
interviewer:GP(かかりつけ医)の診察費の設定は、個人で決められるのですか?
永易さん:相場はありますが、通常ドクターが設定されていますね。GP(かかりつけ医)からの紹介で行くようなホスピタルでは、パブリックは基本的に無料で、プライベートでは費用がかかります。
interviewer:パブリックとプライベートの違いは何でしょうか?
永易さん:日本でいえば、公立と私立という感じです。
interviewer:なるほど。
永易さん:例えば、私立であるプライベートホスピタルで出産する人というのは、何かあった時のために、民間保険に加入している人です。
interviewer:毎月一定額の保険料を支払っているということですか?
永易さん:そうです。その分、病気やケガ、出産などでもプライベートホスピタルに保険適用の範囲内で受け入れられることがあります。病院食が美味しいとか、ホテルみたいな感じなので「こういう時に使わないと」という感じでプライベートを選ぶ人もいます。
interviewer:そうなんですね。
虫歯2本で、治療費40万円?

永易さん:オーストラリアは医療面でもやさしい国だと思います。子どもは基本医療費がかからないし、医療技術も高いです。ただ、歯科だけ費用がかかるので、歯科は日本が最高ですよ。
interviewer:え、そうなんですか?
永易さん:歯の治療をすると、もうびっくりするような金額が飛んでいきます。今年の話ですが、チョコレートを食べすぎた娘に虫歯ができて、もう日本で治療したいと思いました。実際に、治療費より日本までの飛行機代の方が安いのです。
interviewer:本当ですか!!??
永易さん:はい。うちの娘が2本虫歯になって、今年払ったのは40万円(約4000ドル)くらいです。
interviewer:すごい!日本ならインプラント治療ができる金額です。
永易さん:高額になる理由は、全身麻酔をするからです。子どもは、口を開けないし暴れるので、麻酔で眠らせることになります。
interviewer:かなり大胆な治療方法ですね。
永易さん:そうなんです。うちの娘だけでなく、大体みんな同じようにホスピタルに行って、全身麻酔で眠らせて治療するという流れのようです。
interviewer:では、娘さんは既に全身麻酔経験者ということですね。
永易さん:はい、そうなります。一応、治療前に日本の歯医者さんに電話で問い合わせしました。でもあたり前なのですが、口を開けないと虫歯治療できないと言われて諦めました。
interviewer:うーん、そうですね。
永易さん:口を開けてくれるのであれば、麻酔ガスを使ってできると言われましたが、娘はそもそも頑なに口を開けないから、虫歯になったような子です。その状況で日本に帰って、治療できなかったらもったいないので、覚悟を決めてこちらのホスピタルで40万円払いました。
interviewer:小さいうちから定期健診を受けていると、歯医者さんにも慣れそうな気もしますが。
永易さん:そうです。だから定期健診も行っているのですが、口を開けない。でも人によると思います。上の子は口を開けませんが、下の子は歯医者さんが大好きで口を開けますし、虫歯もありません。
interviewer:あ、そうなんですね。
永易さん:ただ、こちらの友達に聞くと、口を開けない子は多いように思います。
interviewer:だから、全身麻酔がスタンダードになっているのですね。
「もう破水してるわよ」と言われ、そのまま入院に。

