広島 梶田谷さん 家族に見守られながら3人目出産/香月産婦人科
1人目のお産で、「こんな痛いのなら、もう二度と産まない!」と思ったにも関わらず、時間が経つにつれて「痛みを忘れていた」という梶田谷さん。3人目のお産で遂に無痛分娩を選択されました。計画無痛分娩だからこそ実現した「家族みんなで見守る出産」についてもお伺いしています。
【基本data】
■name/梶田谷さん
■年齢/妻_40
■お住まいのエリア/広島県広島市
■家族構成/夫+妻+子ども(3人)
■出産施設/広島中央通り 香月産婦人科
■無痛分娩回数/1回
■出産時支払い費用/約22万円(部屋代、食事代、無痛分娩費用の合計)
■無痛分娩実施時期/2019年7月
取材時期:2023年10月
初めて無痛分娩を考えた3人目、いい病院が偶然近くに。
interviewer:本日はよろしくお願いいたします。
梶田谷さん:こちらこそよろしくお願いいたします。
interviewer:梶田谷さんは、今広島にお住まいなんですね。
梶田谷さん:そうなんですよ、ずっと広島にいます。
interviewer:広島の方にインタビューするのは、初めてなんです。
梶田谷さん:そうなんですね。福山市に住む友達が無痛分娩で出産しているんですが、私が広島市で探した時には、無痛分娩に対応できそうな産婦人科が2軒しかなくて。産科自体が減っているのもあると思うんですけど。
interviewer:なるほど。では「無痛分娩」に関心を持ったきっかけはお友だちですか?
梶田谷さん:そうなんです。無痛分娩は知っていたんですけど、実際に友だちが3人目のお産の時に無痛分娩をして「すごい楽だった」ってたまたま聞いて。「いいな、やってみたいな」って思っていたんですよね。
interviewer:なるほど。それで、実際に3人目を妊娠、無痛分娩しようとなった時に、インターネットや本などで調べたりしましたか?
梶田谷さん:そんなにじっくりではなく、ちらっと調べた感じです。
interviewer:では、無痛分娩できる病院を探して、そこのホームページを読んで…みたいな。
梶田谷さん:そうですね。私は元医療従事者なんですけど、結局、無痛分娩といっても、硬膜外麻酔で痛みを和らげるというくらいにしか思っていなかったので。
interviewer:なるほど。病院によっては、無痛分娩を希望する人向けのセミナーとか講習会もあるようですが、そういったものもなかった?
梶田谷さん:妊娠がわかった時は仕事も忙しいタイミングだったので、そういった情報をじっくりと探す暇がなかったんですよね。私の場合はたまたま自宅の近くにあった「広島中央通り 香月産婦人科」に行って、妊娠が分かったその場で「無痛分娩ができますか」って聞いたんです。ダメだったら別の病院に行こうと思っていたので。特に条件なども言われず「できますよ」と言われたので、「じゃあここで産みます」っていう感じですんなり決めました。
interviewer:では、病院選びに苦労はなく「近場で」という感じだったんですね。
梶田谷さん:そうなんです。バスで20分くらいの通いやすい距離にある病院で「こんなに近くでいい病院があるのなら、やっぱり無痛分娩にしよう」とますます現実的になりました。
「時間外だと無痛分娩ができない」と聞き、予定通りできるか心配でした。
interviewer:無痛分娩は病院によって割と痛みを残すタイプの分娩をするところと、全く痛みなしを目指すところ、それぞれ違うんですが「広島中央通り 香月産婦人科」はどうでしたか?
梶田谷さん:完璧に陣痛が始まって、生まれる寸前ぐらいの痛さになってから麻酔を使いました。そういうのも事前に調べておけばよかったんですけど。
interviewer:なるほど。
梶田谷さん:痛みを全く無くしているわけじゃないので、そこはもしかしたら他と違うかもしれません。完璧に痛みを無くすのって、もう最初から痛くないんですか?
interviewer:麻酔を入れるまでは、どうしても痛いみたいです。「この日にやりましょうね」という計画無痛分娩で、場合によっては本当に痛みがゼロっていうのがあるみたいなんですけど、自然に陣痛が来てから麻酔を入れるタイプのところは、麻酔が入るまではやっぱり痛いんですよね。
梶田谷さん:そうそう、痛かった。でも私は、上の子2人の経験で「そこから先がもっと痛い」という記憶が残っていたから、それでもよかったです。
interviewer:あぁ、そうですよね。
梶田谷さん:「広島中央通り 香月産婦人科」は、きちんとした陣痛が来てから麻酔するというやり方の病院だと思うんですけど、私は計画無痛分娩だったんです。
interviewer:なるほど、計画(無痛分娩)だったんですね。
梶田谷さん:前もって決めた日に朝から行きました。陣痛促進剤を使ってもなかなか陣痛が来ないから追加して「やっと陣痛が来た」と思ったらすごく痛くなって。そこから硬膜外麻酔をしてもらったという流れです。
interviewer:なるほど。費用面ではどうでしたか?
