福島で里帰り出産Nさんの体験談【前編】想定外の早さで急遽出産/公立 岩瀬病院
里帰り先の福島県で2人のお子さんを出産したNさん。1人目は自然分娩で出産し、1年以上産後のダメージに苦しんだことから2人目は無痛分娩での出産を選択。身体的なメリットが挙げられることが多い無痛分娩ですが、精神的なメリットについても詳しく語ってくれました。鋭い着眼点を持つNさんの体験談を前後編でお送りします。
【基本data】
■name/Nさん
■年齢/38
■お住まいのエリア/東京都板橋区
■家族構成/夫+妻+子ども(2人)
■出産施設/公立 岩瀬病院
■無痛分娩回数/1回
■無痛分娩費用/約12万円(出産費用+無痛分娩加算=62万−出産育児一時金50万)
■無痛分娩実施時期/2024年4月
取材時期:2024年12月
福島県には無痛分娩できる施設が少ない。

interviewer:本日はよろしくお願いいたします。Nさんは1人目を自然分娩で出産、2人目で無痛分娩を体験されたということで、色々とお話をお聞かせいただければと思います。
Nさん:よろしくお願いします。
interviewer:福島県での無痛分娩の体験談を伺うのは今回が初めてです。
Nさん:福島県は無痛分娩できる病院が少ないんですよ。だから今までインタビューできる機会がなかったのかもしれません。
interviewer:なるほど。少ないけれど、いくつかはあるということですね。
Nさん:はい。わたしが出産した岩瀬病院は須賀川市にありますが、無痛分娩を扱う病院について調べた時に、通院可能かなどの県内のカバー範囲を考えると、福島県で無痛分娩を扱う病院はやっぱり少ないなと感じました。
interviewer:同じ県内でも、かなり遠い場所になってしまうのですね。
Nさん:そうです。今の状況だと、選択肢がなくて自然分娩一択になってしまう人がほとんどではないかなと思います。
interviewer:自然分娩しか選べないと。
Nさん:そうなんです。金銭的な問題ではなく、選択肢がないのが現状かなと思います。私が今回出産した病院も、実家からは車で1時間かかりました。
硬膜外麻酔に関する情報だけを重点的に調べました。

interviewer:Nさんが無痛分娩を選んだきっかけを教えてください。
Nさん:妹が今回私が出産した「公立 岩瀬病院 」で無痛分娩をしていたんです。私は第1子(自然分娩)の出産後、体がとてもつらく、回復に時間がかかりました。それで、第2子を妊娠した時に、妹から「ここの無痛分娩はとても良かったよ」と勧められて、そこで初めて考えました。
interviewer:なるほど。妹さんもNさんのように里帰りして出産されたんですか?
Nさん:いえ、妹は郡山市に住んでいるので自宅からです。
interviewer:では、妹さんの自宅からは病院が近かったのですね?
Nさん:はい。妹の家からだと、病院までは車で30分くらいの距離です。
interviewer:無痛分娩をしようと決めてから、どのように情報収集をされたのでしょうか?
Nさん:まず、ピンポイントで病院に直接電話して、概要を簡単に説明してもらいました。その上で、自分が一番気になっていたのが硬膜外麻酔だったので、それについて調べました。
interviewer:なるほど。具体的には、どのような方法で調べたのですか?先生に直接質問したのでしょうか?
Nさん:ネットで「硬膜外麻酔」で検索して調べました。他の手術で使われる麻酔の仕組みについても記事がたくさんあったので、それを読んで理解を深めました。それ以外はあまり詳しく調べなかったですね。
interviewer:硬膜外麻酔に特化して調べたのですね。なぜでしょうか?
Nさん:そうですね。無痛分娩自体の体験談や感想は人それぞれなので、細かく調べても結局は自分がどう感じるか次第かなと思いました。
interviewer:たしかにそうかもしれません!
Nさん:出産って、調べても仕方がないことが多いんですよね。だから私は「硬膜外麻酔がどんなものか?」という技術的な部分だけを理解しておこうと思いました。実際に自分が受けるなら、そこだけは知っておくべきだと考えたんです。それ以外はあまり深く調べませんでした。
interviewer:その考え方、とても良いかもしれませんね。Nさんのような情報収集の仕方をしている方は初めて聞きましたが、言われてみれば確かにそうですね。無痛分娩全般について広く調べても、自分に当てはまるかどうかは分からないことが多いですよね。参考にはなっても、個々のケースで違いが出るでしょうし。
Nさん:そうなんです。病院でも例えば「費用は大体この範囲内ですが、患者さんによります」と言われたりします。結局やっぱり人それぞれなんですよね。
interviewer:たしかに、そうなりますよね。
Nさん:手術と同じで、無痛分娩にもメリットとデメリットが当然ありますし、どんな処置でもリスクがゼロではないですよね。
interviewer:そうですね。
Nさん:手術の方法や麻酔の仕組みを納得できるまで調べたので、他に無痛分娩に対する大きな不安はありませんでした。
「無痛分娩PRESS」で参考になった記事。