interviewer:初めての無痛分娩ということですが、不安はありましたか?
永易さん:特になかったです。不安どころか、普通に家で仕事していて、破水していたのに気づかなかったのです。
interviewer:それはすごい。
永易さん:少し出血したので「一応、電話してみるか」という感じで病院に電話すると「すぐに来て!」と言われました。病院に着くと「あなたもう破水してるわよ」と言われて、そのまま入院することになりました。
interviewer:それほど急だったわけですね。
永易さん:はい。「促進剤を打って、すぐに出さないといけない」と言われたので、腕に促進剤を打たれて「どのスタイルにする?」「あ、無痛分娩で」みたいに、飲食店でメニューをオーダーするようなやりとりをしました。そのまま病棟で次々に注射を打たれて、出産へという感じでした。
interviewer:病院に着いてから生まれるまで、トータルでどれくらいの時間がかかりましたか?
永易さん:促進剤を使いましたが、朝病院に行って夜遅くまで、何とかその日のうちには出産できたと思います。
interviewer:麻酔を打ってからの痛みはどうでしたか?
永易さん:痛みはないですね。1人目で陣痛の痛みを経験しているので、痛くなくても「あ、なにか来てるな」と陣痛が起こっているのはわかりました。でも初期段階の陣痛では、分娩監視装置のモニターの波形を見ないとわからないくらいでした。
interviewer:そうなんですね。
永易さん:自然分娩だと後半は激痛になっていきますが、痛みはなくて「おぉ来てる、来てる」とつつかれるような陣痛の感じを確認する余裕がありました。
interviewer:なるほど。
永易さん:感覚的には陣痛がわかるけれど、痛みではないという感じです。みんなにすごいと言われるのですが、分娩台でもパソコンを開いて仕事していましたね。
interviewer:え?ドクターは、OKという感じなのですか?
永易さん:特に止めるよう言われることもなく「何してるの?」と聞かれて「ちょっとチームの子が今忙しそうだから、メッセージ打ってるの」と言うと「何の仕事してるの?」とか、ドクターとも普通にやりとりをしていました。
interviewer:いわゆる仕事に関する雑談ですね。
永易さん:そんな感じです(笑)もちろん「大丈夫?」と体のことも聞いてくれて「うん、大丈夫、大丈夫」と言っていましたね。
interviewer:なるほど。
永易さん:背中に針を通して硬膜外麻酔のカテーテルを入れていたのですが、手元で麻酔薬の量を調節できるようになっていて「増やしたかったら自分で増やしてね」と言われました。
interviewer:硬膜外麻酔は日本と同じですね。
永易さん:私は全然痛くなかったので、そのままの運用でいきました。増やせるといっても、麻酔科医が分量を見て、コントロールできる範囲ということだと思います。
interviewer:限度はあるようですね。
永易さん:一番痛かったのは、麻酔の前に打った促進剤の点滴注射でした。
interviewer:針が太いということですか?
永易さん:はい。「それは麻酔を打った後にして!」というほどの痛さでしたね。
鏡越しに、全部見れた!

interviewer:生まれる瞬間はどんな感じでしたか?
永易さん:ゆったりした雰囲気の中で、鏡を持たせてもらって、子どもが出てくる瞬間も全部見せてもらいました。
interviewer:なるほど。
永易さん:「もう出てる!出てる!」としっかり確認できましたが、自然分娩であれば激痛で自分の出産の様子を見るなんて、まず考えられません。子どもが出てくる瞬間を、鏡越しとはいえ見られるのは無痛分娩ならではです。すごくいいなと思いました。
interviewer:確かにそうですね。無事生まれて、麻酔が切れた後の痛みはどうでしたか?
永易さん:特に問題はなかったです。出産後も余裕があって、すぐにシャワーを浴びていました。産むときにたくさん出血しているので寒気があるくらいで。会陰裂傷があったので縫ってもらいましたが、痛みも感じませんでした。
interviewer:そうだったんですね。ちなみに1人目の時と同じく当日退院でしたか?
永易さん:本当は当日退院のルールなのですが、2人目の時に妊娠糖尿病になってしまって、血糖値を測るための経過検診で1泊だけしました。それでも1泊です。
interviewer:ちなみに妊娠糖尿病は、何か症状があるのでしょうか?
永易さん:症状は特になく、血糖値の数値が高いということです。私だけでなく、生まれたばかりの子も糖尿病になるといけないので、赤ちゃんも時間を決めて採血して、血糖値が上がりすぎていないかを見ていました。
interviewer:なるほど。
永易さん:結果的に問題なかったのですが、赤ちゃんもお母さんも、そのまま糖尿病になるリスクがあるようです。妊娠糖尿病自体はよくあることだと聞きました。わかってからは、毎日血糖値を測って、炭水化物が食べられないなどの食事制限もありましたね。
interviewer:それは大変でしたね。妊娠糖尿病は妊婦期間が終われば治るのですか?
永易さん:他のケースはわかりませんが、私の場合は、(出産後)何事もなかったかのように正常に戻りました。
出産よりも気がかりなことが……。

interviewer:病院での食事はどうでしたか?
永易さん:オーストラリアのカフェで普通に出てくる食事、サンドイッチとサラダとゼリーみたいな感じですね。
interviewer:日本でよくある「妊婦さんの健康を考えた食事メニュー」とは違う感じですか?
永易さん:はい、全く違います。一応付き添いの夫の分も出してくれるのですが、同じ食事でしたよ(笑)。
interviewer:なるほど。ちなみに病院内で作られたものですか?
永易さん:病院では作ってないと思いますね。外から仕入れたもので、見た目は機内食のようでした。
interviewer:出産した病院のよかったポイントはありますか?
永易さん:プロフェッショナルなのであたり前かもしれないですが、スタッフさんが本当に慣れているので、麻酔も含めて全く心配がなかったことです。
interviewer:それは大きいですね。
永易さん:私が破水したことも知らずに電話で連絡した時の対応や、病院についてからの判断も的確だと思いました。私自身は何も準備していなかったので、結構バタバタと焦っていましたが。
interviewer:なるほど。
永易さん:ちょうどコロナウイルスの流行で、オーストラリアの国境が閉じられる直前でした。その影響でこちらに来る予定だった母の飛行機が飛ばないことに、かなり気を取られていました。
interviewer:確かに大変な時期でしたね。
胎盤がついたままの赤ちゃんを、胸に乗せられて。

