東京都杉並区Oさん【後編】 麻酔が切れた後に発熱と失神/桜町病院
陣痛の痛みをほとんど感じることなく無事にお産を終えたOさん。ところがお産の直後に発熱、一体何があったのでしょうか。
【基本データ】
■name/Oさんご夫妻
■年齢/妻_32 夫_27
■お住まいのエリア/東京都杉並区
■家族構成/夫+妻+子ども(1名)
■出産施設/社会福祉法人聖ヨハネ会 桜町病院
■無痛分娩回数/1回
■出産費用総額/約70万円(出産基本費用約52万円+無痛分娩費用約8万円+追加医療費約10万円)-42万円(出産一時金)=28万円
■無痛分娩実施時期/2021年
取材時期:2022年1月
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前編はこちら
東京都杉並区 Oさんの無痛分娩体験談【前編】|コロナ禍1人でのお産、計画無痛分娩で不安が軽減。
前編の続きから↓↓↓
interviewer:麻酔が切れてから痛みはあるんですか?
妻:めっちゃ痛かったです。
interviewer:どんな痛みですか?
妻:やっぱ、裂けちゃったんですよ。おまたが!そこが痛くなって。
interviewer:自然に裂けちゃったんですか?
妻:赤ちゃんが出てくる途中で自然と裂けちゃいました。縫っている時も、痛くないんですけど何となく感覚はありました。2時間くらいして麻酔が切れた時に「痛いぃ!」ってなりました。今まで血圧が上がったことなんてなかったんですけど上がっちゃって、熱も出て。部屋に移動する前にトイレに行ったんですけどそこで失神しちゃったんです。
interviewer:え?!
妻:痛すぎて気を失っちゃったんです。それがおまたの痛みだったのか膀胱炎の痛みだったのかは分からないんですけど。目が覚めて、慌てて看護師さんを呼びました。
interviewer:その時1人だったんですか?
妻:トイレの外に看護師さんがいたんですけど、座った状態で気を失ったので。車椅子で部屋に戻って、痛み止めを飲んで寝ました。
interviewer:え〜!それは一大事ですね!トイレは分娩室の外ですよね。
妻:廊下にあるトイレです。
interviewer:歩いて行ったんですか?
妻:車椅子で行きました。まだなんか足がちゃんと動かない感じで。
interviewer:そうですよね。まだ麻酔が効いていて上手く歩けないですよね。
妻:産後ハイとかあるっていうじゃないですか。そんなのは全くなかったですね。もう熱がすごすぎて。
interviewer:風邪を引いてる時みたいな、もう気持ち悪いみたいな感じですか?
妻:そんな感じです。
interviewer:本当に大変でしたね。
妻:そうなんですよ。熱は翌日には1回下がったんですけど、また上がっちゃって。
interviewer:赤ちゃんには会えたんですか?
妻:深夜は母子別室の病院だったので別々で。産んだ翌日は熱も37度でそこまで高くなかったのでコロナも疑われず、赤ちゃんに会えました。その次の日からまた熱が上がっちゃって、それからは赤ちゃんにあんまり会えなかったですね。
interviewer:個室に移動したんですよね。
妻:はい、たまに看護師さんが赤ちゃんを連れてきてくれて、点滴を打ちながら母乳をあげたりしました。
interviewer:熱がある中大変でしたね。
妻:桜町病院は母乳育児を推奨しているので。個室に移動してからは私が部屋から出られないため、そういう風に対応してもらえたんだと思います。結局退院するまでそんな感じでした。
interviewer:そうなんですね。母乳育児を軌道に乗せるには産後数日間の授乳がとても大切だと聞いたことがあります。何日間入院したんですか?
妻:5日間ですね。最終日にまだ退院させられないと言われたんですけど、無理矢理退院しました(笑)。
interviewer:なぜ退院させられないって言われたんですか?
妻:私の体調がまだ悪いからということで。「熱もあるから、まだ退院はできないと思う」と言われたんですけど「やだやだやだ、帰る帰る」って言いました(笑)。なんとかOKが出て帰れることになりましたが、2週間後には検査に来るようにと言われました。
interviewer:すごい。帰ったんですね。やっぱり帰りたかったですか?
妻:帰りたかったですね。熱はあったのですがそんなに体調は悪くなかったので。費用がこれ以上かかるのも嫌だなというのもありました。膀胱炎とか、おまたが裂けて痛いというのはあるんですけど、思ってたよりも回復は早いなと思いました。無痛分娩だったからかもしれません。
interviewer:体力消耗はどんな感じでしたか?