梶田谷さん:実際に支払った金額は22万円くらいだったと思います。広島市では書類だけ出せば、出産費用を立て替えて支払う必要がないんです。だからそこまで詳細な金額を覚えていなくて・・・。
interviewer:では支払った金額の内容は?
梶田谷さん:無痛分娩の費用と、個室代、食事代も入っていると思います。
interviewer:ありがとうございます。「無痛分娩で産もうと思う」と言ったときに、ご主人やご両親など、周囲の反応はどうでしたか?
梶田谷さん:両親も医療従事者なんです。父は、元々何も言わないタイプで、看護師の母も「あ、そうなん」といった反応で、家族は別に何も言ってなかったです。
interviewer:結構、周りの両親に反対されて、無痛分娩にするのをやめるっていうケースもあるみたいで。
梶田谷さん:そうそう「痛みを伴って産まないとダメ」みたいな考え方もあるんですよね。
interviewer:他に周囲の声は何かありましたか?
梶田谷さん:職場の同僚で、無痛分娩したことがある人から「結局痛かったし、あんまり良くなかったから、やめた方がいいんじゃない」という感じのことは言われました。
interviewer:そのケースもありますね。「結局痛い」っていう。
梶田谷さん:でも多分、それは初産で無痛分娩をやったからじゃないかなと思うんです。陣痛の完全な痛みが来るまで麻酔ができないじゃないですか。陣痛の痛みでも初めてだったら「こんな痛い思いをするんだったらやる意味がない」って思う人もいるかなと。
interviewer:確かに。「無痛分娩PRESS」でも「無痛分娩の痛み」について麻酔科医の先生監修の記事を上げているんですが、麻酔のタイミングや痛みの考え方もそれぞれの病院で違う部分もあるんですよね。多少痛み残した方がイキめる、イキみやすいというところもあれば、痛みを感じさせないという病院もあって。
梶田谷さん:麻酔のやり方も違うんですね。
interviewer:そのようです。だから痛みといっても、その人が「どういう病院を選んだか」によっても変わるということなんです。
梶田谷さん:そうなんですね。でも、最初は、そこまで見極めできないです。
interviewer:他に無痛分娩で、不安なことや疑問はありましたか?
梶田谷さん:病院からは、夜とか時間外だったら対応できない、麻酔医が…(いないので)というような説明があって、予定日までに陣痛が来たらどうしようという心配もありました。大体お産って夜に生まれるイメージじゃないですか。そうなったら「無痛分娩ができないんだ…」と思ったので。
interviewer:そうなんです。
梶田谷さん:時間外だったら嫌だな、でも夜に来るかもと思って待っていましたけど。
interviewer:結構そういう方も多いみたいです。
梶田谷さん:時間外の対応も、病院によって違うかもしれないんですけど。
interviewer:そうなんです。病院によっては、「24時間いつでもできますよ」というところもあれば、「この時間帯、夜はできません」というところも結構多いんです。また、夜だと料金が割増になるところもあります。でも、大体出産って夜が多いんですよね。昼間に都合よく生まれるわけではないですからね。
梶田谷さん:そうそう。だから、予定の日を決めても「こんな都合よくいくかな」って、ちょっと不安はありましたね。
自然分娩を経験しているからこそ…痛みがないのがうれしくて。
interviewer:では当日はどんな感じでしたか?
梶田谷さん:陣痛促進剤で陣痛が来て、私の場合シングルカテーテルで麻酔を入れたと記憶していますが、めちゃ効きました。入れた瞬間、全然痛くなくなりました。チューブを入れて、効かなかったら追加するというイメージでしたが。
interviewer:そうですよね。シングルっていうのは、1回入れたら追加できない感じなんですか。
梶田谷さん:そうなんです。入れたのが1回きりで「チューブを入れずに、これで痛くなったらどうするんだろう」って一瞬思った気がします。でも痛くならなかったです。実際にチューブを抜いた記憶もないんですよね。
interviewer:なるほど。では1回麻酔入れて、そこからお子さんが生まれるまでは、結構スムーズだったんですか?