interviewer:Nさんは出産前から「無痛分娩PRESS」を読んでくれていたということなのですが、いつ頃から読んでくれていたのですか?
Nさん:割と初期の頃から見ていました。全部ではないのですが、ちょこちょこ記事は読んでいましたね。
interviewer:ありがとうございます!
Nさん:そして、自分が妊娠してから改めてしっかりと読むようになりました。
interviewer:印象に残った記事はありますか?
Nさん:海外で無痛分娩を受けた方の体験談はどれも面白かったですね。「そんな違いがあるんだ」と驚きました。
interviewer:なるほど。ありがとうございます。
Nさん:特に面白いと思ったのは「推し活」の記事ですね。(東京都 小林さん 「推し活」のため無痛分娩で体力温存!/育良クリニック)今の時代を反映していて興味深かったです。
interviewer:そうですよね。「推し活があるから無痛分娩を選んだ」という発想は新鮮でした。
Nさん:あと、失敗談というか「思っていた通りにいかなかった」というケースも興味深かったですね。
interviewer:はい、数記事ありますね。アメリカでの無痛分娩の失敗例もありました。
Nさん:そうそう、それも読みました。医療従事者が不足していたために、予定通りに麻酔が受けられなかったという話でしたよね。「なるほど、そういう問題もあるのか」と思いました。あと、精神疾患を持っている方の体験談(東京都Iさん 精神的な持病が理由で…/東京衛生アドベンチスト病院)も印象に残っています。
interviewer:なるほど、どんなところが印象に残りましたか?
Nさん:記事の中でも少し触れられていましたが、あの方は別に精神疾患について語らなくても、無痛分娩の話だけで十分に成立する内容だったと思います。でも、自分と同じ境遇の人がいるかもしれないと思って話してくれたのかな、と感じました。
interviewer:そうなんです!まさに「自分と同じ状況の人に届いてほしい」とおっしゃっていました。
1人目の出産後は、1年以上ダメージが残っていました。

interviewer:無痛分娩での出産費用にかかった金額は自己負担額12万円だったとのことですが、金額についてはいかがでしたか?
Nさん:はい。費用は安かったと感じています。
interviewer:確かに、標準的にはプラス10万~15万円ほどかかると言われていますから、その範囲内で済んだのですね。
Nさん:そうですね。トラブルが起きたりしたら追加費用がかかったと思うのですが、私は比較的スムーズにお産が進んだので、追加費用はあまりかかりませんでした。
interviewer:それは、2人目の出産だったというのも影響しているかもしれませんね。
Nさん:そうですね。予定より早く進んで「もう生まれそうですね」という流れになり、使わなかった薬もあったようです。それに、経産婦だったので入院日数も短く、他の方より1日早く退院できました。
interviewer:自然分娩で出産した1人目の時より、産後の身体のダメージは少なかったですか?
Nさん:それはもう比べ物にならないぐらい楽でした。無痛分娩を選択したのは本当に正解だったと思っています。
interviewer:1人目の産後はいかがだったのでしょうか?
Nさん:私は1人目の出産後、体の回復がとても遅く、長い間痛みが続いて大変だったんです。
interviewer:どのくらいの期間、回復に時間がかかりましたか? 例えば、1年くらい続いた感じでしょうか?
Nさん:そうですね。1年ぐらいだったと思います。そうなると出産で受けた体のダメージが残ったまま育児に入ることになりますよね。初めての子育てなので、授乳や長時間の抱っこなどで、新たな体の痛みが出てしまいました。
interviewer:あら。
Nさん:結果的に、1年くらいの間、布団から起き上がる時にどこかに掴まらないと立ち上がれない状態が続きました。常に腰や膝が痛くて…。
interviewer:それは大変ですね。常に身体のどこかを痛めている状態が続いていたのですね。
Nさん:はい。授乳と抱っこの影響が大きかったのだと思います。
「これが嫌だから無痛分娩を選んだのに!」