妻:疲れなかったですね。イキんだ時の筋肉痛が少しありましたね。退院するときにはおまたの痛みはなくなったものの、まだゆっくりしか歩けなかったけど「こんなもんか」って感じでした。
interviewer:なるほど。出産後ご自身の体力が普通に戻ったと感じたのはどれぐらいしてからですか?
妻:2週間ぐらいですね。里帰りしてたんですが、もう大丈夫だなと思って予定を早めて2週間で自宅に帰りました。そんなに子供も夜泣きしなかったため、ちゃんと寝れていたのも大きかったです。悪露(おろ)もそこまでじゃなかったし、そろそろ普通に生活したいなと思って。自宅に戻ってからも半月ぐらいはあんまり外に出ませんでした。でも1ヵ月検診くらいからはもう普通に生活してましたね。
無痛分娩を終えてみて。
interviewer:無痛分娩をやってみて、良かったと思いますか?やらなくても良かったと思いますか?
妻:やってよかったですね。
interviewer:理由を教えてください。
妻:やっぱり余裕があった感じがします。お産の最中もその前も。陣痛が来てから病院へ行くってすごい不安に思ってたんですよ。計画分娩だったので予定が決まっていたっていうのがよかったです。あと産後も普通に生活できるまで結構早かったかなぁって自分では思うんで、やってよかったって思います。コロナで面会できなかったり立ち合いできないことに不安があったので、1人だけど無痛で余裕がある状態で産めてよかったなぁって思います。
interviewer:ご主人はどうですか?
夫:良かったと思います。計画分娩だったんで、職場にもいつ産まれるかを報告しやすかったですね。旦那の立場からすると予定が組みやすかった。お産の日も頻繁に連絡がとれたのもよかったです。お産の進行具合を知ることができました。産み終わった後も通話とかテレビ電話とかできたので。それが「通常の分娩(自然分娩)だったらできていたのかな?」と思ったりしました。計画無痛分娩だからこそ、ある程度全体的に余裕が生まれたのかなと思います。
妻:連絡よく取ってましたね。産まれる40分前くらいまでは普通にLINEしてました。「今お腹蹴られてる」とか。病院側から「電話してもいいよ」とも言われてました。
interviewer:お産の当日はご主人はお休みをとっていたんですか?
夫:たまたまお休みだったんですよ。でも職場にはだいたいこのあたりに産まれるっていうのを言っていたので、融通してくれてたんだと思います。
妻:立ち合いは出来ないので、休まなきゃっていうのはなかったですね。
夫:でもせめて入院する日には一緒にはついていきたいと思っていました。
interviewer:むしろ入院の日が旦那さんにとってはメインの活躍どころだったんですね。
夫:荷物が多くて。奥さん1人だときついなと思っていたので。
interviewer:なるほど。その日は休みを取ってっていう感じだったんですね。
妻:着替えを全泊分持っていかないといけないじゃないですか。
interviewer:途中で洗濯を家族にお願いしたりはしなかったんですか?
妻:病院内にコインランドリーがあったので大丈夫でした。
interviewer:自分でやるんですか!?
妻:全然出来るかなぁと思って、1度ですけど自分でコインランドリーで洗いました。結構元気だったんですよね、やっぱり。
interviewer:元気さが伝わります。
無痛分娩を選んでよかった。病院の心温まる対応に「またここで産みたい」。
interviewer:Oさんが感じた無痛分娩のメリット・デメリットについて教えてください。
妻:メリットは、やっぱり痛くないことですね。個人差はあると思うんですけど、私は麻酔が効きやすいタイプだったのかなと思います。痛くなかったので、産んだ時ちゃんと感動できたのも大きいです。
interviewer:お友達が言っていたメリットを実際に感じることができたと。赤ちゃんが出てくるのを見る余裕があったんですね。
妻:出てくるのも見れました。「出るよー」って助産師さんが教えてくれて、お腹に乗せてくれて。赤ちゃんが泣いてる顔もちゃんと見れましたし。
interviewer:味わう余裕もあったんですね。
妻:ありましたね。熱が出て辛くなる前まではテレビ電話で主人と連絡とったりして。もっと疲れてたらそんな余裕なかったかなって。デメリットとしては麻酔の反動みたいなのがあったのかなと思います。ずっと痛いよりはましなのかもしれないですけど、麻酔が切れた時がもうめちゃくちゃ痛かったですね。
interviewer:どこが痛かったんですか?
