35歳 看護師 無痛分娩費用を安くする為にした事/鎌ヶ谷バースクリニック
ご自身も看護師として産科医療に携わっていたSさん。医療の現場で様々なお産のシーンに立ち会った経験や、ご自身が痛みに弱いという理由から無痛分娩を選択したそうです。
基本data
■名前/ Y.Sさん
■年齢/35
■お住まいのエリア/東京都江戸川区
■出身地/東京都江戸川区
■家族構成/夫+妻+子ども(1名)
■出産施設/鎌ヶ谷バースクリニック
■無痛分娩経験数/1回
■出産費用総額/50万円台-42万円(出産一時金)
取材時期:2021年7月
東京在住。里帰りでもなく千葉県で出産
interviewer:無痛分娩を選択したきっかけを教えてください。
Yさん:私がもともと看護師なんですが、看護師として働いている時から「自分が出産することになったら絶対に無痛分娩にしよう」というのは決めていました。
interviewer:「無痛分娩にしようというのは決めていた」ということですが、その理由はなぜでしょうか?
Yさん:たぶん、産科のナースとして色々な出産を見てきたのが影響していると思います。やっぱりみんな泣き叫ぶし、壮絶な姿をたくさん見てきたからですかね。さらに海外では無痛分娩が主流だと言うことも聞いていましたし、そんなに日本人だけ自然分娩で頑張らなくてもいいんじゃないかと思っていました。
interviewer:無痛分娩の情報を知りたい時には、周りのドクターから聞ける環境だったのでしょうか?
Yさん:そうですね。無痛分娩について、いつ自分が詳しくなったかっていうのはちょっと覚えてないんですけれども、無痛分娩推進派の先生の話を聞いたりとか、そういう機会は結構ありました。海外だと主流ですし、日本だと麻酔科医が不足しているという課題や「生みの苦しみがあってこそ母親になれる」みたいな文化があるから、まだなかなか無痛分娩の普及が進んでいないけれども、別に悪いことではない。というような情報を教えてもらっていました。そういう感じで色々とお話を聞いて「それだったら私にとってデメリットはないな」と思いました。自然分娩と比べてちょっとお金がかかるぐらいですかね。何時間も苦しんで結局「帝王切開」とか、何時間も産むのに苦しんで、疲れて、消耗して、その後の育児に影響が出るとか、そういうデメリットを考えると無痛分娩の方が良いのかなと思って。もともと自分が痛みに弱い人間だということもわかっていました。だからお金で解決できるなら、無痛分娩をしようと思いました。
充実した設備で無痛分娩の費用を安くできた方法
interviewer:お住まいは東京なのに千葉県鎌ケ谷市のクリニックで生んだのはなぜですか?
Yさん:鎌ケ谷は私の住んでいる江戸川区からだったら車で50分ぐらいかかります。ここを選んだ理由は2つあります。1つは、看護師時代に一緒に働いたことのある先生のクリニックだったこと。もう1つは安いから。この安さが最大の理由ですね。千葉県だからなのか、都内の半額ぐらいの金額で無痛分娩ができるんですよ。無痛分娩って保険のきかない「自由診療」だから、エリアや病院・施設によって金額が全然違うんです。「鎌ヶ谷バースクリニック」は、麻酔科医が常駐しているため、24時間無痛分娩が可能で、施設もホテルみたいに綺麗、部屋も個室、そして料理もすごい美味しいんです。ここと同じようなクオリティを都内で求めると、100万円は超えてしまうんですよ。都内で無痛分娩をしようと思ったら、まず平均的な費用が80〜90万円くらいのイメージです。それに加えて、綺麗な施設や個室や美味しい食事などを求めていったら、東京のセレブ病院と言われるような病院を選ぶしかないんです。このレベルの病院になると、設備やサービスも素晴らしいんですが、金額が100万円を超えるんですよ。こういった比較をしていくと「鎌ヶ谷バースクリニック」は都内のセレブ病院と同じようなクオリティで、金額も50万円台だったので、迷わずにこちらを選びました。ちょっと遠かったですが、行けなくもないなと。
interviewer:たしかに!都内に住んでいても、江戸川区など東京の東側だったら、千葉県の出産施設を選ぶというのも賢い選択かもしれませんね。
Yさん:その方が絶対いいと思いますよ。子どもが生まれると国から42万円の出産一時金が出ます。それでも都内で無痛分娩をした方は持ち出しで50万円以上かかったというケースが多いみたいです。でも私は無痛分娩費用と出産一時金を差し引いて、数万円の持ち出しで済みましたから。子供は今1人だけなんですけれども、もしまた2人目を産むとなっても、また「鎌ヶ谷バースクリニック」に行くと思います。
interviewer:江戸川区にお住まいとのことですが、周りの方でも「安いから千葉県で出産する」という方は多いんですか?