interviewer:日本では、病院によって母乳を推奨していたり「粉ミルクでもいいよ」というスタンスだったりいろいろですが、オーストラリアの病院はどうでしたか?
永易さん:オーストラリアでは、まず母乳でした。「カンガルーケア」の流れで言われた気がします。
interviewer:カンガルーケアは、出産直後に行われる母子のスキンシップですよね。日本でも聞いたことがあります。
永易さん:もう本当に生まれた瞬間に、まだ胎盤がついたままの赤ちゃんを胸のあたりに乗せられるのです。私も軽くガウンを羽織っているとはいえ、ほぼ裸の状態で「まず母乳を」と言われて、その場で助産師さんから母乳のあげ方を教えてもらう感じでした。
interviewer:なるほど。
永易さん:「子どもは本能でわかるから、とりあえず近づけたら飲み始めるから」と言われて。特に1人目の時は、母親として初めての経験で手探り状態だったのですが、飲ませる角度や赤ちゃんへの促し方を教えてくれたので、家に帰っても実践できました。
interviewer:そうなんですね。
永易さん:2人目の出産後も「母乳あげてる?」「何時に母乳飲ませた?」と結構言われました。でも母乳が出にくいとか、子どもが母乳ではなかなか吸わないなど、助産師さんがある程度難しいと判断したら、粉ミルクのことも話してくれるようでした。
interviewer:母乳にするか粉ミルクを使うかは、お母さんたちに選んでもらう感じですか?
永易さん:そうですね。病院では絶対母乳という感じはありませんでした。
interviewer:最近、助産師さんに聞いたのですが、日本では母乳育児率が低いようです。
永易さん:そうなんですね。みんな忙しいのかもしれません。
interviewer:日本以外の先進国では、時短という理由で粉ミルクの方が多いと思ったら、母乳の方が多くて驚きました。
永易さん:私も完全に母乳でした(笑)
interviewer:そうなんですね。やはり母乳は成分の上でもメリットが大きいようですね。
永易さん:確かに栄養価が高いと教えてもらいました。こちらでは特に生まれた瞬間の初めの母乳を飲むことをとても大切にされていて「絶対に何があっても飲ませる」という感じでした(笑)
interviewer:すごい!母乳の価値を感じますね。では粉ミルクを飲んでいる子は珍しいとか?
永易さん:いえ、みなさん粉ミルクも飲ませています。母乳も粉ミルクもあげるという感じです。特に大きくなれば、腹持ちがいいのは粉ミルクなので。
interviewer:なるほど。
「子どもも、プロジェクトも、産んじゃえ!」

interviewer:出産後、体力が通常の状態に戻るまでには、どれぐらいかかりましたか?
永易さん:私は出産後すぐに仕事に戻れたのであまり意識していませんが、おそらく回復は早かったと思います。
interviewer:いつ頃、仕事復帰されましたか?
永易さん:出産して数時間後にはSNSを上げて、次の日には同じチームのメンバーにメッセージ送っていました。
interviewer:仕事上のやりとりということですね。
永易さん:はい。ちょうど新しいプロジェクトが始動した時期で、忙しさのピークでした。出産の間も気になっていて、産後すぐにメッセージを送っていた記憶があります。
interviewer:新プロジェクト始動の時に出産、すごいですね。
永易さん:今思うと、クレイジーですよね(笑)
interviewer:オーストラリアでは、それも普通だったとか?
永易さん:いや、私くらいだと思います(笑)。なぜこの時期にやる?休もうかな?など悩んだのですが「今、しないといけない」という感覚があって。だったら「もう子どももプロジェクトも産んじゃえ!」という感じでした。
interviewer:なるほど。
永易さん:今となっては、やっておいてよかったと思います。あの時、プロジェクトを遅らせていたら、おそらく結果が違っていたはずです。出産と仕事、両方が相乗効果になっていましたね。
interviewer:いわゆる「神がかっている状態」ですか?
永易さん:そうですね。それと、出産とかママだからということで諦めない姿勢を見せていたこともよかったかもしれません。出産を逃げに使わないと、結果的にメンバーに伝わっていたようです。ママでも出産でも、何かを諦めなくてもいいとその時にすごく思いました。
interviewer:無痛分娩ということも影響していましたか?
永易さん:はい。例えばすごくしんどいとか、命に関わるような時には、もちろん仕事をしない方がいいけれど、私の場合は心身に余裕があったので手を止めなくてもいい感じでした。陣痛がひどくなったら少し手を止めたくらいです。
interviewer:それが仕事仲間に伝わったということなんですね。
永易さん:そうですね。みんな「まみさん、え?分娩台で仕事?」という感じだったと思います(笑)。
仕事、育児など、産後すぐに動きたい人にもオススメ。