妻:おまたが痛かったです。他のデメリットとしては、やっぱり病院によってはもっと費用かかることだと思います。
interviewer:みんなそう言います。費用面ですね。
妻:そうですよね!そこが多分ネックなんだろうな。都内は特に高いと聞くので。
interviewer:ご主人はどうですか?
夫:そうですね。メリットは奥さんが気持ちよく出産できたことじゃないかと思いますね。自分は病院に行けなかったので。デメリットは、うーん、お金といえばお金ですけど、そこはあんまり気にしなかったですね。
interviewer:ご主人にとってはメリットしか残らなかった?
夫:ですね。退院した日も迎えに行ったんですけど、元気そうでしたし。
interviewer:無痛分娩をしても痛かったという人もいる中で、痛くなかった、ご主人もメリットしか感じていないっていうことで、本当によかったですね。
夫:そうですね。
妻:病院が良かったかなって思います。
interviewer:桜町病院のどういう部分が良かったですか?
妻:やっぱり1人で不安に思っていたんですけど、看護師さんがすごく気にかけて、ずっと話しかけてくれて「いつでも呼んでね」と言ってくれたりしたことで、とても安心できました。実は桜町病院の看護長が、私の小中学校の同級生のお母さんだったんですよ。知り合いがいたので地元に帰ってきた感じがしてなんだか楽しめました。
interviewer:なんと!同じ病室には同級生もいましたもんね!
妻:地元っていうのもあったし、ほんとにみんな優しくて気にかけてくれて。退院する時にもたくさん見送りに来てくれたりとかして。ドラマの『白い巨塔』みたいでした(笑)。
interviewer:伝わりました。『白い巨塔』の総回診のシーンですね(笑)。
妻:そうそうそう(笑)。
interviewer:総合病院は規模が大きいため、システマチックなイメージがありますが、桜町病院は、総合病院でありつつ、いわゆる「街のクリニック」のような心のこもった地元感もある病院だったんですね。
妻:はい、おかげで入院生活は楽しかったなって思います。
interviewer:それは最高ですね。2人目のお産はどうしたいですか?
妻:また桜町病院にすると思います。無痛分娩もよかった。今度もまた無痛にするかどうかはその時になってみないと分からないですが。あと2人目は里帰りはしないかな。
interviewer:無痛分娩を他の方にオススメしたいと思いますか?
妻:したいと思います。
interviewer:理由を教えて下さい。
妻:やっぱりお産に対して余裕を持てるからですね。実際に陣痛が来たら怖いと思うんですけど、無痛分娩だったので「あ、これ陣痛なんだー」という感じだったので(笑)。呑気に構えられたというか、そんなに怖くなかったんですよね。なのでオススメです。特に1人目のお産をする人にはオススメしたいです。2人目以降の場合は、1人目で既に経験してるのでもうだいたい分かってるじゃないですか。1人目の人はやっぱり不安だと思うので、無痛はお勧めですね。
interviewer:なるほど。1人目から無痛分娩を選択されたOさんならではの観点に共感される人も多いかもしれませんね。
妻:不安が軽減されると思います。
「旦那さんは奥さんの希望を肯定してあげればいいと思う」
interviewer:最後にご主人、何かありましたら。
夫:旦那さんは、奥さんのしたいようにしてあげればいいと思います。無痛にしたいって奥さんが言ったなら旦那はもうそれを肯定すればいいと思います。
interviewer:それはなぜですか?
夫:やっぱり、ストレスを与えないのが1番じゃないですかね。悩ませないようにする。
interviewer:素晴らしい!
妻:私の場合、周りに反対する人がいなかったんですよ。
interviewer:親御さんは反対されなかったんですか?
妻:親の時代にはなかったものだと思うんですけど、コロナ禍っていうのもあって「したいようにしなよ」と言ってくれました。
interviewer:そうなんですね。
妻:あと、海外だと無痛分娩が多いって言うじゃないですか。「日本が自然分娩が多いだけで、海外だと普通なんだよ」と話をしたら結構すぐ納得してくれました。
interviewer:「海外の話は知らん!」ってならずに、ご両親は柔軟ですね。
妻:そうですね。私も帝王切開で産まれたので、親も自然分娩にこだわりはなかったみたいでした。
interviewer:お産っていろいろで面白いですね。素敵なお話をありがとうございました。
妻:こちらこそありがとうございました。