Yさん:周りにはいないですね。周りのコミュニティの中では私が初の試みという感じです。もともと私の実家である江戸川区が千葉県のそばなので、夫がいないときでも実家のサポートが受けられる点、コロナ禍で夫がテレワークになり、病院に送り迎えしてもらえる環境があったという点も、通うことができた理由としてありますね。もし夫があまりサポートできず、1人で千葉県まで通わなければという状況だったら難しかったかもしれないです。
無痛分娩で生むまでと産んでから
interviewer:無痛分娩って病院や施設によって、色々とやり方が違うみたいですが、Yさんの体験した無痛分娩はどうでしたか?
Yさん:そうですね。まず妊娠がわかった時点で知り合いの産科医のドクターに相談はしていて、様々な病院の情報を聞いていました。やっぱり病院によって色々と違うみたいで、例えば薬の入れ方なんかも、けっこう陣痛が進んでから麻酔をする医院もあれば、最初から麻酔をする病院もあって、陣痛が始まってすぐに麻酔をするという病院もあります。ちなみに「鎌ヶ谷バースクリニック」では陣痛がはじまってすぐ麻酔をするというスタイルでした。無痛分娩のデメリットとして、陣痛が遠のいてしまうというのがあるみたいなんですけれども、私の場合はすぐに陣痛促進剤を入れました。それのおかげもあってか、すぐに生まれましたね。
interviewer:陣痛が来てから生まれるまで、時間はどれぐらいかかりましたか?
Yさん:私の場合は5時間でした。早い方だと思います。そういえば「鎌ヶ谷バースクリニック」を選んだ理由がもう1つありました。ここは24時間無痛分娩に対応してくれるんですよ。病院によっては夜は無痛分娩ができないところとかもあるんです。夜に麻酔科医がいないという理由で。また大きな病院の場合でも、他の施術に麻酔科医が手を取られている時は無痛分娩できないとかもあるみたいです。私は何が何でも無痛分娩がしたかったので、24時間どんな時でも無痛分娩が可能というのは必須でした。それができる病院は都内をいろいろ探しても数件あるぐらいでしたね。さらに、それが可能な病院は100万円を超えるようなところになってきちゃうんですよ。
interviewer:無痛分娩当日の様子って、どんな状況だったか覚えていますか?
Yさん:たしか夜中に破水して、家から鎌ヶ谷に車で向かいました。夜だったため、担当の先生がいなかったんです。他の先生にお願いすることはもちろん可能だったんですが、担当の先生がすごく麻酔が上手ということだったので、先生の出勤まで待ちましたね。その時は陣痛はきていましたけど、まだ耐えられる程度の痛みだったので待てたんですね。そもそも無痛分娩を選ぶ人って、痛みが怖い人だと思うんですよ。だから麻酔の注射も怖いんです。無痛分娩の麻酔って背中、背骨の間に注射されるんですよ。そんな恐ろしい注射って体験したことないじゃないですか。だから担当の先生にやってもらいたかったんです。話を元に戻すと、夜中の3時に破水して、次の日のお昼11時ぐらいに麻酔をしてもらって、12時に病院のお昼ごはんが出て、もうその頃には麻酔が効いていて、陣痛の痛みが分からなくなっちゃってましたね。私は麻酔がそんなに効くものだと思っていなかったから「単純に陣痛が遠のいたんだ」と思ってたんですよね。「あちゃー」と思っていたら、けっこう看護師さんが頻繁に来てくれるようになって「ちゃんと張ってるよ」って教えてくれて。痛みがゼロだったからお昼ごはんも完食して、普段のお昼みたいな感じで過ごしていたのを覚えていますね。体が全然痛くないから、お産がどれぐらい進んでいるかもよくわからないんですよ。でも、なにかが降りてきているような感覚もあって。うんちしたいようなそんな感覚ですね。そして体に麻酔が効いてると、力が入らないからもう歩けないんですよ。トイレに行くとしても車椅子じゃないと行けない。トイレに行きたいと思ってナースコールをしたら「トイレじゃなくてお産が進んでるんじゃないか」って言われて、それが14時頃だったと思います。そうして診察してもらったら、子宮口が全開になっていると言われて。急いで分娩台に上げられて、14時30分頃に生まれました。
interviewer:では1回麻酔を打ってから、痛みはゼロだったということですか?