interviewer:無痛分娩当日のお話についてお聞きしたいと思います。計画無痛分娩だったので、前日から入院されたんですよね?
Nさん:はい。前日に入院しました。午後に病院へ行き、その日は特に何もせずに過ごしました。
interviewer:検査なども特に行わなかったのですか?
Nさん:はい、検査はすでに通院時にすべて済ませていたので、入院当日は何もありませんでした。翌日の午前中から、子宮頸管(しきゅうけいかん)を柔らかくする薬を入れる予定になっていました。無痛分娩の計画としては、2日かけてゆっくりとお産を進める流れになっていたんです。
interviewer:はい。
Nさん:1日目は、子宮頸管を熟化させる薬を入れ、そのまま様子を見ました。ただ、私が出産した病院は夜間の無痛分娩には対応していなくて、無痛分娩は日中しか行えない決まりでした。そのため、夕方まで子宮頸管熟化剤(しきゅうけいかんじゅくかざい)を入れた後、夜には薬を入れないことになっていました。
interviewer:それは、夜中に陣痛が来ないようにするためなんですね?
Nさん:はい、そうです。
Nさん:でも私、子宮頸管熟化剤を入れたら、昼頃に陣痛が来たんです。
interviewer:結構すぐに効いた感じだったんですね?
Nさん:そうなんです。反応が良くて、そこからお産の進みも順調で、その日のうちに生まれました。
interviewer:めちゃくちゃ順調ですね!
Nさん:はい。子宮頸管熟化剤だけで陣痛が始まり、そのまま進んでいったんです。
interviewer:おお、それは想定より早かったですね。午前中に子宮頸管熟化剤を入れて、何時ごろ出産されたんですか?
Nさん:生まれたのは17時半くらいでした。陣痛が来たと感じたのが11時か12時頃だったので、だいたい5〜6時間で出産に至りました。
interviewer:すごく早かったですね。
Nさん:そうなんです。でも、助産師さんに「陣痛が来たかもしれません」と伝えたんですが、最初は「子宮頸管熟化剤の影響で痛みが出ているだけかもしれません」と言われていました。
interviewer:病院側としても予想外の早さだったのですね?
Nさん:はい。助産師さんたちも「この薬の影響で痛みが出ることはあるけど、抜けば治まると思いますよ」とおっしゃっていて。「そうなんですね。でも、結構痛いんですけど…」と伝えたら「薬を取れば収まるので、今日は生まれないと思ってください」と言われたんです。
interviewer:でも実際には…?
Nさん:実際にはどんどん痛みが強くなって「これ、本当に陣痛じゃないですか?」と伝えたら、内診をしてもらって「子宮口が4cmか5cm開いてますね、これはもう分娩に移行できますね」と言われました。
interviewer:それは急展開でしたね。
Nさん:はい。でも、その後も先生がなかなか来なくて…。痛みがどんどん強くなり、もう叫ぶくらいの状態になってから、ようやく先生が到着しました。
interviewer:元々は翌日に促進剤を入れる予定だったんですもんね。
Nさん:そうそう。完全にそのスケジュールだったので、予定外の早さでした。
interviewer:それは仕方ないですよね。でも実際には「え、もう生まれるの?」という展開になったんですね。
Nさん:そうなんです。後から助産師さんに聞いた話では、先生は外来の診察などもあってなかなか急には来られない場合もあるみたいです。
interviewer:先生が来てくれるまでどれくらいの時間待ったのですか?
Nさん:たぶん1時間くらい、もしくはそれ以上待ったと思います。
interviewer:想定外の早さだから、なかなか来られなかったのでしょうね。
Nさん:そうなんです。
interviewer:じゃあ、先生が来るまでは相当痛かったのでは?
Nさん:はい、もう普通に「うわーー!」って感じでしたね。「これが嫌だから無痛分娩を選んだのに!」と思いながら耐えていました(笑)。
interviewer:先生が来てからは、どのような流れだったのでしょうか?
Nさん:麻酔の処置をしてもらいました。そこからは15分ほどで麻酔が効いてきて、その後の出産自体は、たぶん30分くらいで終わったと思います。
interviewer:早い!
Nさん:そうなんです。振り返ってみると麻酔をしていた時間自体はすごく短かったんですよね。ただ、最後のクライマックスの痛みがなかっただけでも、私は無痛分娩を選んで本当によかったと思いました。