interviewer:分娩のメリットはどんなところにあると思いますか?
永易さん:出産という感動の瞬間を自分の目で見られることと、やはり回復が早いと思います。友だちから「3日間は動けなかった」と聞くと「ありえない!」と思いますが、それが普通だと考えると、回復が早いのはメリットですよね。
interviewer:そうですね。人によっては、無痛分娩でも回復に時間がかかる人もいるようです。
永易さん:それまでの体力の差もあるのかもしれないですね。
interviewer:普段から運動や柔軟体操をよくしているかということも、意外に大きな差になるようです。
永易さん:確かに基礎体力的なところもあると思います。私は回復というよりも、妊婦だった自分の体から大きなものがスポン!と出たという、そのスッキリ感が印象的でした。
interviewer:これから無痛分娩をしようか迷っている人へメッセージをお願いします。
永易さん:体力の戻りが早いということで、産後すぐに動きたいと思っている人や上のお子さんがいる場合も、無痛分娩はいいと思います。私も2人目を産んだ時は、家に2歳児がいる状態で、自分が倒れている場合ではなく、回復が早くて本当に助かりました。
interviewer:いわゆる「魔の2歳児」の時期ですね。
永易さん:そうです。2歳児がいて休めるわけがない(笑)。もし3人目、4人目を産むことになっても絶対に無痛分娩にすると言えるくらいオススメです。
interviewer:2回にわたって、オーストラリアならではのエピソード、貴重なお話をありがとうございました。
永易さん:ありがとうございました。
永易まみさんの著書はこちら

今回インタビューにご協力いただいた永易まみさんは、2児の母でありながら「株式会社ワーケーション」の代表としてもご活躍中です。そんな永易さんの仕事術について書かれた著書が、現在Amazonで販売されています。詳しくは下記を御覧ください。
『才能を引き出す仕事術 ~人の強みや魅力を引き出す方法~』
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周りに合わせることなく自分がワクワクすることが「強み」となりクリエイティブなことができるようになります。それこそが、自分にしか出せない唯一無二の個性となり、自分が生きている存在価値となっていくのです。これに気づいてほしい、あなたの魅力に気づいてほしい。そんなきっかけの本になれればと思います。
◾️これからの働き方〜豊かな人生を送るヒント〜
◾️華やな職歴の結末はドクターストップ、皿洗いから再スタート
◾️苦手な分野の乗り越え方
◾️なぜDAOにこだわるのか
プロフィール
永易まみ (ながやすまみ)
株式会社ワーケーション代表
株式会社ワーケーション代表 永易まみ。会社の名前の由来は、世界中のホテルを自分のオフィスにしたい、どこでも働けるスタイルにしていきたいという思いで Work & Vacation を掛け合わせた造語ワーケーションから株式会社ワーケーション。
きっかけは家族旅行先がオフィスになりたいという思いから「グローバル女性リーダーを育てる会社」として、メイン事業はイベント企画、プロモーションサポート事業を行う。
著名人や企業さまのセミナー主催をフリーランスチームともにプロジェクトを作り上げる。
その過程において、メンバーたちの人間力を磨き、リーダーシップを身につけるOJT型の教育を取り入れている。自社主催のイベントを行っており、女性活躍や多様性推進のイベントも2022年から年に一度ミッドタウン日比谷の会場を借りて世界とつなげていっている。
またその他の事業としては、ビジネスコンサル、そしてビジネスコミュニティの運営および軌道。この時代に合わせた絆をベースにした経験、哲学を軸にした女性たちのビジネスコミュニティを運営。働き方の特徴として、世界各国に住む女性たちが、好きな時間に好きな場所でフリーに働いていくという。Web3のDAOやティールのような組織を目指して言われたことをやるビジネス型の組織ではなく関わる人が個性や強みを伸ばし自走的に動いていく分散型自律組織を実現している日本ではなかなか見られない珍しい組織形態を採用している。海外在住のグローバル視点や価値観が基になっているため実現できるモデル。
どんな場所、どんな境遇でも、社会貢献も高く、やるべきことを達成していれば OK という方針。子供たちに継承したい社会を創るという理念のもと、思いに共感した女性やママとともに世界で活躍する女性リーダーたちの育成に力を入れている。
キャリアでも仕事か子育てで悩まず、両方手に入れることもできる世の中を当たり前にしていきたい。「日本の常識をぶち壊す新しい働き方や当たり前を作っていく」会社として活動する。