Yさん:そうですね。産む時はモニターを見ながら、張ってきたタイミングに合わせて、棒みたいなものを持って上半身を上げて腹筋みたいなことをするんですけれども、下半身がいうこと聞かないので、上手くできているかどうかもよくわからないような感じでした。でも、そうやって3〜4回イキんだだけで赤ちゃんが出てきてびっくりしました。ほんとに痛みがゼロだったから。こんな楽なことがあっていいのかというぐらいでした。
interviewer:麻酔が切れた後は、どのような感じでしたか?
Yさん:これはけっこう「無痛分娩の経験者あるある」みたいなんですけど、産む時に股がけっこう裂けちゃうんですよ。私の場合もそれでした。これはあくまで私の想像なんですが、自然分娩の場合って痛いから少しづつイキんでちょっとずつ分娩が進んでいくんだと思うんです。でも無痛分娩の場合って痛みがないから、躊躇なしにイキんで、一気に生まれるので、結構派手に裂けちゃうのかなと。私の場合は麻酔が切れた後、その裂けた部分が痛かったです。裂けた部分自体は、麻酔が効いているうちに縫ってもらえるので、処置自体の痛みはないんですけど。処置後の麻酔が切れてからがつらかったですね。
interviewer:裂けた部分が治るまで、どれぐらいかかりましたか?
Yさん:これに関しては無痛分娩も自然分娩も同じだと思うんですけれども、退院してからもしばらく痛いですね。だからしばらく円座で暮らしている感じでした。退院してから1週間後ぐらいまで痛かったので、トータル2週間ぐらい痛かったですね。痛み止めにもらった「ロキソニン」を飲みつつ痛みを凌ぐという感じでした。
interviewer:無事にお子さんが生まれてからの流れはどんな感じでしたか?
Yさん:大体生まれてから2時間ぐらいは分娩台にいるんですよ。これは自然分娩の人も変わらないんですけれども。特に何もなければそのまま病室に帰って、お昼寝するなりして過ごすのが通常の流れです。しかし、私はけっこう出産時にできた傷がひどくて、血腫(けっしゅ)という、血のたんこぶみたいなものができちゃったんです。私の場合これが痛すぎたので、出産当日は子どもに会わずに寝たきり状態。その翌日から子育てをはじめました。
interviewer:退院まで何日入院しましたか?
Yさん:私の時は、産んだ日を0日と数えて4日目で退院だったと思います。これは病院によって5日だったり6日だったりと違ってきます。あと本人の産後の状況であったり体調によって変わりますね。また、現在はコロナ禍の影響で産科専門の出産施設に人気が集中していることもあり、産後の経過が良い人は、通常の日程よりも早く退院するケースもあると聞いています。
interviewer:例えばアメリカなどでは、翌日退院が一般的だと聞きますね。
Yさん:聞いた話だと、アメリカ・ヨーロッパ・韓国などは、産んだ後のサービスがすごい充実しているらしいですよ。韓国だと出産後に入院するための病院があるみたいです。だから日本の人でも出産するために韓国に行くというケースがけっこうあるらしいですよ。アメリカもベビーシッター文化が定着しているし、翌日退院でも大丈夫な体制があるんだと思います。日本だと里帰り出産をする人も多いですけど、上の子がいたりすると、なかなかそうもいかなかったりもするだろうし。とにかく日本は出産を終えて、家に帰ってからの方が大変という印象がありますね。だから病院にいる間にどれだけ静養できるのかというのはすごく大事だと思います。そういった面から考えても無痛分娩という選択は良いと思うんですよね。
interviewer:退院してからは大変でしたか?