梶田谷さん:長い時間ではなかったです。朝の8時くらいに病院に行って、お昼の12時前に終わっていた感じです。陣痛が来るまでに少し時間がかかりましたが、麻酔を打ってから生まれるまでは30分くらいだったと思います。そこから処置があって、病室まで上がるのには少し時間がかかりましたが、病室でお昼ご飯を食べた気がします。
interviewer: 麻酔が切れた後の痛みはどうでしたか。
梶田谷さん:なんだろう、普通の産後の痛み。会陰切開もしているのでその痛みですよね。後陣痛もあるけど、それは、ちょっと重い生理痛程度だったかな。そう、痛いんですけど、我慢できるくらいです。
interviewer:初産で無痛分娩した人は、後陣痛が“初めての大きな痛み”のようで、そこがしんどいとみなさんが言われます。でも、梶田谷さんは、自然分娩も経験しての3人目だったから、結構痛みにも慣れておられるということですよね。
梶田谷さん:はい。1人目も、2人目も、産む時の痛さが強烈だったので、後陣痛は、痛いけど「まぁ、あるだろうな」という感じ。そんなに覚えてなかったりします。
interviewer:想定範囲内という感じでしょうか。
梶田谷さん:そうですね。私は出産のあの痛みが本当に嫌だったから。麻酔を打ってからは何も感じなかったので「こんなに変わるんだ」と思ってめちゃ嬉しかったんです。実際に、あの痛みを伴って産むよりは体力も消耗しなかったし、産んだ後も元気だなと感じました。
interviewer:なるほど。
梶田谷さん:自然分娩って、夜中に陣痛が来て病院に行ったりするから、すごく疲れるんですよね。それが計画無痛分娩だと、普通に夜は寝て、朝起きて病院に行くという流れなので、そういう意味でも楽というか、快適でした。
産後1ヶ月間は体力勝負、出産時に体力温存できたのは大きい。
interviewer:病院には、ご主人もいらしていたんですよね。
梶田谷さん:そうですね。病院に連れて行ってもらって。あと、上の子たちもその時中学生と小学生だったので、学校を休んで来てもらって、3人後ろで一緒に見ていたんですよね。出産する時間の予約ができるので、立ち会い出産もできるなと思って。
interviewer:すごくいい布陣ですね。出産中も普通に家族で過ごして会話しているぐらいの感じだったんですか。
梶田谷さん:痛みを伴うまでは、普通に喋ったりしていましたね。
interviewer:出産って体力をすごく使うので、しばらくは疲れると思うんですけど、体力が元に戻ったと感じたのはいつぐらいですか。
梶田谷さん:あんまり記憶にないですね。そもそも3人目は出産で体力を使った感じがしなかったので。私、あまり母乳が出ないタイプで、飲ませてもすぐ起きるから、その後続いていく“眠れない苦しみ”の方がしんどかったかもしれない。出産日の午後はテレビで気になる会見が予定されていて「見たいな」と思ってたんです。結局、午後までには終わったから、最初から最後までずっとテレビを見てました。それぐらい元気でした(笑)。
interviewer:なるほど。3人目で生まれたお子さんの性別は?
梶田谷さん:女の子です。
interviewer:上のお子さんが中学生だったら、相当お世話してくれそうでいいですよね。
梶田谷さん:そうですね。でも一番上は男の子なんで、最初生まれた時は沐浴もやってくれていましたが、3人目がめっちゃ動くようになってからは「めんどくさい」ってなって、自分がいい時にしか相手しないですね(笑)。
interviewer:それでもすごい戦力ですよね。続けて子どもが産まれたご家庭だとかなり大変だと思いますが、少し年齢が離れていると「お姉ちゃんが見てくれるよ」とか聞いたりするので。
梶田谷さん:確かに「(3人目を)ちょっと見てて」っていうのはできる。真ん中の子も今は中学生、しかも女の子なので、結構手伝ってくれます。 出産時も、その後も、自分的には3人目はすごく楽かもしれないですね。
interviewer:なるほど。梶田谷さんは、無痛分娩のメリットをどのように感じていますか。
梶田谷さん:やり方によって違うのかもしれないのですが、計画無痛分娩で産めるというのが私はすごくよかったと思います。家族で一緒に病院に行けたのもありますし。いつ陣痛が来るかわからないのをずっと待つのが、やっぱり大変なんじゃないかなと思うので。
interviewer:そう、ずっと構えていないといけないですよね。
梶田谷さん:あとは、出産の痛みがなかったのは嬉しくて仕方がなかった。出産後はどうしてもあまり休めずに1か月ぐらい過ごす感じになっちゃうんですよね。子どもによって違うんだと思うんですけど。だから、出産で体力を消耗しなかったのが大きくて、すごく楽に感じたんです。
interviewer:なるほど。では、逆にデメリットだと思ったところはありますか。
梶田谷さん:病院によって、無痛分娩ができる、できないがあること。例えば通える範囲の病院が全てできなかったら悲しいですよね。あとは、無痛分娩ということで別途費用がかかることかな。
interviewer:ありがとうございます。最後に、無痛分娩しようかなと迷っている人に向けて、メッセージをいただけますか。
梶田谷さん:個人的にはやってみたらいいと思うんですけど、でもやってみて痛いと感じたら嫌ですよね。だから、その病院の(無痛分娩の)方法をきちんと確かめてから受診してもらったら、すごく楽なお産になると思います。
interviewer:そうですよね。やっぱり病院によって無痛分娩のやり方が違うっていうことが、実は広まっていないんですよね。
梶田谷さん:確かに。私も知らなかったです。
interviewer:無痛分娩って、実は痛いって言ってる人と、全く痛みなかったみたいな人がいて、 個人の痛みの捉え方もありますが、その1つの病院のことで言われているんですよね。だから、もっと総合的で正しい情報や知識が広まっていけばいいなと思います。
梶田谷さん:本当にそうですよね。
interviewer:本日はありがとうございました。
梶田谷さんはランディングページデザイナーとしても活躍中!
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