Yさん:4日目退院というのを自分もやってみてわかったんですけれども、やっぱりかなりハードなんですよ。私の場合は、自分が産科の看護師をやっていたから、事前に色々と知識もあって、まだマシだったと思うんですけれども、それでも大変でした。1人目の子育てって、本来すべてが初めてのことじゃないですか。オムツを替えるとか、ミルクとか、おっぱいとか、お風呂とか。これを丸4日で覚えて帰れってけっこう酷だと思うんですよね。だから、もし無痛分娩じゃなくて、自然分娩で体力がない状態で、これを覚えなきゃいけないとなるとすごい大変だと思います。
interviewer:無痛分娩後の体力の消耗って、ご自身の感覚ではどう感じましたか?
Yさん:ほんとに3回腹筋したぐらいで産み終わったから、ゼロに近いぐらい体力を消耗してなかったですね。笑っちゃう感じでした。
無痛分娩を実際に経験してみて感じたメリット
interviewer:産後に体力が通常まで回復したと感じたのはいつ頃ですか?
Yさん:無事に何事もなく分娩できていたらすぐだったと思うんですけれど、私の場合は出血が多くて貧血があったんですよね。それでしんどかったというのはあります。あと「鎌ヶ谷バースクリニック」の場合は、子どもを預かってくれるので助かりました。病院によっては「母子同室」といって、子どもと母親が同じ部屋で過ごさなければいけないところもあるんです。もちろんそれは、子どもの面倒をみるための訓練期間的な意味合いがあるんですけど。産後のしんどい状態で、母子同室だったらかなり参ってしまっていたと思います。あと「鎌ヶ谷バースクリニック」では「母乳でも粉ミルクでもご自由に」という方針だったので、そこは楽できました。病院によっては「母乳しか認めない」という方針の病院もあります。かなり有名な大病院でもそういうところはあります。知り合いの方で「単純に大きい病院だから安心」という理由で病院を選び、実際に入院してから「母乳しか認めない」病院だとわかり、過酷な想いをした人もいますよ。もちろん「母乳だけで頑張りたい」「母子同室をしたい」という方もいらっしゃるので、一概にどちらが良い悪いといった話ではないですが、出産する病院を選ぶ際には、こうした細かい部分も含めて、自分の希望に沿う病院なのかをキチンとチェックした方が良いと思います。
interviewer:無痛分娩を実際に経験してみて感じたメリットを教えてください。
Yさん:体力が温存できるのと、食欲もすぐ戻るところですね。自然分娩でよく聞くのが、出産後、疲れすぎて全然食べる気にならないっていうのがあるらしいんです。例えば、フルマラソンを走った直後にご飯を食べろって言われても、ちょっと無理じゃないですか。無痛分娩だと出産後すぐにご飯が食べられますね。あと、人によっては産んですぐに授乳できると思うんですよ。おっぱいは早くあげればあげるほど、反応が良いと言われているんですけれど、そういう意味でも母乳育児をやっていきたい人には良いですね。あと、私は出産する時に、動画を撮影してもらっていたんですけど、出産する私自身も笑顔で生まれていく様子を見れていました。子どもが出てきた瞬間もすごくよく記憶に残っていますし。これもメリットの1つだと思います。
interviewer:反対にデメリットに感じたことはありますか?
Yさん:やっぱり、自然分娩に比べてお金がかかることですかね。あと日本だと無痛分娩ができる病院が限られているから、かなり病院選びを頑張らなければいけないのもデメリットですね。例えば、自分が望む出産のチェックシートをつくって、それが可能な病院を絞り込んでいくと、結局1〜2件しかないっていうことも往々にしてあると思います。さらに言えば、そういう病院は人気が高いから、申し込まないとすぐに定員が埋まっちゃうんですよ。
interviewer:なるほど。じゃあ妊娠してから「無痛分娩どこでやろうか」って迷っている期間はそんなに取れないってことなんですね。
Yさん:そうなんです。あと料金もリーズナブルで無痛分娩が可能な病院って少ないと思うんですよね。だから人気の産院は本当に争奪戦だと思います。「鎌ヶ谷バースクリニック」はコロナの規制が厳しくて、夫も病院自体に出入り禁止。出産の立ち会いもできませんでした。だから普段の検診に行く時も、夫には駐車場の車の中で待機してもらっていました。そういった厳しい感染対策をしていることもあって、コロナが心配なお母さんたちから、ますます人気の状況になってたと思います。